仙台市「中小企業チャレンジ補助金」活用事例  オルトレ

ナチュラルワインの魅力伝える発信基地「エノテカ・オルトレ」

仙台市は、新型コロナウイルス感染症の影響による社会の変化に適応するため、新たな商品やサービスの提供、業態転換などに取り組む地元企業の支援を目的として、中小企業チャレンジ補助金事業を実施している。2021年6月の第1回公募では8事業、10月の第2回公募では30事業、2022年1月の第3回公募では28事業が採択。そのうちの1社、株式会社oltre(オルトレ)の取り組みを紹介する。

ナチュラルワインを通じて仙台の食文化がより発展することを願い、魅力を発信する野宮敦志社長
ナチュラルワインを通じて仙台の食文化がより発展することを願い、魅力を発信する野宮敦志社長

オルトレ(仙台市泉区)は2019年12月に設立したワイン輸入販売業。野宮敦志社長は東京のワイン輸入会社で働いた後独立し、業務用の卸専門でスタートした。実質的に営業を開始した2020年3月は、全国的にコロナの影響が出始めた時期。取引先の飲食店が時短営業や酒類の提供中止を余儀なくされ、業績は初めから厳しかった。

新たな販路を開拓するため、2022年1月、青葉区中山台に直売店「エノテカ・オルトレ」を開設した。バースタイルで試飲販売も行い、自らカウンターに立つ。生産者の思いや取り組み、ワインの味や香りの特徴を伝えながら一般消費者へ販売する。

小売業への進出にあたり活用したのは仙台市の「中小企業チャレンジ補助金」。野宮社長は「動きの取れない時期が長く、苦しかった。支援していただき大変心強い」と感謝する。

店内では作り手の写真や産地のブドウの特徴などを紹介するカードを添えている
店内では作り手の写真や産地のブドウの特徴などを紹介するカードを添えている

扱うのはすべてイタリア産ナチュラルワイン。ナチュラルワインは、農薬や化学肥料に頼らず栽培したブドウを原料に、自然の酵母を使いブドウ自身の力で醸造したワインのこと。野宮社長は「一本ごとに個性のある“農産物”。大量生産された工業的なワインとはまったく異なる」と話す。ブドウ栽培から醸造、完成したワインの味わいまで、すべての面で共感し尊敬する作り手だけを選び、直接仕入れる。どの蔵もごく小規模で生産量が少ないため、どれをとっても希少なワインだ。

これまでは、大切なワインを信頼する酒販店や飲食店に託す気持ちで、卸販売に専念してきた。直売店を持つことで、より作り手のプロフィールや情熱、ブドウの特徴、産地の風土や文化といった背景のストーリーごと、消費者へ手渡せるようになった。

「日本でまだ誰も飲んでいないワインを店で開け、お客さんと感動を分かち合い、誰かへ伝える。楽しいですよ」。仕事に、「発信基地」としての面白さが新たに加わった。

ワインの話で盛り上がる野宮社長と常連客
ワインの話で盛り上がる野宮社長と常連客

気軽にナチュラルワインに触れてもらおうと、再利用できる小瓶で1杯分のテークアウト販売も行う。東京時代に飲食店で修業した経験を生かし、カウンターでは軽いおつまみも提供する。オープンから2カ月で常連客もつき、仙台市外や山形県など遠方から訪れる人も増えた。

「ここ10年ほどで、仙台のナチュラルワインの文化が深まってきている」と野宮さん。ワインは生産者から輸入者、酒店、飲食店までの「顔の見えるつながり」があってこそ、きちんと消費者に届く。自身はその線上にいるつなぎ役の一人だと考える。「ふらりとうちへ来た人がワインを好きになり、ナチュラルワインを取り扱うレストランにも足を運んでくれるようになればうれしいです」。仙台の食文化がより魅力的に醸成することを願って、発信を続けていく。

仙台市では、「中小企業チャレンジ補助金」などウィズコロナ・アフターコロナに対応した新たな取り組みに対するサポートを行っている。第4回「中小企業チャレンジ補助金」の公募は2022年6月を予定しており、詳細は仙台市のHPなどで確認を。

仙台市中小企業チャレンジ補助金

https://www.city.sendai.jp/kikakushien/challengehojokin/jigyougaiyou.html


AIが記事を作成しています