スパークス・アセット・マネジメント調べ 現役投資家の“ポイント投資”利用率は48%、 60代・70代では昨年比プラス15ポイントの大幅上昇
スパークス・サーベイ ―世相をスパッと一刀両断― 日本株式市場の振り返りと展望に関する意識調査2022
スパークス・アセット・マネジメント株式会社(https://www.sparx.co.jp/)(東京都港区。代表取締役社長 阿部修平)は、今年1年の日本株式市場を総括し、また、来年以降の見通しについて探るため、2022年11月16日~11月17日の2日間、全国の20~79歳の投資経験者(日本株式、外国株式、公社債、投資信託、REIT、金・プラチナなどの金融資産への投資経験がある人)を対象に、「日本株式市場の振り返りと展望に関する意識調査2022」をインターネットリサーチにより実施し、1,000名の有効サンプルを集計しました。
なお本レポートは、サンプル調査という性質上、実態を全て反映したものではありません。また、特定の投資商品や個別銘柄の取引を勧誘する目的で作成したものではありません。(調査協力会社:ネットエイジア株式会社)
[調査結果]
▼2022年、投資経験者・投資家の実態
◆「今年、投資デビューした」現役投資家の15%、20代では29%
全国の20~79歳の投資経験者1,000名(全回答者)に、現在の投資状況について聞いたところ、“現役投資家”(「現在、投資をしている」と回答した人)は82.2%、“投資離脱者”(「過去に投資をしていたが、現在はしていない」と回答した人)は17.8%でした。
次に、投資の経験年数を聞いたところ、現役投資家(822名)では、「今年、投資を始めた」が14.8%、「1~3年程度」が32.4%、「4~6年程度」が13.6%、「7~9年程度」が6.0%、「10年以上」が33.2%となりました。
年代別にみると、「今年、投資を始めた」と回答した人の割合は、20代では29.1%、30代では21.1%、40代では11.4%、50代では8.1%、60代・70代では2.8%となりました。
投資離脱者(178名)についてみると、投資の経験年数は、「1年未満」が23.6%、「1~3年程度」が29.2%で、合計した『3年以下で離脱』は52.8%、「4~6年程度」は14.0%、「7~9年程度」は2.8%、「10年以上」は30.3%となりました。
◆現役投資家が現在投資している金融資産 1位「投資信託」
「投資信託」利用率が年々上昇、2020年調査から9ポイント上昇
現役投資家(822名)に、現在投資している金融資産を聞いたところ、「投資信託(REIT以外)」(60.2%)と「日本株式」(56.8%)が特に高くなり、「外国株式」(19.3%)、「外貨(FXを含む)」(13.1%)、「仮想通貨」(12.5%)が続きました。
男女別にみると、男性では「日本株式」(64.3%)、女性では「投資信託(REIT以外)」(58.5%)が1位でした。
年代別にみると、30代では「外国株式」(28.6%)と「仮想通貨」(18.3%)が全体と比べて5ポイント以上高くなりました。
過去2年間の調査結果と比較すると、「日本株式」は2020年69.4%→2021年66.2%→2022年56.8%と下降傾向がみられ、2020年と比べて12.6ポイント低くなった一方、「投資信託(REIT以外)」は2020年50.8%→2021年56.3%→2022年60.2%と上昇傾向がみられ、2020年と比べて9.4ポイント高くなりました。
◆現役投資家の“ポイント投資”利用率は48%、60代・70代では昨年比プラス15ポイントの大幅上昇
続いて、投資サービスの利用状況について質問しました。
現役投資家(822名)に、共通ポイントなどで投資できる「ポイント投資」、買い物のおつりを自動で積み立て投資してくれる「おつり投資」、ロボットが資産運用を代行してくれる「ロボアドバイザー投資」、好きなテーマを選ぶと最適な銘柄を自動で選択してくれる「テーマ型投資」、ネット上でお金を借りたい企業を仲介してもらい投資できる「ソーシャルレンディング投資」の5つのサービスを提示し利用状況を聞いたところ、それぞれのサービスの利用率は、「ポイント投資」では48.1%、「おつり投資」では8.4%、「ロボアドバイザー投資」では10.3%、「テーマ型投資」では8.3%、「ソーシャルレンディング投資」では3.9%となりました。
