秋も更ふけて、暁闇ぎょうあんがすぐに黄昏たそがれとなり、暮れてゆく年に憂愁をなげかけるころの、おだやかな、むしろ物さびしいある日、わたしはウェストミンスター寺院を逍遥しょうようして数時間すごしたことがある。悲しげな古い大伽藍だいがらんの荘厳そうごんさには、この季節の感覚になにかぴったりするものがあった。その入口を通ったとき、わたしは、昔の人の住む国に逆もどりし、過ぎ去った時代の闇やみのなかに身を没してゆくような気がした。テスト2021-06-11 10:00テスト