豊胸術の「ダウンタイム」はどのくらいの期間で、痛みは耐えられる?
豊胸術に限らず、美容外科での治療について調べていると「ダウンタイム」という言葉を目にすることがあります。このダウンタイムというのはどんなものなのでしょうか。ここでは豊胸術とダウンタイムについて詳しくお話ししていきます。
「ダウンタイム」とは
美容整形の治療では注射や手術、麻酔の使用などによって術後、腫れや痛み、むくみ、アザなどが残ることがあります。こうした症状が回復し、普段通りの生活を取り戻せるまでにかかる時間のことを「ダウンタイム」と呼んでいます。
ダウンタイムがどのくらいかかるかは豊胸術の術式によって異なります。また、同じ術式でも個人の体質やダウンタイムの過ごし方によって回復期間が変わることも。
最近ではヒアルロン酸注射のようなメスを使わない低侵襲(ていしんしゅう)と呼ばれる身体へのダメージが少ない治療が増えてきています。しかし、こうした低侵襲の治療でも、術後、痛みや腫れがまったくないというわけではないようです。
ダウンタイム中は日常生活が制限されることもあるので、豊胸術だけではなく美容外科の治療を受ける際は事前にダウンタイムがどのくらいかかるか調べておくようにしましょう。
「ダウンタイム」は豊胸術の術式によって異なる
豊胸術のダウンタイムは術式によって異なります。術式ごとに見ていきましょう。
-ヒアルロン酸注入法
ダウンタイムは2~3日ですが、腫れや痛みは少ないです。局所麻酔や表面麻酔を使用し、注射で注入をするため術中の痛みはほとんどありません。術後には筋肉痛のような痛みがありますが、処方される鎮痛剤を飲むことで治まる程度。我慢できないほどではありません。デスクワークなどでしたら、翌日から可能でしょう。
術後の注意点としてシャワーは翌日から可能ですが、湯船につかっての入浴は1週間後からになります。これは体が温まると痛みや腫れが起こる可能性があるから。激しい運動も1週間程度我慢してくださいね。
-シリコンバッグ挿入法
ダウンタイムは2週間程度。痛みは3日から1週間程度、アザのような内出血や腫れは2~3週間程度続きます。筋肉痛のような痛みがかなり出るため、強めの鎮痛剤が処方されます。鎮痛剤を飲めば治まる程度の痛みです。
シリコンバッグ挿入法の痛みの強さは、シリコンバッグの大きさやどの位置に挿入するかによって異なるため注意が必要です。極端に大きいサイズのシリコンバッグを入れると痛みが強くなるので、よく医師と相談するようにしましょう。
では、挿入位置についてはどうでしょうか。シリコンバッグを挿入する位置は患者さんの体型によって大胸筋下、大胸筋筋膜下、乳腺下のいずれかを選ぶことになります。
もともと痩せている方は、シリコンバッグの形が表面に浮き上がらないよう大胸筋下に挿入することが多いです。この場合、大胸筋を剥離させる必要があるため、術後の痛みが強くなります。手術を受ける前にどの位置にシリコンバッグを挿入するのか、またその方法では術後どのくらい痛みが出るのか医師に確認しておきましょう。
また、シリコンバッグ挿入法では挿入する部分を数センチ切開するため、1週間後に抜糸をししなくてはなりません。切開するのはワキの下かアンダーバストのラインに沿った位置なので、傷はほとんど目立ちませんし、数ヶ月でかなり薄くなるので安心してくださいね。
なお、シリコンバッグ挿入法では術後3日程度、シリコンバッグが動くのを防ぐためバストバンドで固定しておく必要があります。手術の翌日から日常生活を送ることができますが、バストバンドをつけている期間、お仕事や学校はお休みする方が無難でしょう。また、術後1週間、重いものを持つ作業は避けてください。激しい運動も同様です。
-脂肪注入法
ダウンタイムは2週間程度。バスト部分の痛みはそれほど強くなく、処方される鎮痛剤を飲むことで充分コントロールできる程度です。術後、麻酔が切れた直後は強めの痛みがありますが、徐々に痛みは和らぎます。
