「ふるさと納税」で〝国防〟を支援?髙橋洋一が安全保障を解説
年末にかけて、ふるさと納税の手続きをする方も多いのではないでしょうか。
日本各地のグルメな返礼品も魅力的ですが、元内閣官房参与で経済学者の髙橋洋一氏によると、ふるさと納税で国防が支援できるといいます。
いったいどういうことなのでしょうか。
今回は、『世界の「今」を読み解く!【図解】新・地政学入門』http://www.asa21.com/book/b616253.html、。よりふるさと納税により日本の安全に貢献する方法をご紹介します
※以下、本書より抜粋
「ふるさと納税」で〝国防〟を支援する
中国の脅威については、今までは、資本主義・民主主義国家、社会主義・独裁主義国家という点で大きく違っていても、経済的なつながりが良好ならば、何とかうまく付き合っていけるという発想もあったかもしれない。
しかし、それはもう幻想と思ったほうがいい。
ただ、近年、とみに野心を露わにしている中国に対して、「一般の日本人は手をこまねいているしかないのか?」と思った人には、1つ、すすめたいことがある。
中国が付け狙っている尖閣諸島は、「沖縄県石垣市」だ。
歴代の石垣市長は、尖閣諸島に行政標識を立てることを日本政府に要望してきた。というのも、日本が施政権を行使し、実効支配している土地でないと、日米安保が適用されないからだ。
無人島で、行政を担う公務員も配置されていなくとも、行政標識を立てれば、施政権をもって実効支配していることになる。
台湾と目と鼻の先にある自治体の長は、やはり危機意識が違う。
しかし、この石垣市からの要望は、中国を刺激したくない日本政府によって拒否されてきた。
私たちは、政府の判断に直接的に関わることはできない。
でも、尖閣諸島を擁する石垣市の活動を、経済的に支援することはできる。
じつは、石垣市は「石垣市の宝『尖閣諸島』の資料収集および情報発信等事業の為の寄付」と明記して、ふるさと納税を募っているのだ。
草の根的な調査活動や啓蒙活動の影響力は、意外と侮れない。
たとえば、石垣島から西表島など離島に向かうフェリー乗り場のロビーには、尖閣諸島の歴史などの展示がある。
住民税の一部を石垣市に納めれば、石垣市の税収が上がり、こうした尖閣諸島に関する事業にもっと費用を割けるようになるのだ。
バカンスで石垣島を訪れた人たちの何割かでも、こうした事業に触れ、尖閣諸島への意識、関心が高まれば、それが民意の力となって政府中枢に届く日が近づくかもしれない。
中国、ロシアに加えて、もちろん北朝鮮の脅威も忘れてはいけない。あなどれないのは、北朝鮮が非民主主義国であり、核保有国でもあるからだ。
戦争確率が高くなる条件を兼ね備えてしまっている。
実際、たびたび日本に向けて弾道ミサイルを発射するなど、北朝鮮は不穏な動きを見せつづけている。
著者プロフィール
髙橋洋一(たかはし・よういち)
1955年東京都生まれ。都立小石川高校(現・都立小石川中等教育学校)を経て、東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。 1980年に大蔵省(現・財務省)入省。大蔵省理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、総務大臣補佐官、内閣参事官(総理補佐官補)等を歴任。 小泉内閣・第一次安倍内閣ではブレーンとして活躍し、「霞が関埋蔵金」の公表や「ふるさと納税」「ねんきん定期便」など数々の政策提案・実現をしてきた。また、戦後の日本における経済の最重要問題といわれる、バブル崩壊後の「不良債権処理」の陣頭指揮をとり、不良債権償却の「大魔王」のあだ名を頂戴した。2008年退官。
その後、菅政権では内閣官房参与もつとめ、現在、嘉悦大学経営経済学部教授、株式会社政策工房代表取締役会長。 『【図解】ピケティ入門』『【図解】経済学入門』『【明解】会計学入門』『【図解】統計学超入門』『外交戦』『【明解】経済理論入門』『【明解】政治学入門』『99%の日本人がわかっていない 新・国債の真実』(以上、あさ出版)、第17回山本七平賞を受賞した『さらば財務省! 官僚すべてを敵にした男の告白』(講談社)など、ベスト・ロングセラー多数。
書籍情報
タイトル:世界の「今」を読み解く! 【図解】新・地政学入門
著者:髙橋 洋一
ページ数:296ページ
価格:1,650円(10%税込)
発行日:2022年12月15日
ISBN:978-4-86667-421-6
書籍紹介ページ:http://www.asa21.com/book/b616253.html
amazon:https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4866674210/asapublcoltd-22/
楽天:https://books.rakuten.co.jp/rb/17321951/?l-id=search-c-item-text-01
目次
プロローグ よりよい、より広い土地を巡る「戦争の歴史」 ── 地政学
第1章 とにかく「広い海」が欲しい 中国の地政学
第2章 昔も今も「南」へ向かいたい ロシアの地政学
第3章 争いを経て作られた「共同体」 ヨーロッパの地政学
第4章 かつての「世界の警察官」 アメリカの地政学
エピローグ 日本の現在と今後を考える