不安も多いオンライン授業のメリットとは?

非常時も学習できる安心感はどこから来るか

2021-01-06 17:00

(執筆:SOCIO編集部 林幸奈)

新型コロナウイルスの感染拡大により、3月2日から春休みまでの休校要請が発表された。東京都をはじめ、多くの自治体が5月31日までの休校を決めた。春休みが少し延長するくらいと思われた、いわゆる「コロナ休み」が、3ヵ月にも及ぶと予想していた人は少ないだろう。それから半年が経った現在でも、オンライン授業が実施されている学校は少なくない。

学校へ行けなくなった子どもや親の心配は、学習の機会がなくなり、遅れが生じること。学習塾も休止となり、家庭学習では限界があった。

  

オンライン授業はコロナ以降も必要になる?

学校保健安全法第20条により、学校の設置者は感染症の拡大を抑えたい場合に、学校を臨時休業させられる。また第26条により、災害時・非常時は安全を第一に考慮し、学校の判断で適切な対処が求められる。

3月の休校・自粛ムードで、東日本大震災を思い出した人は多いだろう。震災下でも安全を考え、関東でも多くの学校が休校となった。被災地では再開までに2ヶ月以上かかった学校が多いという。夏から秋にかけて、台風が発生した場合も同様だ。2019年、台風15号・19号の際も、多くの学校が休校となった。とくに19号の際は、複数の鉄道会社で計画運休が行われたため、電車通学をしている生徒はどうしても学校に行けない事態となった。

  

学習のための「1人1台端末」は実現する?

とくに多くの学校で問題となったのが、インターネット環境だ。設備がない、家庭ごとに環境に差があるという事情から、オンライン指導に踏み切れない場合が多い。

一方、小学校でプログラミングの授業を導入するなど、2020年度以降からはじまる新学習指導要領では、教育のICT化が推奨されている。2018〜2022年度は「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画」として、で単年度1,805億円の経費で環境の整備を進めていた。

  

学習以上にオンライン授業が与えるものは?

たくさんの学校が、それぞれできる形で学習の場を提供している。岐阜県はアンケートを行い、95%以上の家庭がオンライン授業に対応できると判断したため、全県立高校でオンライン授業を導入した。接続などに問題があったのは最初だけで、慣れていくうちに対応できるようになった。

また「体育などの実技は難しい」とされてきたが、部活動をオンラインで実施する学校もある。同時双方向型のオンライン上でトレーニングやミーティングを行い、部員同士で交流をしているという。学校に行けなくても勉強できる・人とつながれることは、子どもたちにとって心強いだろう。非常時は、子どもたちも不安が高まる。休校になれば友だちと会えず、生活スタイルが変わる。今年3月からの休校では、生活リズムを崩す子どもが多かったという。

  

【今回のコメンテーターからのご意見】

・今本 繁(いまもと・しげる)
『自分を変えたい人のためのABCモデル:教育・福祉・医療職を目指す人の応用行動分析学(ABA)(22世紀アート)』 の著者。合同会社ABC研究所 代表。

私は発達障害のお子さんの相談を行っているが、全国的に不登校のお子さんにとっては、学校に行かなくても公教育が受けられるメリットは計り知れない。不登校になる原因も、いじめや友達関係、勉強がわからない、ユニークすぎる特性などさまざまだが、それらのお子さんの学習補填ができる。オンライン学習には友達との交流が持ちにくいというデメリットもあるが、いじめに悩んでいる子どもにはメリットになる。

 

  

この記事のまとめ

①現在、同時双方型のオンライン授業を導入している学校は、全体の5%
②地震・台風などの災害時、感染症拡大時の活用が期待できる
③文部科学省は2,292億円の予算で、1人1台端末の配布を実現させる予定
④オンライン授業は、非常時の不安な子どもが、学校とつながるための手段となる

  

 

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