社会的課題の解決につながる商品・サービスを 「購入したい」生活者は過去最高! 一方で「意識と行動のギャップ」広がる。その解決策は!?

一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会(略称:APSP、所在地:東京都中央区、会長:江口 泰広)は、株式会社SoooooS.カンパニー(所在地:東京都中央区、代表取締役:木村 有香)と合同で、2012年から継続しており今回で12回目となる「生活者の社会的意識や行動を探るためのアンケート調査」の結果を公開しました。

調査結果のポイント

(1) SDGs(持続可能な開発目標)の認知率が拡大する一方、その捉えられ方はネガティブ
(2) ソーシャルプロダクツの購入率(行動)と将来的な購入意向率(意識)は過去最高。その一方、ギャップも広がる
(3) ソーシャルプロダクツの購入を促進する鍵は、商品・サービスの魅力と取り組みの伝え方
(4) 購入意向に影響する情報接点は、10代~20代(Z世代)は知人やインフルエンサー、30代以上は店舗や企業ウェブサイト
(5) 10代~20代(Z世代)は自分の関心や参加しやすさ、30代以上は社会問題の深刻さや取り組みの信用性から、人や地球にやさしい取り組みを評価

ソーシャルプロダクツとは

社会的課題の解決につながる商品・サービスを指します。フェアトレードやオーガニック、エコ(環境配慮)、復興支援といった、人や地球、地域社会に配慮があり、SDGs(持続可能な開発目標)の達成につながる商品・サービスの総称です。
※ソーシャルプロダクツの定義: http://www.apsp.or.jp/socialproducts/

調査結果

(1)SDGs(持続可能な開発目標)の認知率が拡大する一方、その捉えられ方はネガティブ

SDGsについて、「よく知っている」「おおよそ知っている」「あまり知らない」「まったく知らない」と回答した人の割合は、それぞれ11.0%、44.5%、34.0%、10.5%でした。2020年と2021年に実施した調査では、「まったく知らない」と回答した人の割合は、それぞれ50.0%、23.0%であったことから、この2年間でSDGsの認知度は、約5割から9割まで上昇したことが分かりました。

図1:SDGsの認知率

SDGsの認知率が拡大する一方、それが必ずしも行動(社会的課題の解決につながる商品・サービスの購入)に結び付いているわけではなく、SDGsをネガティブに捉える生活者も多いようです。たとえば、「SDGsに関するニュース等を見聞きするようになり、人や地球にやさしい商品に対する関心が高まった」かどうかを質問したところ、「当てはまらない」「あまり当てはまらない」と回答した人の割合の合計は52.0%でした。また、「SDGsに関連した企業の取り組みや情報発信は、どれも似たような印象がある」、「SDGsに関連した企業の取り組みや情報発信に抵抗がある」かどうかを質問したところ、「当てはまる」「やや当てはまる」と回答した人の割合の合計は、それぞれ52.1%、37.8%でした。

上記の結果から、企業によるSDGsの取り組みや情報発信次第では、逆に生活者を遠ざけてしまう可能性もあることが示唆されました。目下、多くの企業がSDGsに取り組むようになり、各社の取り組みが同質化していると受け止める生活者が増えているようです。また、企業からのSDGsに関する同じような情報に辟易し、抵抗を示す生活者の様子もうかがえます。企業は生活者が意味や価値をより感じるSDGsの取り組みや情報発信を、改めて展開していく必要がありそうです。この点について具体的には、(4)と(5)で検討していきます。

図2:SDGsの捉えられ方

(2)ソーシャルプロダクツの購入率(行動)と将来的な購入意向率(意識)は過去最高。その一方、ギャップも広がる

SDGsが拡大し、様々に捉えられる中、生活者の社会的意識・行動の水準は、実際どのように変化しているのでしょうか。ここでは、ソーシャルプロダクツの現在の購入率(行動)と将来的な購入意向率(意識)を見ていきます。なお、ここでいうソーシャルプロダクツの購入(意向)率とは、エコ商品、オーガニック商品、地域や伝統に根ざした商品、復興支援商品、フェアトレード商品、障害者支援商品、寄付つき商品の内、いずれか1つ以上の購入(意向)率を指しています。

現在の購入率は、2020年から2021年、2022年にかけて、35.0%→37.2%→41.0%と推移しており、ゆるやかな上昇傾向にあることが分かります。少なくとも、3人に1人以上の生活者は、何らかのソーシャルプロダクツを購入しているようです。
一方、将来的な購入意向率は、2020年から2021年、2022年にかけて、50.2%→55.2%→69.0%と推移しており、購入意向が50%台から実質的に70%まで一気に上がりました。上昇幅は購入率より大きく、2020年は2人に1人程度だった水準が、2022年には3人に2人以上の生活者が将来的に何らかのソーシャルプロダクツを購入したいと考えるまで上昇しました。

