日常と非日常に新たな可能性 ~緊急事態宣言下におけるキャンピングカーの 利用方法について調査~

一般社団法人日本RV協会(所在地:神奈川県横浜市、会長:降旗 貴史)は、キャンピングカーを所有しているユーザー、またはキャンピングカーに興味を持っている人に、「緊急事態宣言下におけるキャンピングカーの利用方法」についてアンケートを行いました。

国内での新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府から発令された緊急事態宣言(2020年4月上~中旬から5月中~下旬(地域により)まで)。今回のアンケートでは、キャンピングカーユーザーの感染症対策に対する意識や、緊急事態宣言下でどう過ごしていたかなどの調査を行いました。キャンピングカーの持つ「くるま旅やアウトドアを楽しむというもの」という概念を超えた、新しい使い方に関する声も寄せられ、興味深い内容になっています。

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日本RV協会URL: https://www.jrva.com/

車内でのテレワークに注目が集まる

当アンケート内におけるキャンピングカーの所有率は、88.5%(図表1)。また、当協会の調査によれば、国内キャンピングカーの保有台数は、2018年では11万2500台。翌年2019年では11万9400台と純増しています。
(関連ページ:拡大成長を続けるキャンピングカー市場~業界の動向と最新データをまとめた『キャンピングカー白書2020』を発行~)

当アンケート内で「キャンピングカーを所有している」と答えた人のうち、緊急事態宣言が発令されてからキャンピングカーを使ったと答えた人の割合は、78.6%(図表2)。ただし、一口に「使う」と言っても、その内容は様々です。ここで注目したいのは、具体的に何をしたかということです。

そこにフォーカスしてみると、「メンテナンスをした」と答えた人が最も多く41.5%(図表3)。また、「DIYをした」という人は17.0%見られることから、自粛期間が終わってからのくるま旅を楽しむために、愛車のケアやカスタムに精を出した人が多いことがうかがえます。
また、「車両を動かさず、車内で過ごした」と答えた人も17.9%見られました。具体的にどう過ごしたかを自由回答で聞いてみると、以下のような声がありました。

「仕事」
「リモートワークしてました」
「テレワークに使用 家の中よりも仕事に集中できるため」

ほかにも、車内でテレワークをしたとの自由回答は多く寄せられました。サブバッテリーがあることによってコンセント類から電源が取れ、ノートPCなどを気軽に使用できるキャンピングカー。アウトドアレジャーのツールとしてだけでなく、集中できる在宅勤務の場所としても、今後注目が集まることが予想されます。

また、自宅の庭や駐車場でキャンプをしたという声も寄せられました。緊急事態宣言下でも、キャンピングカーユーザーは思い思いの方法で、新型コロナウイルスの感染リスクと向き合いながらアウトドアを楽しんでいることが分かります。

「自宅キャンプ」
「自宅の庭でテントを張り、キャンプ場のオートサイト風の楽しみを作った」
「夜間に宿泊して、旅の雰囲気を楽しみました」

「その他」と答えた23.6%の人にも、「キャンピングカーに関して、主に何をしましたか?」と聞いてみると、以下のような自由回答が寄せられました。

「普段使いしてる為、スーパーやドラッグストア等に行った」
「公衆トイレや公共交通機関を使わないお出かけ」
「満員の通勤電車を避けるために、会社の駐車場で生活してました(笑)」

逆に、緊急事態宣言下でキャンピングカーを使わなかった人の自由回答も一部、見てみましょう。

「コロナが心配で出かけられない」
「自粛ムードだから」
「出かけたら非難を受けそうだから」

新型コロナウイルスに感染するかもしれないというリスクを踏まえて、計画していた旅を断念した人もいるようです。加えて、テレビなどで取り上げられた、過度な自粛ムードを怖れる声もありました。くるま旅を存分に楽しむためにも、一日も早くこのコロナ禍が終わってほしいものです。

図表1
図表2
図表3

くるま旅に除菌グッズの携帯は必須!?

