【四国編】DXは地方創生の活路となるか? 地方企業におけるデジタライゼーションの今
近年、首都圏のみならず地方からもRPA導入、DXについてのお問い合わせが増えています。
なかでも四国からのお問い合わせは多く、「デジタライゼーションを進めなければならないとわかっているが、どこから手を付けていいかわからない」「DXに着手したものの成果がでない」「近くに相談できる専門家がいない」とお悩みの方が多くいらっしゃる印象です。
そこで、今回は四国4県のデジタライゼーショ(デジタル化)、DX推進の状況をまとめました。
自身の県と他県の現状を比較するなどして、ぜひ参考にしてください。
この記事が参考になる方
●地方企業でデジタライゼーション・DXを推進したい方
●四国のデジタライゼーション・DXの現状に興味がある方
●四国に拠点があり、デジタライゼーション・DXを進めているが、近隣に相談できる専門家がいないという方
地方企業の経営課題を解決する一手となるデジタライゼーション
地方企業の大きな課題は、人材の確保です。
総務省統計局の都道府県別人口増減率は、全国的に見ても沖縄県以外はマイナスであり、さらに都道府県別転入超過数は東京圏以外もマイナス。
出生率が減少し、かつ、その後も人口が流出してしまい、働き手が少なくなっている事実が浮き彫りになっていると言えます。
このような状況下で、地方企業は首都圏以上の魅力を打ち出して人材を集めなければなりません。人手不足、後継者不足はすぐにも対応したい大きな課題と言えます。
表1.都道府県別人口増減率
そんな地方企業における人材不足解消の一手として注目されているのが、DX<Digital Transformation|デジタルトランスフォーメーション>です。
DXとは、以下のように説明されます。
「企業がビジネスの激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会ニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
経済産業省「DX推進ガイドライン」より
簡単に言うと、「データ(IT)を活用することで新しい価値を生み出すこと」と言えます。
DXを進めると、どのように仕事が変わるのか。
例えば、企業間取引におけるデジタル化が挙げられます。これまでFAXでのやり取りだったのを、メールやウェブページ上で取引することもデジタル化への一歩です。卸売業界であればEDIの導入がこれにあたるでしょう。このほか、自社通販サイトから顧客が直接注文できる仕組みもデジタル化にあたります。
デジタル化を進めると、手続きの工程が簡素化できたり、売上などの集計が楽になったり、さらにはデジタル化によって購買傾向の分析も容易になります。
コロナ禍により必要に迫られたリモートワークの設備も、DXへの第一歩です。取引先との商談や出張などの費用が削減でき、移動時間もカットできて、その分をほかの業務に充てることが可能になります。
こうしたデータ分析や新しい働き方を通して新たな価値ある商品・サービスを生み出すことがDXの本来の目的です。
四国地方の中小企業におけるデジタライゼーションの今
地方企業の経営者もDX推進を意識的に進めています。全国の中小企業において、四国4県は「地域別のIT導入割合」で10地域中7位(商工中金「中小企業のIT導入・活用状況に関する調査[2021年1月調査]」より)となっており、なかなかDXの入口であるデジタライゼーションが進んでいない状況が見て取れます。
そんな中でも、各県は県内の企業のデジタライゼーション・DXを進めるべく、数々の方策を打ち出しています。その一部をご紹介します。
徳島県:「デジタルとくしま推進プラン」を推進中
「県民誰もがICT※の利便性を享受できる徳島」の実現を目指して、徳島県では2004年3月に「e-とくしま推進プラン」を策定。その後10年間で官民協働により地域情報化を積極的に推進しました。
※Information and Communication Technology。通信を使ってデジタル化された情報をやりとりする技術のこと
現在はさらに進んで「デジタルとくしま推進プラン」を進めている最中です。行政手続きのオンライン化推進、AI・RPA※等の全庁展開による業務改革の加速など、行政改革を進めています。
※Robotic Process Automation。ロボットによる処理の自動化のこと。詳細はこちら。
民間企業に対しては、ローカル5Gの全県展開・社会実装を進めるなど、デジタル化が進む環境を整えていっています。
そうした施策と同時にサテライトオフィス誘致を進めており、18 市町村85 社が同県に進出しています(2022年1 月末時点)。
なかでも徳島県神山町は2005年9月より、町内全域に光ファイバーを敷設。大手企業のサテライトオフィスを誘致することに成功しています。閉鎖された元縫製工場を改修したコワーキングスペース「神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックス」は地方創生のきっかけになる取り組みとして度々メディアでも紹介されています。