PALTEK、ハイパフォーマンスFPGAコンピュータ 「HPFC」の販売開始
~4K/8K映像伝送、リモート制御、医療画像診断での遅延・消費電力の課題を解決、 3月24日にウェビナーを開催~
株式会社PALTEK(本社:横浜市港北区、代表取締役社長:高橋 忠仁、証券コード:7587、以下 PALTEK)は、株式会社ベクトロジー(本社:横浜市港北区、代表取締役:篠田 義一、以下 ベクトロジー)と共同で、ハイパフォーマンスFPGAコンピュータ「HPFC」を開発し、販売を開始します。
これにより、4K/8K映像伝送、リモート制御、医療画像診断、ロボット制御などでの遅延・消費電力の課題を解決することが可能となります。なお、PALTEKは、3月24日(水)に「Society 5.0/Industry 4.0時代に求められるエッジコンピューティングプラットフォームとは」と題してウェビナーを開催いたします。
製品開発の背景
次世代通信規格「5G(第5世代移動通信)」の商用サービスが2020年3月25日に開始されました。IDC Japanの調査による※1と、4K/8Kなどの高精細画像/映像の伝送が産業分野における5Gの最大のユースケースの一つであると示されています。具体的には、4K/8K高精細映像コンテンツのリアルタイム配信、機械学習による画像認識、そして3Dモデリングによる新たな価値提供のユースケースにおいて、5Gの活用が進むと分析されています。
現在、5Gの活用に向けてマルチアングルによる臨場感あふれる遠隔スポーツ観戦、自動車・建機などの自動運転、遅延の許されない医療画像診断などの可能性が考えられ、さまざまな実証実験が始まっています。
そのなかで、5G時代の4K/8Kの高精細映像の伝送・映像処理・映像認識・AI処理に関して、以下の3つの大きな課題があります。
- 広帯域のメモリバンド幅
5G活用の代表的なアプリケーションの一つである自動運転では、一般的な車両においても3億行以上のコードが含まれるようになると考えられており、自動運転プラットフォームに必要な計算性能に対応するため、毎秒1TB/秒以上ものメモリ帯域幅が求められるようになります。
- 4K/8K高精細映像の入出力方法は多種多様
4K/8Kカメラ、各種イメージセンサ、グラフィックカードなど様々な入出力方法に対応する必要があります。
- 低消費電力
データ処理の増大に伴い、コンピュータやネットワーク関連機器、端末などのIT機器の数量とそれらの消費電力は加速度的に増大すると考えられ、電力消費はエネルギー消費の観点で重要な問題と位置付けられています。
ハイパフォーマンスFPGAコンピュータ「HPFC」の概要
HPFCは、PALTEKが販売しているFPGAコンピューティングプラットフォーム「M-KUBOS」とザイリンクス社が提供するアクセラレータカード「Alveo(TM)」を最大4基接続し構成されています。「Alveo(TM)」にはHBM2メモリ※2を搭載しており、メモリ帯域幅800GByte/秒を超えるメモリ帯域幅を実現します。またPYNQ※3にも対応しており、Jupyter Notebook※4の環境を活用することでPythonから手軽にFPGAを利用できます。
詳細は、 https://www.paltek.co.jp/design/original/hpfc/index.html をご覧ください。
ハイパフォーマンスFPGAコンピュータ「HPFC」の特長
- メモリ帯域幅
800GByteを超えるメモリ帯域幅を実現
- 小型低消費電力
19インチ2Uラック(約45センチ)の筐体に約300Wの消費電力のため、
自動運転実験車・ロボットなどに搭載可能
- インターフェース
豊富な画像映像インターフェースを接続可能
・3G/6G/12G-SDI
・HDMI1.4/2.0/2.1
・DisplayPort1.2/1.4
・100Gネットワークインターフェースカード
を開発済み。その他カードも検討中。
- PYNQ(TM)に対応
Jupyter Notebookを使ってWebブラウザからPythonでプログラマブルロジック上のハードウェアを制御可能
- マルチFPGAシステムFiCに対応
慶應義塾大学 天野教授が提唱するマルチFPGAシステムFiC※5に対応。
HPFCを連結させることにより、複数台での並列計算が可能
活用が期待できる分野
・xR(AR、VR、MR)
・自動運転研究
・医療画像診断
・ロボットのリアルタイム制御
ハイパフォーマンスFPGAコンピュータ「HPFC」の製品スペック
- オペレーティング・システム
Ubuntu 18.04
- アクセラレータ カード
ザイリンクス Alveo(TM) U50 データセンター アクセラレータ カード×4
- プロセッサ
QuadCore Arm Cortex-A53、DualCore Arm Cortex-R5
- メモリ
PS:4GB DDR4-2400
PL:1x DDR4-2400 SODIMM ソケット
アクセラレータ・カードHBM2 8GB×4(201 GB/s×4)
- アクセラレータ・カード
