記憶力を低下させるタンパク質を発見! ~神経幹細胞からの神経新生を妨げる「フラクタルカイン」~
加齢による記憶力の低下は、よく知られる老化現象ですが、65歳以上の人口が約27.7%(*1)を占める日本では、高齢者の脳機能の維持は、これからの人生においてSuccessful Aging(幸せな老い)を達成するためにも重要な課題です。
日本メナード化粧品株式会社(名古屋市中区丸の内3-18-15、代表取締役社長:野々川 純一)は、この課題に対して、記憶に重要な脳の領域である「海馬」において、新しい神経細胞を生み出している「神経幹細胞」をターゲットとして、加齢による記憶力の低下に隠された秘密を明らかにすべく研究を進めてまいりました。この度、フラクタルカインと呼ばれるタンパク質(炎症物質)が、神経幹細胞からの神経新生を妨げることを発見しました。
海馬では、生涯を通じて常に新しい神経細胞が生み出されており、これによって記憶が維持・形成されていると考えられています。この新しい神経細胞を生み出す起源となる細胞は、「神経幹細胞」と呼ばれており、近年、神経系の再生医療においても注目されている幹細胞の一つです。
今回、メナードは、様々な炎症物質を用いて神経幹細胞に対する影響について解析しました。その結果、「フラクタルカイン」と呼ばれるタンパク質が、神経幹細胞からの神経新生を妨げることを見出しました。さらに、フラクタルカインは、睡眠の質の低下によって増加すると言われていることから、夜中に目が覚めてしまうなどの睡眠の質の低下が、神経新生を妨げ、脳機能の低下を招いていると考えられました。
今回の研究から、フラクタルカインは、記憶力など脳機能の低下に大きく影響していると考えられました。今後は、このタンパク質の増加を抑える具体的な生活スタイル(食事や睡眠など)を明らかにするとともに、健康食品などの開発に応用していきます。
なお、今回の研究成果について、2019年7月25日から28日にかけて、朱鷺メッセ(所在地:新潟県新潟市)で開催される第42回日本神経科学大会にて発表します。
*1 内閣府 平成30年版高齢社会白書
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/index-w.html