『クラシック名曲「酷評」事典』 上・下 3月27日発売!

奇才ニコラス・スロニムスキーによって編まれた、酷評だらけの音楽事典。 歴史という琥珀に封じ込められた小さな短慮の数々から、我々は何を学ぶことができるのか?

クラシック名曲「酷評」事典 上・下

ベートーヴェン以降総勢43名の作曲家と作品に寄せられた、著しく先見の明を欠いた批評の数々。
酷評から見えてくる「名曲」とは?

本書は、ロシア系アメリカ人の音楽家、ニコラス・スロニムスキーによって編纂された、世にも稀な「酷評事典」です。ベートーヴェンからストラヴィンスキーやショスタコーヴィチまでの同時代に書かれた評論の中から、酷評だけを選り抜いて編纂されました。書き手の多くは、当時の主要メディアで健筆をふるった音楽評論家、ジャーナリストたち。いずれも教養があり、音楽に造詣が深く、耳の肥えた人物ばかりです。いまでは当然のように「名曲」「不朽の名作」として語られるような作品が、初演当時これほどまでに口をきわめてこき下ろされていた事実に、誰もが驚かされるでしょう。ここに記されているのは、クラシック音楽が発展してきた背後で、人々の「音楽を聴く耳」がどのように変化してきたかの記録でもあります。

上巻には作曲家ピーター・シックリー(別名P.D.Q.バッハ)による序文と編者スロニムスキーによる前書きが、下巻には作曲家の望月京氏によるエッセイと文筆家・ゲーム作家の山本貴光氏による解説が加わり、本書をいっそう楽しむためのガイドとなっています。
また、本書の大きな特徴とも言える「罵倒語索引」は必見。磨き抜かれた酷評表現の数々に、むしろその曲を聴いてみたい好奇心にかられます。いわゆる「名曲解説」は読み飽きたという方に、“劇薬”となる本書をおすすめします。

■編者について
ニコラス・スロニムスキー
1894年、サンクトペテルブルク生まれのロシア系アメリカ人。1923年にアメリカに移住後、ボストンを中心に音楽学者、事典編纂者、作曲家、指揮者、ピアニストとして活躍し、同時代の作曲家の初演を数多く手掛ける。『Baker's biographical dictionary of musicians』の編纂に携わったほか、『Music since 1900』『Music of Latin America』『Thesaurus of Scales and Melodic Patterns』など多数の著作を残す。1995年に101歳で死去。

■訳者について
藤村 奈緒美(ふじむら・なおみ)
1973年生まれ。東京大学文学部言語文化学科卒。司書職を経て翻訳家となる。中学・高校では吹奏楽部に所属し、大学入学後は趣味で声楽を習う。主な訳書に『フィリップ・グラス自伝 音楽のない言葉』、『成功する音楽家の新習慣』、『エフォートレス・マスタリー』(以上ヤマハ)、『世界の美しい名建築の図鑑』、『世界の夢の本屋さんに聞いた素敵な話』、『世界を変えた本』(以上エクスナレッジ)などがある。

■協力者について
高橋 智子(たかはし・ともこ)
1978年、仙台市生まれ。博士(音楽学)。専門はアメリカ実験音楽、音楽美学。大学の非常勤講師等を経て2019年頃からフリーの音楽学者、ライター。東京都在住。本書では43人分の作曲家の略歴および下巻巻末「スロニムスキーについて」を執筆。


『クラシック名曲「酷評」事典 上』

●新版への序文
「もし何かすてきな言葉を思いつかないなら、こちらに来て私の隣に座りたまえ」(ピーター・シックリー)

●事典への前奏曲
「なじみなきものに対する拒否反応」(ニコラス・スロニムスキー)

【商品詳細】
定価:1,900円(本体価格)+税
仕様:四六判/240ページ
発売日:2021年3月27日
ISBN:978-4-636-96892-7
商品コード:GTB01096892
https://www.ymm.co.jp/p/detail.php?code=GTB01096892


『クラシック名曲「酷評」事典 下』

[日本語版特別寄稿(巻末)]
●エッセイ:「未必の飴(あめ)と鞭(むち)を求めて」(望月京/作曲家)

●解説:「音楽には愛を、罵倒にも芸を」(山本貴光/文筆家・ゲーム作家)

■エッセイ
望月 京(もちづき・みさと)
作曲家・明治学院大学教授。東京藝術大学院およびパリ国立高等音楽院修了。国内外より委嘱を受け作曲、代表作にオペラ《パン屋大襲撃》、管弦楽曲《むすび》《カメラ・ルシダ》《クラウドナイン》、無声映画『瀧の白糸』(溝口健二監督)『理性への帰還』(マン・レイ制作)のための音楽、『怪談』(小泉八雲著)に基づく歌芝居《Têtes(頭/顔)》、室内楽曲《キメーラ》《4D》《ブレインズ(脳)》など。芸術選奨文部科学大臣新人賞、ユネスコ国際作曲家会議グランプリ、ハイデルベルク女性芸術家賞ほか受賞多数。CD作品集『Si bleu, si calme』『Etheric blueprint』、著書に『作曲家が語る音楽と日常 パリと東京を行き来して』がある。

■解説
山本 貴光(やまもと・たかみつ)
文筆家・ゲーム作家。コーエーでのゲーム制作を経てフリーランス。著書に『コンピュータのひみつ』『文体の科学』『「百学連環」を読む』『文学問題(F+f)+』『世界が変わるプログラム入門』『投壜通信』『マルジナリアでつかまえて』『記憶のデザイン』など。共著に『脳がわかれば心がわかるか』『その悩み、エピクテトスなら、こう言うね。』『人文的、あまりに人文的』(吉川浩満と)、『高校生のためのゲームで考える人工知能』(三宅陽一郎と)など。吉川とYouTubeチャンネル「哲学の劇場」で人文書の紹介を中心とした動画を配信中。猫が鍵盤を歩いたほうがマシな程度にピアノを弾き、安田登さんについて謡を習い中。twitter: @yakumoizuru

【商品詳細】
定価:1,900円(本体価格)+税
仕様:四六判/248ページ
発売日:2021年3月27日
ISBN:978-4-636-96893-4
商品コード:GTB01096893
https://www.ymm.co.jp/p/detail.php?code=GTB01096893

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