第26回「山本七平賞」最終候補作決定のお知らせ
株式会社PHP研究所(京都市南区 代表取締役社長 清水卓智)は、この度、第26回山本七平賞の予備選考会を実施し、下記のとおり最終候補作が決定しましたのでお知らせいたします。
《最終候補作》 ※五十音順。
『安保論争』(細谷雄一著、ちくま新書)
『「海道東征」への道』(新保祐司著、藤原書店)
『多田駿伝』(岩井秀一郎著、小学館)
山本七平賞は、平成3年12月に逝去された山本七平氏の長年にわたる思索、著作、出版活動の輝かしい成果を顕彰することを目的に、平成4年5月に創設されました。賞の対象となる作品は前年7月1日から当年6月末日までに発表(書籍の場合は奥付日)された、書籍、論文で、選考委員は、伊藤元重(学習院大学教授)、呉 善花(拓殖大学教授)、中西輝政(京都大学名誉教授)、養老孟司(東京大学名誉教授)の4氏。
最終選考会は9月11日(月)に実施され、受賞作品が決定します。受賞者には賞金300万円と記念品が贈られ、贈呈式は11月21日(火)、都内で開催予定です。
★山本七平賞の詳細、過去の受賞作品はこちらをご参照ください。
PHP研究所 山本七平賞 https://www.php.co.jp/company/yamamoto/
<最終候補作と著者について> ※五十音順
◆『安保論争』(ちくま新書 2016年7月10日)
現代の世界で、平和はいかにして実現可能か。日本の安全は、どうすれば確保できるのか──。安保関連法をめぐる激しい論戦にもかかわらず、こうした肝要な問いが掘り下げられることはなかった。これらの難問を適切に考えるには、どのような場合に戦争が起こるかを示す歴史の知見と、21世紀の安全保障環境をめぐるリアルな認識とが、ともに不可欠である。国際政治・外交史の標準的見地から、あるべき安全保障の姿と、そのために日本がとるべき道筋を大胆かつ冷静に説く、論争の書。
《著者:細谷雄一 (ほそや・ゆういち)》
1971年千葉県生まれ。現在、慶應義塾大学法学部教授。立教大学法学部卒業。英国バーミンガム大学大学院国際関係学修士号取得。慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程修了。博士(法学)。北海道大学専任講師などをへて、現職。『戦後国際秩序とイギリス外交』(創文社)でサントリー学芸賞、『外交による平和』(有斐閣)で政治研究櫻田會奨励賞、『倫理的な戦争』(慶應義塾大学出版会)で読売・吉野作造賞を受賞。その他の著書に、『外交』(有斐閣)、『国際秩序』(中公新書)、『戦後史の解放I 歴史認識とは何か』(新潮選書)など。
◆『「海道東征」への道』(藤原書店 2016年9月10日)
“封印”されていた交声曲(カンタータ)は、いま、なぜ復活したのか? 「海ゆかば」の信時潔(のぶとき・きよし)の作曲、北原白秋の作詩による交声曲「海道東征」。戦後封印されてきた大曲が戦後70年に復活公演され、大きな感動で迎えられたが、その10年をかけた復活劇は著者の「信時潔論」が強力に牽引していた。東日本大震災という未曽有の災害により「戦後日本」が根底から揺るがされた、戦後60年から70年の10年間における、日本社会の精神史的考察の集成。
《著者:新保祐司 (しんぽ・ゆうじ)》
1953年生まれ。文芸批評家。現在、都留文科大学教授。東京大学文学部仏文科卒業。著書に、『内村鑑三』、『文藝評論』、『批評の測鉛』、『日本思想史骨』、『正統の垂直線──透谷・鑑三・近代』、『批評の時』、『国のさゝやき』、『信時潔』、『鈴二つ』(以上、構想社)、『島木健作──義に飢ゑ渇く者』(リブロポート)、『フリードリヒ 崇高のアリア』(角川学芸出版)、『異形の明治』(藤原書店)、『シベリウスと宣長』、『ハリネズミの耳──音楽随想』(以上、港の人)、『明治頌歌』(展転社)がある。また編著書に、『北村透谷──〈批評〉の誕生』(至文堂)、『「海ゆかば」の昭和』(イプシロン出版企画)、『別冊環18 内村鑑三 1861-1930』(藤原書店)がある。2007年、フジサンケイグループ第8回正論新風賞を受賞。
◆『多田駿伝』(小学館 2017年3月6日)
陸軍屈指の「中国通」として知られ、日中和平の道を模索し続けた多田駿(はやお)。だが、これまで評伝は1冊もなく、昭和史の専門家以外にはその名を知る人はほとんどいない。「多田駿とは何者か?」 著者はその疑問を解くために、厖大な数の文献を読み漁り、遺族を訪ねて未発表史料を発掘しながら、その足跡を丹念にたどっていく。戦後日本人が忘れていた一人の“良識派”軍人の素顔がいま初めて明らかになる。
《著者:岩井秀一郎 (いわい・しゅういちろう)》
1986年、長野県生まれ。歴史研究者。1994年より、埼玉県深谷市在住。2007年4月、日本大学文理学部史学科に入学。2011年3月、同大学卒業。以後、一般企業で働くかたわら、昭和史を中心とした歴史研究・調査を続けている。本書が初めての著書。
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