金属工芸の煌びやかな金銀の装飾や華麗な文様を間近に味わう 特別展「建国1100年 高麗(こうらい)―金属工芸の輝きと信仰―」
~一千年を経て輝きつづける信仰の美~
近鉄グループの文化事業である大和文華館では、2018年10月6日(土)から11月11日(日)まで、特別展 「建国1100年 高麗(こうらい)―金属工芸の輝きと信仰―」を開催いたしております。
高麗(918―1392年)は、朝鮮半島の歴史の中でも文化・美術において成熟した時代といえます。中国・北宋時代に、徐兢は使節団の一人として高麗に赴き、首都開城に滞在した際の見聞や自らの感想を記した『宣和奉使高麗図経』を帰国後に皇帝に上奏しています。その中では、高麗の螺鈿漆器や青磁が「極精巧」「細密可貴」「色沢尤佳」と称され、技術の高さと美しさが認められていたことがうかがえます。そして一千年以上経た今なお、仏教への篤い信仰を背景に生み出された仏画、金属工芸、螺鈿漆器、「翡色」と謳われた清らかな色合いの青磁に見られる精緻な造形は、人々の心を惹きつける輝きを放っています。
朝鮮半島での金属工芸の歴史の中で、仏教を篤く崇拝した統一新羅とともに、高麗時代には金属を用いた仏教文物が盛んに制作され、その制作背景には、国の安泰への願いや、個人の信仰などの切実な祈りが籠められています。これらには金や銀といった貴重な材質が豊かに用いられて厳かかつ煌びやかに荘厳され、王侯貴族を中心として花開いた文化を鮮やかに反映しています。
本展覧会は、仏龕や舎利容器などの仏具、梵鐘、匙や箸などの飲食器、装身具、鏡など、信仰や生活、装飾といった多様な用途を反映する金属工芸作品に焦点をあて、高麗時代の製作技術や美意識、文化に迫ろうとするものです。高麗は日本や呉越国、北宋、元などと交流を持っており、金工作品からはこのような文化交流の軌跡をもうかがうことができます。高麗が建国した918年から1100年を迎える2018年に高麗の金属工芸の魅力に注目する展覧会です。
「銀製鍍金観音菩薩・毘沙門天像小仏龕」
(東京国立博物館Image:
TNM Image Archives)
「鉄地金銀象嵌鏡架」
(愛知県美術館[木村定三コレクション])
「高麗唐草文鏡」
(京都国立博物館)