「ビル再生100の物語」1階をカフェに用途変更したい……。

ビル再生100の物語 第56話

テナワンでは、これまで多くのビルの空室対策や賃貸運営を行ってきました。

それぞれの問題を解決してきたビル再生の事例を「100の物語」としてこれから公開していきます。

建物用途変更の話

ビル再生プランを考えるとき、「1階をカフェにしたい」なんてことがよくあります。
でもこれ、古いビルだと意外に難易度が高かったりします。

ネックは「建物の用途が変更できない」というカベ。
用途変更には基本的に建築確認申請が必要になります。

新築当時にちゃんと完了検査を受けていなかったりすると役所に相談に行ってもケンモホロロ。

この用途変更の確認申請を受け付けてもらえないために往生します。

もうひとつ、建築確認(建築基準法)の問題とあわせて消防法上の手当ての問題があります。

この二つの法律、建物にとってはどちらもとても大事で関係の深いものなのに、関連性が分かりにくかったり、建築行政(区役所とか)と消防署がそれぞれの立場で指導をするので普通の人が聞いても理解するのに忍耐を要します。

細かい解説は省いて、実際に「1階をカフェに変更」した時のケースを。

まず、もともとは事務所部分(特殊建築物でない)だったところをカフェ(飲食店:特殊建築物)にするので、建築基準法的には本来用途変更の建築確認申請が必要です。

「特殊建築物」って言葉自体がまずわかりづらいですよね。飲食店なんて特殊でも何でもないじゃんと思ったりしますが、法律上の取り扱いの話なのでとりあえずここはガマンで。

で、やっぱりその建物も新築時の完了検査を受けておらず、確認申請自体受け付けてもらえない状況でした。

ただ、建築基準法では「特殊建築物でも100㎡以内の用途変更なら建築確認不要」ということになっています。対象の1階部分は40㎡だったので、今回はこれを適用しました。

ちなみに、建築確認が不要というだけであって、建築士が法律の他の規定(床荷重が大丈夫かとか)を確認して問題ないと判断すればOK、というココもなんともスッキリしないルール。

ま、でもとりあえずこれはこれでクリア。要は建築行政への手続きは何もしなくていい、ということです。

でも消防法上は、飲食店は「特定用途」にあたり、独自に法的な基準を満たさないといけません。(にしても「特定用途」とか「特殊建築物」とか、似たような言葉でややこしいですよね・・。こういうところもいちいち話をややこしくしてる気がします。。)

今回これが問題になりました。

建物の一部を特定用途に変更しようとしたので、「複合用途の建物」という扱いになり、新たな消防設備をつけないとダメ、という規定にひっかかってしまいました。
(でも完了検査済証がないから用途の変更ができない、みたいなことは言わない)

実はこれにも対象部分が「建物全体の面積の10分の1以下(かつ300㎡未満)」なら規定を緩和する、というきまりがあって消防設備の追加を免れます。

この建物は建物全体が300㎡しかなく、そのうちの40㎡を飲食店に変更しようとすると10分の1を超えるためアウト・・・。

「自動火災報知設備をつけるか、飲食店に変更する部分の面積を30㎡以下にしなさい」

という消防署からのご指導をうけ、結局は自火報設備をつけることにしました。

なんか微妙な面積の差で設備追加(これがかなり高い)かどうかの命運を分けるというのも釈然としませんが、まあこれもそもそも付けるの方がスタンダードで、「面積小さければ緩和するぜ」、という主旨のものなので仕方ないんです。

まあ、こんな調子で古い建物の再生プロジェクトでは日々こういう検討をやってたりします。

これはちょっと私見として。

建築基準法は「完了検査済証がなけりゃ用途変更はそもそも受け付けない」とかたくななスタンスなくせに、当時の建築確認申請を受け付けときながら完了検査が行われたかどうか追及もしてなかったわけです。

それに、建物建築後に違法改築とかしていたとしても積極的に調査する制度がないため、用途変更申請のようなタイミングでもなければ事実上野放しです。

消防法の方は、設備などの規定を満たせば用途の変更なども建物の実態をみながら判断してくれる一方で、数年に一度の建物立ち入り検査で違法な個所を厳しくチェックされます。所有者は気が抜けないですが、安全基準は満たされることになります。

建築基準法と消防法、どっちも建物に関係する法律ですが、消防法の方がある意味リーズナブルな法律な気がします。


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