新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、多くの人がマスクを身に付けるようになりました。また、3密を防ぐためのソーシャルディスタンスが叫ばれるなど、国民の衛生面への関心も変わりつつあります。キャンピングカーユーザーにとっても同じ傾向が見られます。「これからキャンピングカーを使うシーンで、健康や衛生面への意識が向上すると思いますか?」と質問したところ、「はい」と答えた人は85.0%という結果になりました(図表4)。

また、「はい」と答えた人に対して、「健康や衛生面への配慮として、主に何をしますか?」と聞いたところ、54.1%の人が「除菌グッズを携帯する」と回答(図表5)。
除菌スプレーやウェットティッシュなどは持ち運びがしやすく気軽に使えるため、ユーザーの中でも需要が高まっていることが予想されます。

加えて、「車内でも手洗いやうがいをする」と答えた人の割合は22.0%。キャンピングカーに架装されているシンクの有用性が分かる結果となりました。

また、車内のトイレやシャワールームを使えるのも、キャンピングカーならではのアドバンテージと言えます。「その他」と答えた人の自由回答には、以下のような声が寄せられました。

「公共施設は使わない(トイレ、風呂)」
「自分達というより、他者に迷惑を掛けない心配り」

図表4
図表5

キャンピングカーは、新型コロナウイルスの感染防止に有用との声も

国内での新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、各地で予定されていたキャンピングカーショーは、多くが中止または延期となりました。そのためか、キャンピングカーに関する情報は、雑誌またはネットで得る人が78.0%という結果となりました(図表6)。「近場のショップに行く」と答えた人は2.7%とかなりの少数に留まり、ここでも不要不急の外出自粛要請の影響が見られる印象です。

緊急事態宣言の発令によって、キャンピングカー自体に対する考え方が「変わった」と答えた人(図表7)に、その詳細を聞いてみました。

「キャンピングカーが、移動のツールとして、又、旅の休憩所、宿泊場所としてあらためて大変便利なものだと思った。3密無しで、旅を楽しむことが出来る優れものだと思う」
「外部との接触が最低限で済むキャンピングカーは、活用方法次第で楽しみ方は拡がりそう」
「リモートワークには最適な環境ですね。家族を気にせずに、仕事に集中できるし、AC電源使えるし、コーヒーもすぐ沸かせるし、BGMも流せるし、家のWi-Fiも繋がるし」
「感染の疑いがある場合、家庭内で隔離は難しいが、車の中で過ごしてもらうことができる」

くるま旅を楽しむのはもちろんのこと、新型コロナウイルスの感染対策やリモートワークといった観点からも、キャンピングカーは使えるというポジティブな声が多く寄せられました。その一方で、少数ですが以下のような回答も見られました。

「やはり目立つという事で、他者からの視線をより一層感じるようになり、肩身の狭い気持ちになりました」
「キャンパーというカテゴリーからして緊急事態宣言下では、「遊び」の部類に見られるため人目を気にするようになり、少し肩身が狭い思いをしました」

キャンピングカーが新型コロナウイルスの感染対策に有用とはいえ、一般的な認知はあまり広まっていないというのが実情でしょうか。雑誌などのメディアを通してその利便性を発信することが、今後求められるところです。

図表6
図表7

旅行・観光・飲食業などへの業績回復には、キャンピングカーが有効!?

「キャンピングカーでの旅・観光は、ソーシャルディスタンスの面から有効だと思いますか?」との質問に対し、「はい」と答えた人は最多の88.5%にも上りました(図表8)。移動手段として、電車や飛行機などでの不特定多数の密集・密接・密閉が避けられるのは大きなメリットといえます。それだけではなく、車内で家の中と変わらず過ごせることも見逃せません。キャンピングカーは、旅先での新型コロナウイルスの感染防止に一役買うのではないでしょうか。

実際問題として、新型コロナウイルスの感染拡大のあおりを受けた旅行・観光・飲食業などは、経済的に大きな打撃を受けるに至りました。そしてこれらの業種の業績回復を見込み、2020年7月22日から、政府は「Go Toキャンペーン」を実施しました。

そこで、キャンピングカーでの旅行は、それに寄与すると思うか聞いてみました。結果は「はい」と答えた人が77.0%(図表9)。人混みを避け、自由気ままなくるま旅が出来るという強みを活かせるキャンピングカーは、旅を楽しむとともに旅行・観光・飲食業などへの貢献も期待されます。

では最後に、「新型コロナウイルスが収束したら、キャンピングカーで何をしてみたいですか?」という質問に対する、自由回答を見てみましょう。

「以前のように他県へ遠出して、観光&車中泊を楽しみたい」
「国内旅行しつつ温泉三昧、地元の美味しいもの探し、たまにキャンプ場でのんきにしても良い。海に近い場所であれば釣りしつつキャンプもいいかな」
「全国一周」

車内でテレワークができたり、3密を極力防ぎながら旅行ができたりと、キャンピングカーは、緊急事態宣言下でも活躍の余地が大いにあると思われます。コロナ禍が収束したあかつきには、以前と同じく思う存分、くるま旅を楽しみたいですね。

図表8
図表9

調査概要

調査地域:全国
調査対象:日本RV協会ホームページ閲覧者
調査方法:Webアンケート
調査時期:2020年6月18日(木)~7月17日(金)

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