統計数理研究所、研究活動の見える化や戦略策定に貢献する新しい評価指標にオラクルのクラウドを活用

日本オラクル株式会社(本社:東京都港区、執行役社長 最高経営責任者:フランク・オーバーマイヤー)は本日、大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 統計数理研究所(所在地:東京都立川市、所長:椿 広計、以下「統数研」)が同所の「異分野融合の進展や効果を公正かつ適切に評価するための新指標の研究開発」プロジェクトにおける、研究IR(Institutional Research)の新評価指標「多様性指標(Research Diversity Index)」(以下、REDi)の開発およびシステム基盤として「Oracle Cloud」を導入したと発表しました。

統数研は1944年に文部省直轄の研究所として設置され、統計数理研究の中心的な研究機関として、その発展のための先駆的役割を果たしてきました。2004年からは大学共同利用機関法人情報・システム研究機構の一員となり、他の分野の研究機関と連携して分野の枠を超えた融合研究へも取り組んでいます。

日本の大学や研究機関による論文数の国際的シェアは低下傾向にあり、研究体制や研究環境の見直し、研究マネジメント改革などが喫緊の課題となっているなか、研究に関するデータを収集、分析し、研究戦略立案に役立てる研究IRが注目されています。統数研では、研究IR活動を支援するツールの開発および活動を客観的に評価するための新たな指標に関する研究を通して、これらの大学や研究機関の課題解決に貢献しています。2016年から開始した「異分野融合の進展や効果を公正かつ適切に評価するための新指標の研究開発」プロジェクトでは、従来の指標では捉えられない共同利用・共同研究の成果や異分野融合の進展状況を可視化する指標の一つとして、「REDi」を開発しています。統数研では、日本全国の大学や研究機関の研究活動の「見える化」およびIR機能強化に貢献するため、2020年からの「REDi」公開利用を目指し、現在システム化に取り組んでいます。

学術研究活動のKPI(Key Performance Indicator: 主要業績評価指標)として重要視されているのが論文です。統数研が手がける「REDi」では、学術論文が異分野に与えるインパクトの評価および論文間の関係性を可視化するため、論文単位かつ書誌情報だけで算出できること、分野間の論文数の偏りを適切に補正できること、中長期的な影響を測定できることが要件となっていました。そのため、論文データの分析基盤には、過去30年以上にわたる3,000万本以上の論文データの分野間クラスタリングなどのアルゴリズムに必要な高速な計算リソースに加え、論文データの関係性を分析可能にする効率的なグラフ・データベース機能が求められていました。そこで統数研は、効率的な計算リソースの活用に加え、システム展開でのインフラ整備の手間やコストを考慮し、安定した計算リソースのみならず拡張性に優れたインフラ環境を提供する「Oracle Cloud Infrastructure」を選定しました。また、「REDi」に高度なグラフ・データベース機能を提供するOracle Labs Parallel Graph AnalytiX (PGX)機能も活用しています。

「Oracle Cloud」導入の主なポイントは以下のとおりです。
●セキュアなインフラ環境を実現:物理サーバーを専有できる「Oracle Cloud Infrastructure」のベアメタル・マシンの採用により、システム開発およびシステム展開のインフラ基盤としても、セキュリティに優れ、安定したパフォーマンスを実現
●最新のGPUインスタンスが高度な計算リソースを提供:「Oracle Cloud Infrastructure」が提供する最新のGPUを必要な時に時間単位で利用でき、高度なグラフ分析に必要なパフォーマンスを保証しながら運用コストを大幅に削減
●大量の論文データ処理時間を大幅に削減:「REDi」の要件の一つである分野間の論文数の偏りを適切に補正するため、統数研では自然言語処理で使われる「自己相互情報量(Point-wise Mutual Information: PMI)」というアルゴリズムを実装。PGX機能を最大限利用することで、グラフ・データを効率的に分析可能にし、GPUの高速な計算リソースにより、「PMI」などの「REDi」の計算時間を大幅に削減

統計数理研究所 運営企画本部企画室 URAステーション 主任URA 本多啓介氏:
統数研では、研究者の自由な発想に基づく萌芽的な研究への助成支援を行っており、それらの研究は主に公募型共同利用と呼ばれる共同研究によりもたらされています。「REDi」は、この共同研究の効果や進展を公平に評価する指標として、その利活用が期待されています。「REDi」の開発に必要な高速な計算リソースとグラフ・データを直接扱えるプログラム環境を同時に提供できたのは「Oracle Cloud」だけでした。統数研は、「Oracle Cloud」の高性能コンピューティングを活用し、「REDi」をはじめとする、統計科学を用いたIR支援を強化し、新たなイノベーションの源泉となる日本の学術研究の発展に貢献していきます。

なお、同事例は、2019年8月6日、7日に開催される「Modern Cloud Day Tokyo」において、6日13:15-14:00「C-1 研究力分析のためのGraphテクノロジーとCloud GPUによる膨大な文書データ高速大量処理の実現」内で詳細をお話する予定です。
「Modern Cloud Day Tokyo」の詳細は、こちらのリンクをご参照ください。
https://www.oracle.co.jp/events/moderncloudday/2019/

参考リンク
・統計数理研究所
https://www.ism.ac.jp/
・統計数理研究所:多様性指標REDi
https://ura3.c.ism.ac.jp/ir-web/ir/redi/top.html
・Oracle Cloud Infrastructure ハイパフォーマンス・コンピューティング
https://www.oracle.com/jp/cloud/platform/solutions/high-performance-computing.html

日本オラクルについて
オラクル・コーポレーションの日本法人。「beyond your cloud >commit;」をスローガンに掲げ、広範かつ最大限に統合された クラウド・アプリケーションおよびクラウド・プラットフォームなど、データ・ドリブンなアプローチにより情報価値を最大化するクラウド・サービスの提供と、それらの利用を支援する各種サービスの事業を展開しています。2000年に東証一部上場(証券コード:4716)。URL http://www.oracle.com/jp

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プレスルーム http://www.oracle.com/jp/corporate/press/

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