「ビル再生100の物語」より広いエリアを見る。

ビル再生100の物語 第44話

2022-05-23 07:00

テナワンでは、これまで多くのビルの空室対策や賃貸運営を行ってきました。

それぞれの問題を解決してきたビル再生の事例を「100の物語」としてこれから公開していきます。

長く物件を保有すると、短視眼的になってしまうもの。
より引いて見てみると思わぬ発見があります。

港区にある1フロア20坪程のビル。最寄り駅から10分以上かかる立地が募集のネックとなっていました。

既存テナントが縮小。複数フロアが空いてしまった。

1984年に新築されたこのビルは、1階にオーナ-の家業としている店とテナントの店舗、2〜4階が事務所テナント、最上階がオーナールームという都心の典型的な複合ビル。
港区ということもあり、便利な立地のため2〜4階まで借りている事務所テナントは10年以上入居していましたが、2年ほど前から徐々に業態を縮小し、3階を退去、1年前には4階も退去することになり、数少ない賃貸部分の半分が空いてしまうという憂き目にあいました。

駅の遠さからリーシングに苦しむ

最寄りの都営地下鉄「三田」駅からは、徒歩10分の距離。
山手線の内側という都心にありながら、最寄りから10分以上歩く物件は都心という強味を生かせず、なかなか借り手がいません。かなりの空室期間が過ぎてしまい、オーナーの家族の間でも焦りがつのりました。

日当たりが良く、風通しの良い室内

実は近い距離の駅が2つもあった

ビルの住所が三田であることから、オーナーはいつも最寄りを三田駅(歩10分)、田町駅(歩12分)としてきたのですが、インターネットの地図上で引いて見てみると、実は徒歩距離で1分近い駅が2つもありました。
東京メトロ「麻布十番」駅と「白金高輪」駅です。いずれもビルから徒歩9分でした。
10分と9分ではずいぶんと印象が違います。改めて4駅利用で募集を開始してみたところ、徐々に問合せが入り始めました。
周辺駅では麻布十番の人気が高く、賃料も高いため、最初は駅徒歩5分以内で検索している客が、10分以内でも検索することがあるのです。当ビルは駅近ビルよりも賃料を低めに設定しているため、内見の動機になります。
内見すると、当ビルの売りである日当たりの良さ、風通しの良さがよく伝わり、気に入る客が多いこともわかりました。
その結果、インターネット通販を行う会社が申込みを入れ、3階が成約となった上、その後4階も増床し、満室に戻すことができたのです。

少し引いた目線で見ると、人気駅など好立地に気が付くきっかけをつかんだ事例です。

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