「ルックプラス バスタブクレンジング」の技術・市場貢献が 令和3年度日本油化学会「工業技術賞」 および「エディター賞」を受賞

 ライオン株式会社(代表取締役社長・掬川 正純)は、『浴槽表面に固着したケラチン汚れの除去技術と掃除負担軽減に向けた浴室洗剤への応用』に関し、令和3年度公益社団法人日本油化学会「工業技術賞」および「エディター賞(Journal of Oleo Science Editors' Award)」を受賞しました。「工業技術賞」は、油化学工業に関連する、技術的成果、工業化実績、特許出願・特許成立の有無に関して特に顕著な業績に対して与えられる賞、「エディター賞」は、Journal of Oleo Science掲載の原著論文の中でも特に優秀と認められた論文に対して与えられる賞です。工業技術賞の授賞式は2022年4月20日(水)に油脂工業会館にて行われました。
 なお、『ルックプラス バスタブクレンジング』については、2019年の日本包装技術協会「第43回木下賞 研究開発部門賞」(※1)、2020年の世界包装機構「ワールドスター賞」(※2)、2021年の四国地方発明表彰「日本弁理士会会長賞」、「実施功績賞」(※3)など、製品技術に対して高い評価をいただいています。

(※1) 2019年6月19日リリースで発表済み
(※2) 2019年12月25日リリースで発表済み
(※3) 2021年11月28日リリースで発表済み

受賞者

(左から)
ライオン株式会社 研究開発本部
兵藤 亮、須藤 慎也、内藤 厚志

商品画像

商品画像

(左から)
ルックプラス バスタブクレンジング クリアシトラスの香り
ルックプラス バスタブクレンジング フローラルソープの香り
ルックプラス バスタブクレンジング銀イオンプラス ハーバルグリーンの香り
ルックプラス バスタブクレンジング銀イオンプラス 香りが残らないタイプ
製品情報ウェブサイト https://look.lion.co.jp/lookplus/bathtub

工業技術賞

受賞研究業績名

浴槽表面に固着したケラチン汚れの除去技術と掃除負担軽減浴室洗剤への応用

受賞の概要

浴槽掃除における負担感の払拭に向けた、研究技術成果、特許出願・特許成立、浴室用洗剤市場の活性化に関し、受賞いたしました。

受賞者

須藤 慎也:ライオン株式会社 研究開発本部
兵藤 亮 :ライオン株式会社 研究開発本部
渡邊 洋介:ライオン株式会社 研究開発本部
内藤 厚志:ライオン株式会社 研究開発本部

研究背景

 家事の時短や負担軽減が生活者ニーズとして高まる中、浴槽掃除は、スポンジ等でこすらないと汚れが落ちないと思っている生活者が多く、負担が大きい家事の1つです。浴槽掃除の実態調査から、掃除負担の軽減に繋がる主要素は、掃除時間の短縮が可能となる十分な洗浄力と簡便な洗浄手段であることがわかり、「浴槽のこすらず洗い」という新しい掃除行動の提案を目指しました。こすらずに洗うためには、「汚れの除去性を大きく向上させる剤」と、「浴槽全体に広がる汚れに対し満遍なく洗剤を作用させる手段」が必要です。
 前者の課題においては、汚れを短時間で浴槽表面から剥離しやすい状態にするため、従来の浴室用洗剤の主技術である界面活性剤の可溶化・分散に基づく考え方だけでない、汚れの物性変化に着目した新たな洗浄技術を開発しました。また後者の課題においては、1プッシュで約1mの広範囲に洗剤を噴霧できる、新しいミストタイプのトリガー容器を開発しました。

研究内容

(1)技術的成果:汚れ除去性向上に向けた新洗浄機構の構築
 本研究では、強固な汚れを剥離しやすい状態にする「汚れの膨潤」という性質を活用した、新たな洗浄技術を開発しました。
 まず、浴槽内の汚れを解析した結果、主成分は、人体由来の角層ケラチンが水中のカルシウムなどの金属イオンと結合して疎水化し浴槽表面に強固に付着したものであることがわかりました。この汚れを除去するため、高い金属捕捉能を持つ剤を短時間で汚れに浸透させる手法を検討し、特定の界面活性剤とグリコール系溶剤の組合せによって、汚れの膨潤速度を大きく向上できることを見出しました。この技術を応用し、浴槽表面からシャワーの水圧だけで汚れを流し剥がせる、こすらず洗える新洗浄メカニズム“無力化洗浄”を構築、洗剤組成に活用しました。

図 カルシウムと結合したケラチンの膨潤状態変化

図 カルシウムと結合したケラチンの膨潤状態変化

a)ルックプラス バスタブクレンジング(※4)、b)当社従来品
(※4) 変化を見やすくするため、製品から色素を抜いています。

(2)工業化実績:『ルックプラス バスタブクレンジング』への活用
 製品化においては、もう1つの課題である「浴槽全体に満遍なく洗剤を作用させる手段」に対して、簡便且つ短時間に実施可能な方法が必要となります。消費者に受け入れられやすい形態として手動のスプレー型を選択し、多量の液を広範囲に噴霧できる仕組みを新たに開発しました。一度に多量の洗剤を噴霧する上では、液を充填するピストン部の体積拡大が必要となりますが、ピストン部が大きくなるほどトリガーレバーを引くのに大きな力を要します。そこで、テコの原理が働くようトリガーレバー長を適切に調整することで、手の大きさや握力などの個人差に左右されることなく“腕をスライドしながらワンプッシュで約1mにわたり楽に噴霧できるトリガー(大容量吐出が可能な新規トリガー)”を開発しました。

 上記の“洗浄機能を向上させた洗剤組成”と“大容量吐出が可能な新規トリガー”とを組み合わせることによって、2018年9月に浴槽に洗剤を簡便に満遍なく噴霧でき60秒後にシャワーで流すだけでこすらず汚れが落とせる浴室用洗剤『ルックプラス バスタブクレンジング』を開発、発売しました。本製品の“浴槽をこすらず洗える”という家事負担を軽減する価値が広く受け入れられ、生活スタイルの変化をもたらました。また、2020年4月には、銀イオンを配合した付加価値品である『ルックプラス バスタブクレンジング銀イオンプラス』を発売、2021年年間(1月~12月)の「ルックプラス バスタブクレンジング」シリーズ全体の累計販売数量は、3,700万個に達し(※5)、ご高評をいただいております。
(※5) 『ルックプラス バスタブクレンジング』『ルックプラス バスタブクレンジング銀イオンプラス』の各本体、詰め替えの合計(当社調べ)

(3)特許
 技術的成果は、浴室用洗剤としての新規性・進歩性も認められ、複数の関連特許が登録となりました。
主な特許:第6516353号 浴室用液体洗浄剤
     第6726606号 噴出器

エディター賞

受賞論文

“Synergic Effects of Surfactant and Chelating Agent on Stubborn Keratin Grime for Easy Cleaning”
Shinya Sudo, Yosuke Watanabe, Atsunori Morigaki, Kazuya Inomata, Ryo Hyodo, Atsushi Naito
J. Oleo Sci. 70, (12) 1769-1776 (2021)

受賞の概要

Journal of Oleo Science掲載の原著論文の中から系統的な界面科学的研究として卓越した論文と認められ、受賞いたしました。

当社は、今後も、生活者一人ひとりの健康で快適なくらしの実現を目指し、幅広い分野にわたる基盤研究、製品開発研究等を進め、毎日の「より良い習慣づくり」に繋がる新たな価値を提供してまいります。

トリガー形状
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