産業別労働生産性水準(2017年)の国際比較、 日本はサービス産業分野で低位
主要5カ国(日米独英仏)に欧州各国を加えた19カ国で比較
調査研究や提言、実践活動により生産性向上をめざす公益財団法人 日本生産性本部(東京都千代田区)は5月18日、「産業別労働生産性水準(2017年)の国際比較」を発表しました。これは、2018年4月に「産業別労働生産性水準(2015年)の国際比較」として公表した日米独英仏の5カ国比較について、直近年データ(2017年)に更新し、データを利用できる欧州諸国を加えた19カ国に比較対象国を拡張したものです。
当本部の産業別労働生産性水準比較研究ワーキンググループ(生産性比較WG/座長:滝澤 美帆 学習院大学経済学部教授)が、日本の国民経済計算年次推計やEU-KLEMSデータベースを利用し、計測・比較を行いました。
1.日本の労働生産性水準は、製造業で米国の7割(69.8%)、サービス産業で5割(48.7%)
・産業別にみた日本の労働生産性水準(2017年)は、米国と比較すると化学(対米比128.3%)で上回るものの、運輸・郵便(43.1%)や宿泊・飲食サービス(36.6%)、卸売・小売(32.3%)、情報・通信(13.9%)といったサービス産業分野で下回っており、日米格差が依然として大きい。
・5年前の2012年と比較すると、製造業(+8.2%p)のほか、米国の生産性水準を大きく下回る宿泊・飲食サービス(+4.6%p)や運輸・郵便(+3.1%p)といった分野で格差が縮小。ただ、情報・通信(-5.2%p)や卸売・小売(-2.1%p)などでは日米格差が拡大している。
・ドイツ、英国、フランスと比較すると、日本の労働生産性水準は、製造業でドイツの8割(83.0%)、英国と同程度(99.6%)、フランスの4分の3(76.8%)の水準であり、サービス産業ではドイツの6割強(64.6%)、英国の7割(68.1%)、フランスの6割(62.9%)となっている。
2.日米欧19カ国で比較すると、日本の製造業の労働生産性は11位、サービス産業は15位
・日本の製造業の労働生産性は、データが利用可能な日米欧19カ国中11位であった。一方、サービス産業は、19カ国中15位となっている。
・機械・電機・情報通信機器(17カ国中2位)や輸送用機械(18カ国中3位)は上位に位置しているものの、卸売・小売(19カ国中17位)や宿泊・飲食サービス(同14位)、情報・通信(同15位)といった分野で国際的にも生産性が低い状況にある。