うちらぼの科学講座を受講する小学生が“キッズ研究”の 全国コンクールで優勝!「砂漠緑地化」の研究を発表 ~中村哲先生の想いと妹のオムツがヒント~
田んぼに囲まれた小学生の想いは「僕の使命は地球を救うこと」
うちらぼ(所在地:大分県別府市、代表:加世田 国与士、医学博士・情報工学博士)は、科学講座(オンライン)を受講する小学2年生M君が「FRaU SDGs eduこどもプレゼン・コンテスト」で優秀賞(小学校低学年部門1位)を獲得したことをお知らせいたします。
「僕の家の周りは田んぼだらけ」と健気なM君、月に100冊もの本を読みこなすそうです。そして素晴らしいのがM君の想い「僕の使命は地球を救うこと」、「夢は地球を救うエンジニアになること」。そんなM君が、「砂漠化問題」の解決に挑む研究を行い、当該コンテストで最高位(部門)に立ちました。
コンテスト概要
コンテスト名: 「考えよう!『ミライの地球』 FRaU SDGs eduこども プレゼン・コンテスト」
主催 : 株式会社講談社
関係サイト : 「FRaU SDGs edu こども プレゼン・コンテスト 2023」
https://gendai.media/list/special/kids_contest
FRaU 2024年1月号にも掲載
審査員
福岡伸一さん(青山学院大学教授・ロックフェラー大学客員教授)、小島よしおさん(お笑い芸人)、長濱ねるさん(女優・タレント)、青木裕子さん(フリーアナウンサー)、おおたとしまささん(教育ジャーナリスト)など8名
「砂漠緑地化プロジェクト」開始
地球の環境を守るためにM君が注目したのは「砂漠化」です。砂漠を緑地に変えることで地球を守りたいと思ったのです。彼の想いを一段と強めたのは、故中村哲先生(医師、1946~2019)でした。中村先生がアフガニスタンで医療活動を行いながら用水路を引き、何十万人もの人を救った事業が彼の心に刺さりました。「目の前の人にできる限りのことを!」という先生の言葉を受けて、「僕みたいな小学生でも、想いがあれば実践できる!」とプロジェクトをスタート。
緑地化には水が必要ですが、中村先生のように用水路を引くような大規模プロジェクトは難しいのが現実です。そこで、彼は時折砂漠に降る雨水を貯める方法を考えました。注目したのが彼の妹が使っているオムツです。確かに、オムツに含まれる高吸水性樹脂は大量のおしっこを保持することができます。M君は、まず実験には誤差がつきものなので繰り返し測定して平均値をとることが重要だと学んだ上で、オムツ1個で平均約4キログラムに及ぶ水を保持することを確認しました。次に、「レプリカ砂漠」と名付けた砂漠を真似た実験システムの構築に挑みました。しかし、研究は思うように進みませんでした。砂の量、用いる水の量を調整しながら検討を続け、ようやく「レプリカ砂漠」が完成しました。
問題発生
ここで大問題が発生。なんと、そもそも植物(はつか大根、バジル)とオムツに含まれる高分子樹脂との相性が悪かったのです。はつか大根とバジルは、どちらも高分子樹脂の上で発芽するものの成長しませんでした。M君は相当落ち込みました。ある日、いつになくM君の元気がありません。話を聞くと、「研究をあきらめる」と言うのです。
M君の想い、夢を確認し、気持ちが落ち着いた後で研究の現状を整理しました。冷静に見ると、既にたくさんの発見をしていることに気がつきました。M君は不死鳥のように蘇り、挑戦を再開しました。一段と気持ちを強くしたM君の“創造力”は圧巻でした。このようなレジリエンス力(たくましさ、しなやかさ)が彼の強さのひとつです。
植物とオムツ樹脂の相性問題を回避するいくつかの作戦を検討しました。妹の海老アレルギー、祖父のバジル農場で行った「堆肥まき」を参考にして、「アレルギーバージョン」、「堆肥バージョン」と次々に解決策を見出していきました。そして、遂にレプリカ砂漠を用いてはつか大根とバジルを成長させることに成功したのです。砂漠で植物を育てる光が見えたのです。
家族の力
実験は「M's Laboratory」と名付けられた自宅のラボで行われました。勉強机、棚、収納ボックスを利用した立派なキッズラボです。オンライン講座で確認・検討した内容を親子で発想を膨らませながらの試行錯誤でした。レポート資料の作成も両親と一緒に進めました。
ご家族にとっても初めての挑戦でしたが、見事に1次審査を通過しました。プレゼンを含む2次審査に向けてもご両親の温かく熱心なサポートがありました。小学2年生にとって、30分間も様々なことを聞かれるのは大変ですが、M君はそれを楽しみ、2次審査が終了すると、とても嬉しそうに達成感を感じていたそうです。まだ内容も状況もがわからないであろう妹さんも一緒に喜び充実した表情の写真が送られてきました。こうやって家族全員に熱量が伝わるのがファミリーサイエンスの良さです。