過去の調査結果と比較すると、ポイント投資の利用率は2018年18.8%→2019年27.3%→2020年33.7%→2021年39.9%→2022年48.1%と上昇傾向が継続し、今年は昨年比プラス8.2ポイントとなりました。
年代別にポイント投資の利用率の変化をみると、いずれの年代でも昨年調査から上昇し、60代・70代では2021年11.3%→2022年26.2%と14.9ポイントの大幅上昇となりました。
◆「ESG投資に前向き」現役投資家の36%、20代男性では43%
また、現役投資家(822名)に、ESG投資(環境・社会・企業統治に配慮している企業を重視・選別して行う投資サービス)をしているか聞いたところ、「している」が5.2%、「していないが、したいと思う」が30.8%で、合計した『前向き』は36.0%となりました。
性年代別にみると、ESG投資に前向きな人の割合は、20代男性(43.4%)が最も高くなり、60代・70代女性(41.2%)、60代・70代男性(40.3%)が続きました。
▼2022年の振り返り
◆2022年の“日本株式市場を表す漢字” 1位「安」2位「乱」3位「円」
株式投資家(517名)に、2022年の日本株式市場を表す漢字1文字を聞いたところ、1位「安」(71名)、2位「乱」(50名)、3位「円」(23名)、4位「高」「戦」(いずれも20名)となりました。
それぞれの漢字を選んだ理由をみると、「安」では『株安、円安の1年だったから』や『円安が象徴的だったから』、「乱」では『乱高下が激しかったから』、「円」では『歴史的な円安だったから』、「高」では『物価やドルの価値が上がった年だったから』、「戦」では『戦争の状況に左右されたと思うから』といった回答がありました。
昨年の調査結果では上位に「上」「復」「昇」といったポジティブなイメージの漢字が挙がりましたが、今年は「安」「円」「落」など歴史的な円安の影響の大きさがうかがえる漢字がTOP10入りしました。
◆2022年の投資損益着地予想 現役投資家の31%が「マイナス着地」を予想、昨年比12ポイント上昇
現役投資家(822名)に、今年1年の投資の損益着地予想を聞いたところ、「大幅にプラス着地」は4.0%、「ややプラス着地」は39.8%で、合計した『プラス着地』は43.8%、「大幅にマイナス着地」は10.6%、「ややマイナス着地」は20.4%で、合計した『マイナス着地』は31.0%となりました。
昨年の調査結果と比較すると、『マイナス着地』と回答した人の割合は、2021年18.6%→2022年31.0%と、12.4ポイント上昇しました。
年代別にみると、『マイナス着地』と回答した人の割合は、60代・70代(39.3%)では4割でした。
◆今年の投資損益の要因 プラス着地予想者・マイナス着地予想者ともに1位「円安・ドル高」
プラス着地予想者2位は「ローリスク・堅実な投資」、マイナス着地予想者2位は「ロシア・ウクライナ情勢」
今年1年の投資の損益着地予想が『プラス着地』の人には勝因を、『マイナス着地』の人には敗因を聞きました。
プラス着地と予想した現役投資家(360名)には勝因を、マイナス着地と予想した現役投資家(255名)には敗因を一言で表してもらったところ、プラス着地を予想した人・マイナス着地を予想した人のどちらも「円安・ドル高」(順に34名、58名)が1位でした。為替リスクに対するスタンスや国際分散投資に対する考え方が、投資結果の明暗を分けたのではないでしょうか。
2位以下をみると、プラス着地を予想した人では2位「ローリスク・堅実な投資」(18名)、3位「分散投資」(15名)、4位「積立投資」「長期保有・長期投資」(いずれも13名)、マイナス着地を予想した人では2位「ロシア・ウクライナ情勢」(15名)、3位「売買のタイミングミス」(11名)、4位「株価下落・株安」(10名)、5位「新型コロナウイルス感染拡大」(9名)となりました。
◆現役投資家が選ぶ今年の経済分野の流行語 1位「円安・ドル高」2位「SDGs」3位「メタバース」
◆積極的に投資を進めるきっかけとなったニュース 現役投資家が選ぶ3位は「物価上昇」、TOP2は?