脂肪注入法のダウンタイムの長さはシリコンバッグ挿入法と同じくらいと考えていいのですが、大きく違うのは脂肪を吸引したパーツにもダメージとダウンタイムがあるという点でしょう。
脂肪吸引したパーツのダウンタイムも2週間程度あります。痛みはやや強めの筋肉痛と同じ程度。一般的に吸引した脂肪の量が多いほど内出血が起こりやすく、広範囲にアザができることになります。脂肪吸引の症例写真でアザの範囲を見てびっくりする方もいますが、このアザが残ることはありませんので、あまり心配しないでいいでしょう。 また、術後2週間経過以降に胸の痛みが引かない場合、「脂肪懐死」が起きている可能性が考えられます。脂肪壊死とは、注入した脂肪に十分な栄養が行きわたらず、脂肪が死んでしまっている状態ですので、施術を受けたクリニックに連絡しましょう。
また、脂肪吸引する場所は数ミリ皮膚を切開するため、術後1週間程度で抜糸が必要です。傷は数ヶ月でほとんど分からない程度に薄くなります。
さらに脂肪吸引した場所はむくみや腫れが起こるのを防ぐために、圧迫効果のあるサポーターやガードルなどをつけるよう勧められます。
脂肪吸引は術後のアフターケアがとても大切です。特に圧迫ケアをきちんと行うことで、腫れやむくみが起こりにくくなり、回復も早くなります。圧迫の仕方については脂肪吸引したパーツや範囲によっても違ってくるので、治療を受けたクリニックで詳しいアドバイスを受けてくださいね。
「ダウンタイム」が少ないほうがいい理由
ダウンタイムが長い治療はそれだけ体への負担が大きくなります。仕事や学校を休まなければならない期間や運動が制限される期間もあるので、治療はまとまったお休みが取れるタイミングで受けることをおすすめします。特に痛みに弱い方は無理のない治療計画を立ててくださいね。
また、体への負担が大きい治療はそれだけ難易度も高くなります。当然、より技量が高い医師が在籍していて、アフターケアもしっかりしているクリニックを選ぶ必要があるのですが、価格の安さを売りにしているところが増えている今、クリニック選びはかえって難しくなっているといえるでしょう。
豊胸をはじめとした整形手術の術後経過を綴ったブログを読んだことのある方も多いと思いますが、ダウンタイム中は「このまま傷やアザが治らなかったらどうしよう」「このまま痛みが引かなかったらどうしよう」というような不安を覚えがちです。ダウンタイムが長い治療だと、不安も長引くことになり精神的な負担も増えてしまいます。
このような理由を考えるとダウンタイムの少ない治療は体と精神面、両方の負担が少ないということになります。
豊胸術に限らず近年、美容外科の治療では体への負担が少なくダウンタイムが短い「切らない治療」が人気です。「胸を大きくしたいけど、術後に後悔したり不安な思いで過ごすのはイヤ」という方は、 こうした切らない治療を受けることから検討してみてはいかがでしょうか。
新しい豊胸術の方法として注目を集めている「成長再生豊胸」も手術が不要でダウンタイムがほとんどない治療のひとつです。成長再生豊胸は減ってしまったバストの成長因子を補充することで成長期に似た状態に導き、バストをふっくらとさせる治療方法。バストが大きくなるという自然な過程に限りなく近い方法なので痛みや腫れが少なく、ダウンタイムもほぼありません。
ヒアルロン酸注入による豊胸術も切らない治療に当たりますが、異物を入れることには変わりませんし、治療後の痛みもあります。ダウンタイムの負担をできるだけ少なくしたいという方は成長再生豊胸での豊胸を考えてみてもいいかもしれませんね。
南クリニック 院長:南晴洋
京都第二赤十字病院形成外科勤務、大手美容外科院長を経て1997年 南クリニック開業。創業以来、豊胸に力を入れている。注射で豊胸を行う「成長再生豊胸」を海外の学会でも発表。