IEEEが発表　 遠隔医療を拡大させる高品質ブロードバンド接続と ウェアラブルデバイス

IEEE(アイ・トリプルイー)は世界各国の技術専門家が会員として参加しており、さまざまな提言やイベントなどを通じ科学技術の進化へ貢献しています。

遠隔医療は積極的に医療システムを変革し、医療の提供方法を再構築しています。

コロナ禍に触発されて急拡大した遠隔医療は、地域医療へのアクセスや専門家の確保を含め、さまざまな障害を打破する方法と見なされています。それに加えて、ウェアラブルやIoTデバイスの台頭により、継続的な遠隔監視を通じて医療をパーソナライズすることも現実味が増しています。

「遠隔医療は、医療の質を向上させると同時に、より多くの人々が利用しやすくなる可能性を秘めています。さらに、医療の効率性、協調性、利便性を向上させることができます。」とIEEEメンバーのスカーニャ・マンダル(Sukanya Mandal)氏は述べています。「ウェアラブルデバイスは、その形状が進化しているだけでなく、収集、保存、処理できる情報量も飛躍的に増加してきました。これらの相互接続された医療デバイスは、医療サービスの合理化、パーソナライズされた医療の提供、効果的な治療計画の策定、健康転帰の改善、および患者ケアの全体的な質の向上を実現するリアルタイム患者データを大量に生成します。」

質の高いブロードバンド接続は遠隔医療アクセスの重要な要素であり、そのアクセシビリティのレベルは、健康の社会的決定要因としてさらに注目度が高まっています。たとえば、米国では、高品質ブロードバンド接続ができる地域は、そうでない地域に比べて糖尿病の罹患率が低い傾向にあります。
「シームレスな接続性は、患者の健康状態に関する情報をリアルタイムで送信するのに役立ち、診断とその後の診察の精度を改善します。」とスカーニャ・マンダル(Sukanya Mandal)氏は語っています。
5Gと強化された接続性をサポートするデジタルインフラストラクチャーのモダナイゼーションは、遠隔医療をより広範に利用可能にするための鍵となります。病院から遠く離れた場所に住んでいて、医療サービスを十分に得られない地域の人々でも、より質の高い治療を簡単に受けられるようになります。
「セルラー通信網や家庭のインターネットを介した遠隔医療へのアクセスは、治療のコンプライアンスを向上させ、より良い健康転帰をもたらします。」とIEEEメンバーのカルメン・フォンターナ(Carmen Fontana)氏は述べています。

ウェアラブル技術は絶え間なく進化しており、リアルタイムで詳細な患者データをシームレスに収集するための効果的な方法として確立されています。医療提供者はウェアラブルデバイスがあることで、より正確な情報に基づいた意思決定を下せるようになるため、リモートでの患者のモニタリングと健康転帰の改善に欠かせないものになっています。
ウェアラブルデバイスは、すでに総人口レベルで相当量のデータを提供しています。「一例として、スマートフォンのアプリは、濃厚接触者を追跡したり、クラスター感染の発生場所を予測するために使用されています。」とIEEEフェローのラビンダー・ダヒヤ(Ravinder Dahiya)氏は述べています。
技術が進歩するにつれて、ウェアラブル技術は遠隔医療への統合が進み、医療提供者とその患者を一層支えるようになります。
「次世代のAI機能により、さらに多くの健康データをウェアラブルデバイスやモバイルアプリケーションに統合できるようになり、潜在的な懸念を示すパターンの検出に役立ちます。さらに技術が成熟すれば、リアルタイムデータを使用して、より優れた遠隔医療を提供し、基本的な医療処置は遠隔地から完了できるような、一段と高度なIoT遠隔医療ソリューションが登場する可能性があります。これにより、時間を節約し、経費や不要な負担を省くことができるでしょう。」とスカーニャ・マンダル(Sukanya Mandal)氏は述べています。

ウェアラブルデバイスと5G接続の統合は、遠隔医療の継続的な成長と、コネクテッドヘルスツールのエコシステムの迅速な進化にとって欠かせない技術です。
「これらの技術は、医療システムをより効率的にし、世界中の遠隔地やアクセスできない地域への医療システムの提供範囲を拡大することでしょう。」とIEEEフェローのラビンダー・ダヒヤ(Ravinder Dahiya)氏は述べています。「また、医療従事者の不必要な作業を減らすことで、彼らの生活の質を改善させることにもつながります。」

IEEEは、世界最大の技術専門家の組織であり、人類に恩恵をもたらす技術の進展に貢献しています。160カ国、40万人以上のエンジニアや技術専門会の会員を擁する非営利団体で、論文誌の発行、国際会議の開催、技術標準化などを行うとともに、諸活動を通じて世界中の工学やその他専門技術職のための信用性の高い「声」として役立っています。
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