今年1年、投資家はどのようなキーワードやニュースに注目していたのでしょうか。
現役投資家(822名)に、今年(2022年)の経済分野の流行語(トレンドワードや新興の分野、技術、産業など)は何だと思うか聞いたところ、「円安・ドル高」(190名)がダントツでした。次いで、2位「SDGs」(35名)、3位「メタバース」(28名)、4位「半導体」(25名)、5位「インフレ」(24名)となりました。
また、今年、積極的に投資を進めようと思うきっかけとなったニュースを聞いたところ、1位「円安・ドル高」(269名)、2位「ロシア・ウクライナ情勢」(114名)、3位「物価上昇」(94名)、4位「新型コロナウイルス関連」(68名)、5位「インフレ」(31名)となりました。
◆適正だと思う為替レート(米ドル/円レート) 最多は「120円」
“2022年の日本株式市場を表す漢字”で「安」が1位となったほか、“今年の経済分野の流行語”や“今年、積極的に投資を進めようと思うきっかけとなったニュース”で「円安・ドル高」がダントツとなるなど、今年は円安に注目が集まった年でした。為替レートはいくらくらいが適正だと感じている人が多いのでしょうか。
全回答者(1,000名)に、円相場について、適正だと思う為替レート(米ドル/円レート)はいくらくらいか聞いたところ、1位「120円」(261名)、2位「100円」(177名)、3位「110円」(174名)となりました。
回答したレートが適正だと思う理由をみると、「120円」では『輸入も輸出もバランスが取れるから』や『円安・円高のそれぞれのメリット・デメリットを考えるとこのくらいのイメージだから』、『安すぎず、高すぎずのイメージだから』、「100円」では『円安・円高のどちらにも行きすぎていないイメージだから』や『このレートのときに経済が上向きだったと思うから』、「110円」では『輸出入のバランスが取れると思うから』や『近年で、経済が比較的安定していたころのレートだから』といった回答がありました。
▼2023年以降の展望
◆投資経験者が来年以降の日本経済成長のために必要だと思うこと
1位「過度な円安の是正」2位「ウクライナ情勢の解決」3位「持続的な賃金上昇」
来年(2023年)以降の日本経済や市場などの展望について、投資経験者の考えを聞きました。
全回答者(1,000名)に、来年以降の日本経済の成長のために必要だと思うことを聞いたところ、「過度な円安の是正」(43.3%)が最も高くなりました。今年急激に進んだ円安は日本経済の成長にとって大きな懸念材料になると感じている人が多いのではないでしょうか。次いで高くなったのは、「ウクライナ情勢の解決」(42.9%)、「持続的な賃金上昇」(42.7%)、「新型コロナウイルス感染症の収束」(40.0%)、「物価高騰の抑制」(38.5%)でした。
年代別にみると、20代と30代では「過度な円安の是正」(順に40.5%、41.5%)、40代では「持続的な賃金上昇」(47.5%)、50代では「ウクライナ情勢の解決」(50.0%)、60代・70代では「ウクライナ情勢の解決」と「新型コロナウイルス感染症の収束」(いずれも53.5%)が1位でした。
◆今後、長期的に成長の期待が持てそうだと感じる市場 TOP3「環境エネルギー」「先進医療」「知能化技術」
「観光(インバウンド市場など)」は昨年調査から9ポイント上昇
次に、“今後、長期的に成長の期待が持てそうだ”と感じる市場(産業)を聞いたところ、「環境エネルギー(水素燃料など)」(33.6%)が最も高くなりました。次世代エネルギー関連市場に期待を寄せている人が多いようです。次いで高くなったのは、「先進医療(再生医療・遺伝子治療など)」(32.6%)、「知能化技術(AI・自動運転車など)」(31.1%)、「ロボット工学(家庭用・産業用ロボットやドローンなど)」(27.6%)、「情報・通信技術(IT/ICT)」(23.0%)でした。
年代別にみると、20代では「知能化技術(AI・自動運転車など)」(26.5%)、40代では「先進医療(再生医療・遺伝子治療など)」(35.0%)が1位でした。