HBM2 8GB×4(201 GB/s×4)
- ストレージ
SSD(16GB、option)
- インターフェース
USB3.0×1、USB-UART×1、1Gb Ether(RJ45)、DP1.2
- 高速IO
8x GTH TX/RX分離(max 16.3Gbps)
4x GTH TX/RX混載(max 16.3Gbps)
慶應義塾大学情報工学科 教授・工学博士 天野 英晴氏からのコメント
「Zynq(R) UltraScale+(TM) MPSoC※6の中でもハイエンドデバイスであるXCZU19を搭載したM-KUBOSとザイリンクス社のAlveo(TM)がワンパッケージにまとまった世界唯一のコンピュータが完成しました。HPFCは、PYNQ(TM)を採用しているため充実したプログラミング環境・PYNQ(TM)アプリケーションの移植性の良さを持ちます。また、画像/映像に代表される豊富なインターフェース、マルチボードに対する拡張が容易である特長を持ちます。
HPFCは、既存のAI研究成果をエッジに持ち出すに最適なコンピュータであり、xR(AR、VR、MR)・自動運転研究・医療画像診断などリアルタイム処理が必要なアプリケーションに対してエッジコンピューティングプラットフォームとして最適解の一つになると確信しております。」
製品活用ウェビナーの概要
PALTEKは、「Society 5.0/Industry 4.0時代に求められるエッジコンピューティングプラットフォームとは」と題してウェビナーを開催いたします。
詳細につきましては、お申込みURLにてご確認ください。
・開催日時: 2021年3月24日(水)14:00~15:00 予定
・お申込み: https://www.paltek.co.jp/techblog/seminar/210324-01
専門用語説明
※1 2019年国内産業分野向け5G市場動向分析:5Gが加速する4K/8K高精細映像の産業応用
https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ45453819
※2 HBM2メモリ:従来の代表的なDDR4メモリ最大データ転送速度は25.6Gバイト/秒(理論値)です。これに対しHBM2は、DDR4の約10倍に相当する256Gバイト/秒(理論値)の最大データ転送速度を実現できる。
※3 PYNQ(TM):PythonでFPGAを利用するためのフレームワークのこと。
※4 Jupyter Notebook:PythonなどをWebブラウザ上で記述・実行できる統合開発環境のこと。
※5 マルチFPGAシステムFiC:FiC(Flow-in Cloud)は、価格性能比に優れた中規模FPGAを高速の双方リンクで複数本接した大規模計算システムのこと。
※6 MPSoC:MPSoCはザイリンクス社のSoC ポートフォリオのひとつで、プロセッサのソフトウェア プログラマビリティとFPGAのハードウェア プログラマビリティを兼ね備えており、非常に高いシステム性能、柔軟性、拡張性を実現します。また、低消費電力で低コストのデザインを素早く製品化できるなど、システム全体にも大きなメリットをもたらします。
ザイリンクスの名称およびAlveo(TM)、その他本プレスリリースに記載のブランド名は米国およびその他各国のザイリンクスの登録商標または商標です。その他すべての名称は、それぞれの所有者に帰属します。
株式会社ベクトロジーについて
ベクトロジーは主にFPGAコンピューティングに基づくGPUを凌駕する専用演算器の開発、FPGAによる数値演算専用シミュレーションの高速化、超微小信号アナログ/高周波アナログ、ASIC向けFPGAプロトタイピング、筐体設計・基板設計・製造・量産対応の5つの分野に特化してサービスをご提供しています。車載、医療、仮想現実、音声/画像認識、ディープラーニング等、ベクトロジーはFPGAをベースに最新のIoT事業へ貢献しています。リアルタイムで制限の多い環境下での演算処理が必要なこれらの分野にこそ、ベクトロジーのFPGAコンピューティング技術は最適と言えます。製品開発の複雑化、先進化に伴い、求められる演算処理能力のハードルはますます高くなるでしょう。ベクトロジーのFPGAコンピューティング技術が最適であることは、これまでの採用実績によって裏付けられています。
ベクトロジーに関する詳細は、 https://vectology.jp/ をご覧ください。
株式会社PALTEKについて
PALTEKは、1982年の創業以来、日本のエレクトロニクスメーカーに対して国内外の半導体製品の販売のほか、ハードウェアやソフトウェアなどの設計受託サービスも提供し、お客様の製品開発のパートナーとして仕様検討から試作開発、量産までサポートしています。
PALTEKは、「多様な存在との共生」という企業理念に基づき、お客様にとって最適なソリューションを提供することで、お客様の発展に貢献してまいります。
PALTEKに関する詳細は、 https://www.paltek.co.jp をご覧ください。