上記の結果から、ソーシャルプロダクツの購入率と購入意向率は、共に上昇傾向にあり、その市場性は極めて高いことが示唆されました。その一方、購入意向率の上昇幅の方が大きく、生活者の社会的意識(購入意向)と行動(購入)のギャップは、2020年以降では最大であることも明らかになりました。

図3:ソーシャルプロダクツの購入率と購入意向率の推移(各年N=600)

※何らかのソーシャルプロダクツとは、エコ商品、オーガニック商品、地域や伝統に根ざした商品、復興支援商品、フェアトレード商品、障害者支援商品、寄付つき商品の内、いずれか1つ以上を指す。

それでは、生活者がソーシャルプロダクツを購入していない理由・あるいはそれらに感じている不満は何なのでしょうか。

(3)ソーシャルプロダクツ購入を促進する鍵は、商品・サービスの魅力と取り組みの伝え方

生活者がソーシャルプロダクツ(「フェアトレード商品」「オーガニック商品」「エコ商品」「寄付つき商品」「地域や伝統に根ざした商品」「障害者支援商品」「復興支援商品」など)を購入していない理由・あるいはそれらに感じている不満について、直近3年間の推移は以下となりました。

図4:ソーシャルプロダクツを購入していない理由・あるいは不満

2022年は「一般的な商品に比べて価格が高い」が36.8%まで上昇しています。昨今の値上げラッシュの影響が考えられますが、重要なことは、それでも価格以外の要因で「買わない・不満」だという回答が多いことです。商品・サービスそのものに関して(「どれが『人や地球にやさしい商品』なのか分からない」29.3%、「商品の種類(ラインナップ)が少ない」23.8%等)やソーシャルプロダクツの取り組みに関して(「人や地球にやさしい取り組みの実態が見えない、透明性が足りない」21.3%)という回答が上位にきています。特に、商品の種類や透明性に関する要望はここ数年高まる傾向にあります。生活者の社会的意識や購入意向が変化する中で、企業にはこれまで以上に「商品・サービスそのものの魅力を高める」ことや、人や地球にやさしい取り組みの「伝え方の工夫」が必要だと考えられます。

(3)の結果を踏まえて(4)(5)では、ソーシャルプロダクツの人や地球にやさしい取り組みについて「どのような情報ルートで知れば」また「どのような取り組みであれば」購入したいと思うかについての質問を分析しました。生活者のソーシャルプロダクツ購入(行動)を促進する要素を探るため、ソーシャルプロダクツの購入意向※がある生活者を10代~20代(Z世代)と30代以上(30代~60代)で比較しました。

※エコ商品、オーガニック商品、地域や伝統に根ざした商品、復興支援商品、フェアトレード商品、障害者支援商品、寄付つき商品の内、いずれか1つ以上の購入意向率を指す。

(4) 購入意向に影響する情報接点は、10代~20代(Z世代)はSNSや有名人、30代以上は店舗や企業ウェブサイト

「商品の『人や地球にやさしい取り組みに関する情報』を『どのような経緯・ルート』で知れば、購入したいと思いますか?」という質問において、10代~20代(Z世代)は「オンライン上の他人のSNSでの投稿や口コミで知る」25.9%、「有名人の情報発信(有名人が出演する広告、有名人のSNSなど)で知る」20.3%といった、SNS等を通じて周囲から得る情報ルートが全体と比較して優位に高い結果となりました。

図5:ソーシャルプロダクツに関する情報をどのように知れば、購入したいと思うか(購入意向あり10代20代)

一方30代以上は、「メディア(テレビ番組、新聞記事、ネットニュースなど)で知る)」44.3%のほか、「実店舗(店員の説明、商品パッケージやPOPの文章・写真・映像など)で知る」43.9%、「その商品を手掛ける企業の情報発信(Webサイト、SNSなど)で知る」22.1%、「オンラインショップ(商品ページ上の文章・写真・映像など)で知る」21%、といった、購入に近い場面において自ら得る情報ルートが全体と比較して優位に高い結果となりました。

図6:ソーシャルプロダクツに関する情報をどのように知れば、購入したいと思うか(購入意向あり30代以上)

