国際公募展「国際工芸アワードとやま」出品作品を募集
世界各地の「手仕事」を募り、新たな工芸ムーブメントを富山から発信!
このたび富山県は、50歳以下の国内外の工芸に携わる作家、職人、デザイナーなどの若き「工芸人」を対象とした「国際工芸アワードとやま」を実施します。このアワードは平成29年度に富山県で開催した「国際北陸工芸サミット」での「U-50 国際北陸工芸アワード」の成果を踏まえて新たに開催するもので、今年度より3年計画で実施します。
このアワードでは、世界各地の工芸の伝統的な技術や素材を活かした表現力・独創力に富む作品や、制作工程の中で必ず「手仕事」が施されている作品を応募対象としています。今年度は公募・1次審査までを、令和2年度には2次審査・展覧会・授賞式を行うほか、入賞者等と県内工芸作家・企業等との交流プログラムを予定しています。また、令和3年度には前年度の交流プログラムを踏まえ、作品の協同制作プログラムを予定しています。
このアワードの目的は次の通りです。
■工芸作品・表現・技術に加え、工芸に従事する一人ひとりの工芸に対する考えや取組、戦略と実践、そして未来への展望などを総合的に評価し奨励すること。
■従来の工芸が持つ固定概念を一度フラットな目線で見つめ直し、ボーダレス化もしくは分野横断的になってきている工芸の世界的な潮流を捉え、国際的なネットワークやコラボレーションの機会を創出し、そこから工芸の未来ビジョンを描くこと。
■当アワードを通じて、多くの方が世界の工芸を取り巻く状況や新しい動向について知り、学べる機会とすること。
伝統と革新を表裏一体に併せ持つ「工芸」ならではの魅力を発信し、新しい工芸の活動を実践している「工芸人」の皆様から多数の応募をお待ちしています。
開催概要
1.応募締切
2020年1月10日(金)
2.賞金
最優秀賞 1名(組)200万円/優秀賞 1名(組)50万円/奨励賞 4名(組) 30万円/損保ジャパン日本興亜・特別賞 1名(組) 30万円
3.特典
最優秀賞受賞作品は富山県美術館に作品を収蔵。また、入賞者等は令和2年度以降に実施する県内工芸作家・企業等との交流プログラム・協同制作プログラムに招聘(予定)
4.応募方法
公式ホームページ https://kogeiaward.jp/ よりエントリー
応募要項
- 応募資格
(1)50歳以下(一次審査締め切りの2020年1月10日時点で)
(2)国籍不問
(3)作家、職人、デザイナー等、工芸制作に従事している個人もしくはグループ - 応募対象
(1)世界各地に伝わる、これまで工芸が培ってきた技法や材料を生かした、表現力や独創性に富む作品。
(2)制作工程の中で必ず手仕事が施されていること
(3)2015年1月10日以降に制作された未発表の作品。他の公募展に未出品のもの。
(4)金属、漆、木、紙、布、陶磁、ガラス、革、その他(またはこれらの組み合わせ)によって制作された作品
(5)作品形体は、立体作品または平面作品。3辺のサイズの合計が300㎝以内。重量は20kg以内。(額縁や専用台なども寸法・重量に含む)
(6)1人(グループ)につき1点 - スケジュール
1次審査:2020年2月中旬 入選作品の選定(入選作品は富山県美術館にて展示)
2次審査:2020年5月下旬 各賞の選定
展覧会:2020年5月下旬~7月上旬(会期2か月程度)※富山県美術館にて
授賞式:6月下旬
4.応募に関するお問合せ
国際工芸アワードとやま運営事務局(株式会社PCO内)
Tel. 076-461-3288 E-mail. kogei-toyama@pcojapan.jp
※その他詳細はホームページ参照 https://kogeiaward.jp/application.html
選考委員
選考委員長(1次・2次ともに審査予定)
青柳 正規(あおやぎ まさのり)
多摩美術大学理事長/東京大学名誉教授/前文化庁長官。
博士(文学)。東京大学大学院博士課程修了。東京大学名誉教授、日本学士院会員、国立西洋美術館長、独立行政法人国立美術館理事長を務める。著書に『古代都市ローマ』(中央公論美術出版社)、『ローマ帝国 』(岩波ジュニア新書)『逸楽と飽食の古代ローマ』(講談社学術文庫)『文化立国論』(筑摩新書)などがある。
1次審査選考委員
・川上 元美(かわかみ もとみ) デザイナー/(公財)日本デザイン振興会 会長
・須藤 玲子(すどう れいこ) テキスタイルデザイナー/東京造形大学名誉教授
・高橋 禎彦(たかはし よしひこ) ガラス作家/多摩美術大学教授
・田嶋 悦子(たしま えつこ) 陶芸家/大阪芸術大学教授
・田中 信行(たなか のぶゆき) 漆芸家/金沢美術工芸大学教授
・畠山 耕治(はたけやま こうじ) 金属作家/金沢美術工芸大学教授
2次審査選考委員
・須藤 玲子(すどう れいこ) テキスタイルデザイナー/東京造形大学名誉教授
・畠山 耕治(はたけやま こうじ) 金属作家/金沢美術工芸大学教授
・雪山 行二(ゆきやま こうじ) 富山県美術館 館長
・<中国>王超鷹(ワン・チャオイン)文化研究者/伝統工芸士/PAOSNET代表
・<イギリス>ルパート・フォクナー ヴィクトリア&アルバートミュージアム/日本美術担当学芸員
※ほか、海外選考委員1名追加を予定
前回開催「U-50 国際北陸工芸アワード」とは
平成29年度開催「国際北陸工芸サミット」内で開催
「国際北陸工芸サミット」は、平成29年度からの5年間において、文化庁と北陸三県(富山・福井・石川)が連携し、北陸の工芸の魅力を国内外に発信する広域的な催しです。初年度は富山県にて開催しました。
その中のメイン企画として実施した「U-50 国際北陸工芸アワード」は、50歳以下の作家、職人、デザイナーなど若き「工芸人」を対象とし、富山県内外の作家ほか、日本を含めた計35の国・地域から403件の応募がありました。
1次審査、2次審査を経て、ファイナリストには6名を選出。最終審査には元サッカー日本代表選手の中田英寿氏も選考委員に加わり、ファイナリストは選考委員を前にプレゼンテーションを行いました。
その結果、最優秀賞に富山県立山町の和紙職人、川原隆邦さんの作品「四次元展開図」が選ばれました(画像下)。伝統を継承するだけでなく、新たな技術に挑戦し続ける姿勢やオリジナリティ等が高く評価されました。
協同創造プログラム
「協同創造プログラム」は、「U-50 国際北陸工芸アワード」ファイナリスト6名が北陸の工芸環境におけるホスト(企業・工房・職人等)と協同で新しい作品を創造する特別プログラムです。それぞれ自分の専門とする分野や異なる分野での新しい技に挑戦し、新たな作品づくりに挑みました。
たとえば、和紙職人の川原隆邦さん(最優秀賞)は、ガラス加工の三芝硝材(富山県高岡市)と連携し、手漉き和紙をガラスに挟んだ作品を制作。掛け合わせることにより生まれる新しい表現や用途の開拓を意識して制作されました。
また、柳工芸作家のエスメ・ホフマンさん(奨励賞)は石川県金沢市の竹工芸作家、榎本千冬さんと制作。日本の伝統的な編細工材料と技法を体で感じ、経験してもらうことで、新たなインスピレーションにあふれる作品が完成しました。
このような、富山県内の工芸作家・企業等との協同制作は、今回の「国際工芸アワード」でも、次年度以降入賞者等を対象に実施する予定です。