ご両親はM君がよく頑張ったことを大変誇りに思われ、「この自由研究のすべてが私たち家族の最高の思い出になりました」、「子どもの良さをたくさん知れました」と言ってくれました。そして遂に発表の日がやってきました。家族で見事に優秀賞(小学校低学年部門)を勝ち取ったのです。
M君が描く2030年
M君は言います。「僕の研究はSDGs17の目標にすべて関係すると思うけど、特に6番の水の問題、13番の気候変動、15番の陸の豊かさを持続可能にすることに直接関係している」。SDGs(持続可能な開発目標)、そして、「地球を救う」というM君の使命に向かって歩き続けています。2030年、彼が15歳になる頃には、“オーストラリアなどの砂漠が緑地化されクリーンエネルギーも発達し、ゴミ収集車がない世界”になると予言しています。
M君ってどんな人
M君は、知識と想いが素晴らしいだけでなく、日常的に物ごとを「結び付ける」努力をしています。妹さんのオムツの吸水性に着目したこと、祖父がバジル畑を運営していることから研究にバジルを使ったり、苗ポットを使ったりしました。祖父との農業体験からプロジェクトの大成功を招いた「堆肥バージョン」も編み出しました。身近なことを結び付けること、できることを見つける姿勢には学ばされます。
今回大きな成果を成し遂げたと結果を出したにも関わらず、すぐに反省点を上げ、仲間たちに感謝しました。さらに、現状を「跳び箱のロイター版のようなもの」、「僕は人間SDGsだね」と語ります。今後、さらに大きな飛躍が生まれることでしょう。
●M君が日々大切にしていることは?
「自分の頭でしっかり考えて知識を知恵に変えること」
「本でヒントを得て発展に変えること」
「頭で考えるだけでなく、実験で確かめること」
●友達や大人たちにも知って欲しいことは?
「(環境問題に対して)人任せではなく、一人ひとりが現実を知って、行動して欲しい。節水、節電などできることはたくさんある」
今後も科学を通して沢山友達や仲間を作って、環境問題に取り組んでいきたいと言います。さらに、研究を成し遂げた時の達成感、本当に嬉しいことを知って欲しいとも語っていました。熱く崇高な想いを積み重ね、今日も田舎道で、自然からたくさんのアイデアを見出してM君の世界を展開しています。
さいごに
科学教室を始めて驚いたことがあります。科学があまりにも好き、科学の知識がありすぎて「居場所がない」と悩んでいる子どもとご家族が多いことです。最近は科学アニメや科学漫画も手伝って知識の多さに驚くことがあります。しかし、その優れた能力を発揮する場所がありません。また、「科学者になりたい」という夢があっても、それをどうやって成し遂げるのかを知る余地はありません。スポーツや音楽、芸術の場合は、日常的にプロと同じような道具を使い、熟練の指導者の姿を真似ながら学び体験を積み重ねることができますが、科学の場合はなかなかそのような場所は見当たりません。計算が速い、足が速い、英会話が得意という子は、その能力を発揮する場所があるのに対して科学の場合は本来の自分を存分に発揮することができず、心のよりどころが見つからないようです。こういった子ども達を大切にして、「きっかけ」と「環境」を提供しながら、各々の子ども達が持つ長所、特徴を引き出しています。
科学のチカラが社会全体に浸透し、個々の能力がいかんなく発揮される環境ができれば自ずと低迷する経済が復興し、そして更なる平和が訪れるにちがいありません。科学を文化にするべく「科学のススメ」を続けます。
『本年の受賞一覧』
●全国コンクール
・FRaU SDGs eduこどもプレゼン・コンテスト 優秀賞
・第18回「科学の芽」奨励賞 1件 (学年同率4位)
・第18回「科学の芽」努力賞 1件 (学年同率5位)
・「ふしぎはっけん!たんきゅうブック自由研究」 佳作 1件
●地域コンクール
・理科自由研究作品展 優勝賞2件、
・理科自由研究作品展 入選6件
参考記事
RAGRANCE JOURNAL 2023年11月号「キッズ研究で産業ビッグバンを起こせ!」
https://uchilab.webnode.jp/f%EF%BD%8A/
(フレグランスジャーナル社の転載許諾済み)
化学 2022年9月号 「理系文系のマインドギャップがない世界」
https://uchilab.webnode.jp/view/
(転載許諾済み)
当所について
商号 : うちらぼ
代表者 : 加世田 国与士
所在地 : 〒874-0831 大分県別府市堀田5組
設立 : 2021年1月
事業内容 : 科学のススメ ~「人間力」を養う新寺子屋スタイル~
URL : https://uchilab.webnode.jp/
Instagram: うちらぼ(uchi.lab)
https://www.instagram.com/uchi.lab/