昨年の調査結果と比較すると、「観光(インバウンド市場など)」は2021年12.9%→2022年21.4%と8.5ポイント上昇しました。コロナ禍が落ち着きを見せ、インバウンド需要が回復することを予想している人が多いのではないでしょうか。
◆後任の日本銀行総裁に期待する金融政策 「大規模な金融緩和(現状維持)」21%、「金融引き締め」51%
日本銀行の黒田総裁が、来年(2023年)4月に任期満了を迎えます。
全回答者(1,000名)に、後任の日本銀行総裁には、どのような金融政策を期待するか聞いたところ、「大規模な金融緩和(現状維持)」は20.7%となり、「緩やかな金融引き締め」が44.6%、「急激な金融引き締め」が6.5%で合計した『金融引き締め』は51.1%となりました。金融引き締めによって、円安や物価上昇を抑制してほしいと考える人が多いのではないでしょうか。
性年代別にみると、『金融引き締め』と回答した人の割合は、60代・70代男性(71.0%)が最も高くなり、20代女性(56.0%)、30代女性(54.0%)と続きました。
◆来年の市場はどうなる? 2023年の“日本株式市場を表す漢字” 株式投資家の予想1位は「安」「上」
株式投資家(517名)に、来年(2023年)の日本株式市場を表す漢字1文字を聞いたところ、1位「安」「上」(いずれも38名)、3位「高」(26名)、4位「昇」(16名)、5位「明」「戻」「乱」(いずれも14名)となりました。
それぞれの漢字を選んだ理由をみると、「安」では『まだ円安が進みそうだから』や『安心して投資ができるように値動きが安定してほしいから』、「上」では『景気が緩やかに回復して株価も上昇すると思うから』や『株価が上がり、景気が回復することを期待したいから』、「高」では『最高値を更新してほしいから』、「昇」では『円安やコロナ、ウクライナ情勢が落ち着いて株価が上昇すると思うから』、「明」では『明るい方向に転じてほしいから』、「戻」では『景気回復を予想しているから』、「乱」では『世界情勢が不安定になりその影響を受けそうだから』といった回答がありました。円安や不安定な世界情勢の影響を受けそうだという予想や、景気回復や株価上昇への期待が多数みられる結果となりました。
◆2023年12月末の日経平均株価はどうなる? 株式投資家の予想は平均27,587円
“日本企業が本来の実力を発揮し、株式市場で正当に評価された場合”の予想は平均32,602円
最後に、今後の日経平均株価の変動について、株式投資家の予想を聞きました。
株式投資家(517名)に、約1年後の2023年12月末の日経平均株価の予想を聞いたところ、「25,000円~30,000円未満」(39.7%)に最も多くの回答が集まり、平均(「わからない」と回答した人を除いて算出)は27,587円でした。
“日本企業が本来の実力を発揮し、株式市場で正当に評価された場合”という条件を加えて聞いたところ、「30,000円~35,000円未満」(31.5%)に最も多くの回答が集まり、平均は32,602円でした。条件を加えていない場合(27,587円)と比べると、5,015円高くなりました。
また、約10年後の2032年12月末の日経平均株価の予想を聞いたところ、「30,000円~35,000円未満」(24.9%)に多くの回答が集まり、平均は31,364円でした。
“日本企業が本来の実力を発揮し、株式市場で正当に評価された場合”という条件を加えて聞いたところ、「30,000円~35,000円未満」(20.2%)や「40,000円以上」(16.2%)などに回答が分かれ、平均は34,065円でした。
調査概要■
調査タイトル:日本株式市場の振り返りと展望に関する意識調査2022
調査対象:ネットエイジアリサーチのインターネットモニター会員を母集団とする全国の20歳~79歳の投資経験者(日本株式、外国株式、公社債、投資信託、REIT、金・プラチナなどの金融資産への投資経験がある人)
調査期間:2022年11月16日~11月17日
調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
有効回答数:1,000サンプル
実施機関:ネットエイジア株式会社