日本のモノづくりを本場ドイツで伝える伝道師がTOKYOの見本市に凱旋

Interiorlifestyletokyo(7月17日―19日: 東京ビックサイト)にて、欧州で評判の日本製プロダクトを出展

ドイツ・ミュンヘンの中心地、高級ホテルが建ち並ぶ通りに、市民がつい足を止めウィンドウをのぞきこむショップがある。「SHUSHU」、日本の伝統的な刃物や食器、紙製品などの雑貨が並ぶ店だ。

SHUSHU - Contemporary Japanese Design

この店を2011年から経営しているのが鈴木里美、彫りの深い容貌から「よく外国人と間違わる」が生粋の日本人だ。

サトミ スズキ

「ニッポンの伝統工芸から昇華したデザインプロダクトを、も っとヨーロッパの人々に暮らしの中で使ってもらいたい。日本のモノづくりを応援したいのです」と話す鈴木。

 ショップで売られている商品は、日本の燕三条など伝統的なモノづくりの街で仕入れたもの。中には職人たちと何度も打ち合わせを重ねて、共同でつくったオリジナル商品もある。

 鈴木は2013年11月に「(株)SATO MI SUZUKI TOKYO」を起ち上げ、汐留にオフィスを構えた。その事業内容は、「日本のモノづくり企業やデザイナー、そして職人た
ちが、これまで手掛けてきた伝統工芸品や デザインプロダクトをヨーロッパに向けて販売展開をする」と いうもの。
なぜ、鈴木はこのようなビジネスモデルを思い立ったのか?

 その答えを示すには彼女の半生について、語らなければならない。1968年生まれの51歳。育ったのは千葉県・市川市だ。この世に生を受けたとき、すでに父と母は別居しており、母子家庭という経済的には決して恵まれない境遇で育った。「その分自立心が育まれました」と鈴木は微笑む。
 社会に出てからは(株)リクルートの海外旅行情報誌制作業務で4年、(株)博報堂でJAL担当のチームに属して2年働きながら、夜学で英語の専門学校に休まず通って卒業。
 やがて、鈴木に大きな転機が訪れた。広告営業の仕事で出会った在日外国人向け英語雑誌の発行人であるドイツ人の男性と電撃結婚。彼の故郷 である南ドイツへと渡ることになったのだ。1994年のことである。

「海外に住んでも、私はずっと日本とつながっていたい」。そう考えていた鈴木は日本とつながる仕事を探した。「なんのつてもなかったのですが、ドイツは数多くの国際見本市が開催される国。そこで国際見本市で、日本と接点が持てるお仕事を始めてみようと考えたのです」。
 まず鈴木が就いた仕事は、各ブースで案内をする、日本流に言えばコンパニオンだ。マツダやパナソニックといった 日本企業が現地に出展した際、ドイツ人に混ざって唯一の日本人コンパニオンとして働くうち、契約先が増えていった。
 そして2001年に会社を設立。国際見本市で来独した企 業にホテルやコンパニオンの手配など幅広くアテンドするサ ービスをスタート、やがてブースそのものの設営までも手掛 けるようになり、ビジネスの規模を拡大。“国際見本市スペ シャリスト”として、類を見ないポジションを確立していった。

 その中で出会ったのが、日本の伝統工芸にデザインを加えてできあがったプロダクト、そしてその作り手たちだった。
「デザインもアイデアもいい。日本人ならではの緻密な仕事が施された品々を見て、メイド・イン・ジャパンの素晴 らしさを改めて感じ、モノづくりの本場、ドイツでも十分、勝負できる」 と思ったという鈴木。そこで彼女は当時の全財産、約1000万円を投じてミュンヘンのブランド街の一画に日本の雑貨を扱う店を出した。それが「SHUSHU」だ。
「このお店なら日本とつながることもできる」。そう考えて人生最大の勝負に出た鈴木。ところが円高の影響もあり、なかなか商売は軌道に乗らない。このままでは、多額の負債を背負ってしまう…。絶体絶命のなかで彼女はあることに気づいた。
「確かに日本のモノづくりは素晴らしい。でも、そのままではドイツ人のサイズに合わなかったり、ヨーロッパの風習にそぐわないケースが少なくなかった。そこを工夫すればなんとか逆転できるかもと考えました」

 日本のプロダクトを世界規格にすれば、ドイツだけでなくヨーロッパ中でニーズが喚起できる。そう考えた鈴木が足を運んだのが、日本のモノづくりの現場だった。新潟県の燕三条などを訪ねて、世界に通じる製品の開発を提案して歩いたのだ。

商品開発の現場

モノづくりにこだわりを持つ燕三条の人々は、鈴木の提案を温かく迎えてくれ、多くの協力者が現れたのだ。その一つが三条市の角利製作所。戦後間もない1946年の創業。以来、かんなやのこぎりといった工具を作り続けてきたメーカーだ。
 角利製作所と打ち合わせること十数回。その結果、生まれたのが「かんな屋がつくる鉛筆けずり」というコンセプトだ。
 慌ただしい時代だからこそ、書の初めに墨をするように、新しきことに向かい芯を研ぎ澄ます。ヨーロッパでも注目され始めていいた、日本のZEN(禅)も通じる、この鉛筆削りを店頭に置いたところ、評判となり、やがてオンラインショップでも世界の様々な国から問い合わせやオーダーが舞い込んだ。

鉛筆削り「Shin」動画 

他にも鈴木は、日本のモノづくりメーカーと共同で、「老眼鏡が恥ずかしい女性のための「ルーペ&ミラー」を燕市のメーカーと共同製作したり、三条市の老舗刃物メーカーと共同で「世界のフローリストのため生け花鋏」をつくるなど、様々なモノを開発。それらとの相乗効果で安定して売れるアイテムも増えた。「個人売りだけではなく、レストランやホテルなどの企業、 いわゆるBtoBビジネスも拡大してきました。そこで日本にも拠点を持つことにしたのです。そのほうがモノづくりの担い手の方々と直に話せて、 こちらの意図を明確に 伝えることができますから」
 そうして2013年10月、港区で立ち上げたのが「株式会社SATO MI SUZUKI TOKYO」だった。ここを日本の拠点として今も鈴木は、日本とドイツを往復する多忙な日々を過ごしている。(※現在も新潟燕三条で新商品を開発中)

(株)SATOMI SUZUKI TOKYOは、ドイツで人気のオリジナルプロダクトを7月17~19日に開催される「interiorlifestyletokyo」
(場所:東京ビッグサイト)に出展いたします。日本のモノづくりを
応援する、鈴木里美の取り組みなど取材いただければ幸いです。

■ホール :West Hall 4 ■小間番号:J-42 ■ゾーン :ACCENT 

《連絡先》株式会社 SATOMI SUZUKI TOKYO
〒106-0032 港区六本木5-16-5 インペリアル六本木 610
TEL / FAX 03-6479-9017(ご連絡は担当:山田まで)
本人直通メール:suzuki@satomi-suzuki-tokyo.com

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