(5) 10代~20代(Z世代)は自分の関心や参加しやすさ、30代以上は社会問題の深刻さや取り組みの信用性から、人や地球にやさしい取り組みを評価

「どのような『人や地球にやさしい取り組み』であれば、購入したいと思いますか?」という質問では、10代~20代(Z世代)は「自分の関心が高い取り組み」38.5%、「自分も参加可能な取り組み(ボランティアや寄付、SNSでの拡散など)」30.1%、「他の企業やブランドが行っていないユニークな取り組み」20.3%、「商品や事業とは別の取り組み(社員ボランティア、寄付など)」14%が全体と比較して優位に高い結果となりました。

図7:どのような人や地球にやさしい取り組みであれば、そのソーシャルプロダクツを購入したいと思うか(購入意向あり10代20代)

30代以上は「地球環境や社会にとって、より深刻な問題の解決につながる取り組み」33.9%、「商品や事業を通した取り組み(エコ素材の採用など)」28%、「信用性が高い取り組み(NPO・NGOや行政機関との連携など)」24.4%、「その企業やブランドらしい取り組み(経営理念と合致している、得意分野を活かせるなど)」21%が全体と比較して優位に高い結果となりました。

図8:どのような人や地球にやさしい取り組みであれば、そのソーシャルプロダクツを購入したいと思うか(購入意向あり30代以上)

10代~20代(Z世代)は自分の文脈(関心や参加しやすさ)に合った人や地球にやさしい取り組みを評価し、その取り組みが商品や事業を通じたものであってもそうでなくても好意的にとらえる傾向が見られます。一方で30代以上は、客観的な文脈(問題の深刻さや取り組みの信用性)から人や地球にやさしい取り組みを評価し、商品や事業を通じた取り組みやその企業やブランドらしい取り組みをより好意的にとらえています。

(3)のソーシャルプロダクツの購入意向に影響を与える情報ルートにおいて、10代~20代(Z世代)はSNSといったオンライン上での接点が多く見られたことから、オンライン上からも取り組みに参加可能な導線(シェア機能、商品購入や寄付ができるサイトへのリンク等)が整備されていることが、10代~20代(Z世代)のソーシャルプロダクツ購入(行動)を促すには重要だと考えられます。また、SNSなどオンライン上でソーシャルプロダクツの人や地球にやさしい取り組みに関する情報を目にする際、サムネイルに使用されている画像や説明の文章によっては、その他の企業・団体が行う取り組みと同じ印象を持たれる可能性もあることから、他の企業・団体が行っていないユニークさが見える取り組みをより好意的にとらえるのかもしれません。30代以上の情報ルートは、実店舗やオンラインショップなど購入に近い場面が多かったことから、商品や事業を通した取り組みがより身近に感じられ、回答の上位にきていると考えられます。「商品や事業を通した取り組み」「その企業やブランドらしい活動」が上位に来ていることから、まずは自社のできる範囲からソーシャルプロダクツに取り組むことによって、生活者の共感を呼びソーシャルプロダクツ購入(行動)を促せる可能性があります。その一方で、深刻な問題の解決につながる取り組みや信用性が高い取り組みへの回答も多く見られたことから、自社だけでは難しい問題の解決においてはNPO等の外部機関と連携して取り組むなど、パートナーシップを広げていくことも重要となるでしょう。

今回の結果から、生活者のソーシャルプロダクツ購入意向に影響する情報接点や、人や地球にやさしい取り組みを評価する観点は、10代~20代(Z世代)と30代以上の世代間で異なる特徴があることが明らかになりました。アプローチしたいターゲットに合わせた訴求方法の検討が、生活者のソーシャルプロダクツ購入(行動)の促進において必要となることが示唆されました。

本調査に関するご質問や全体のローデータなどにご興味・関心がある方は当協会へご連絡ください。

本調査の概要

調査名 :第12回「生活者の社会的意識・行動」に関する調査
調査対象:全国の10~60代の男女50人ずつ(計600人)
調査期間:2022年9月28日~9月30日
調査方法:インターネット調査
調査会社:株式会社クロス・マーケティング

過去の「生活者の社会的意識・行動に関する調査」結果

ソーシャルプロダクツ普及推進協会(APSP)とは

ソーシャルプロダクツの普及・推進を通じて、生活者や企業などと共に、持続可能な社会の実現を目指す非営利の組織。

協会概要

名称 : 一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会(APSP)
設立 : 2012年7月
所在地: 東京都中央区銀座5-12-5 白鶴ビル3F
会長 : 江口 泰広(学習院女子大学名誉教授)
URL  : http://www.apsp.or.jp

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