光琳のきものを未来に伝える〈冬木小袖〉修理プロジェクト開始 東京国立博物館×文化財活用センター
東京国立博物館と文化財活用センターは、尾形 光琳直筆の重要文化財「小袖 白綾地秋草模様(こそで しろあやじあきくさもよう)通称〈冬木小袖〉」(東京国立博物館所蔵)の本格修理を行なうにあたって、個人や企業から寄附を募るファンドレイジング活動を開始します。
寄附金募集期間 2020年1月~2022年6月
寄附金目標額 1,500万円
修理期間 2020年~2022年(予定)
〈冬木小袖〉とは、尾形 光琳(おがたこうりん)が約300年前に、みずから筆をとって秋草の模様を描いたきものです。京都から江戸に出た光琳が滞在していた深川の材木問屋、冬木家の夫人のために描いたといわれ、〈冬木小袖〉と呼ばれています。
白綾の絹地に菊、萩、桔梗(ききょう)、芒(すすき)といった秋草が、墨の濃淡と、藍(あい)、黄、淡紅色でのびのびと描かれています。輪郭を描かずに形をとらえる画風は、他作品とも共通する光琳ならではの表現です。
重要文化財 小袖 白綾地秋草模様(通称〈冬木小袖〉) 尾形 光琳筆 江戸時代・18世紀前半
なぜ修理が必要なの?
日本やアジアの文化財は、木や紙、絹など脆弱な材質のものが多く、光や熱、温湿度の変化など、さまざまな要因により劣化してしまいます。大切な文化財を未来へと受け継ぐためには、定期的な修理を行ない、文化財を良好な状態に保つことが重要です。
東京国立博物館ではこれまでも、予算の一部を修理費用に充てることで、継続して文化財の修理を進めてきました。しかしながらその予算は限られており、多くの文化財が修理の順番を待っている状況です。
〈冬木小袖〉も経年による劣化が進み、汚れや糸の断裂が見られます。また、傷んだ布地を補強するために先の修理で施した並縫いの跡が目立ち、これが原因となって新たな傷みも生じています。
このため、〈冬木小袖〉は2020年度から約2年かけて本格修理をすることとなりました。東京国立博物館と文化財活用センターでは、〈冬木小袖〉修理プロジェクトとして、多くの方からの寄附を募り、修理費用に充てます。
東京国立博物館と文化財活用センターは、すべての人々に文化財を親しむ機会を提供し、人類の宝である文化財を次世代につなげる活動に、多くの人が参画する社会を目指しています。このプロジェクトは、その活動の一環として、個人、企業・団体を問わず多くの人々のちからで、貴重な文化財を次の世代に伝えるために行なわれるものです。
寄附金目標額 1,500万円
*修理費用ならびに、本プロジェクトの事業運営費として使用。
*寄附金が目標を上回った場合、お寄せいただいた寄附金はすべて東京国立博物館所蔵の文化財の修理費として大切に活用いたします。
寄附金募集期間 2020年1月~2022年6月
*〈冬木小袖〉修理は2022年秋に完了予定
寄附への参加方法
(1) ウェブサイトから申し込む
URL: https://cpcp.nich.go.jp/fuyuki/
1口 1,000円から受け付けます。
寄附いただいたすべての方のお名前をウェブサイトにて顕彰します。
1万円以上寄附いただいた方には返礼品を差し上げます。
寄附に対する返礼品
寄附金額 1万円
・〈冬木小袖〉修理プロジェクトオリジナルデザイン蒔絵シール
・東京国立博物館総合文化展観覧券2枚
寄附金額 3万円
・〈冬木小袖〉修理プロジェクトオリジナルデザイン風呂敷(名入れ可能)
・東京国立博物館総合文化展観覧券4枚
寄附金額 15万円以上
・人間国宝 室瀬 和美監修〈冬木小袖〉修理プロジェクト オリジナルデザイン 漆蒔絵小物 光琳模様の箸・箸置きペアセット
・お名前を記載した文書を作品とともに永久保存
・修理完了後のお披露目会にご招待(2名様)
・東京国立博物館総合文化展観覧券5枚
(2) 募金箱を利用する(東京国立博物館内)
・館内に設置する募金箱に寄附をお願いします。
・折り紙など、〈冬木小袖〉に親しんでいただくための簡単な体験コーナーも併設する予定です。
(3) 講演会、体験型イベントに参加する
・研究員によるトークショーと館内レストランでのディナーをお楽しみいただく「きものの集い」などを開催する予定です。参加費の一部を寄附金に充てさせていただきます。(詳細は後日ウェブサイトにて公開予定)
(4) グッズを購入する
・企業との連携により〈冬木小袖〉をモチーフとしたオリジナルグッズを開発・販売する予定です。商品の売り上げの一部を寄附金に充てさせていただきます。(詳細は後日ウェブサイトにて公開予定)
・東京国立博物館ミュージアムショップで〈冬木小袖〉関連商品を販売します。その売り上げの一部を寄附金に充てさせていただきます。(2月中旬開始予定)
◆〈冬木小袖〉について
〈冬木小袖〉は、尾形 光琳が江戸に出て絵師として職を得ようと試みた宝永元年(1709年)、最初に寄宿した深川の材木問屋、冬木家の夫人のために描いたといわれています。そのため〈冬木小袖〉と呼ばれています。
光琳の生家はもともと安土桃山時代から続く雁金屋(かりがねや)という呉服商でした。浮世草子「好色文伝授」(こうしょくふみでんじゅ)には、光琳が白繻子(しゅす)の小袖に墨絵で松の絵を描いたことが記されています。当時、著名な画家に描かせた小袖を着用することは、裕福な商人の女性たちの流行となっていました。光琳の落款(らっかん)がある小袖も部分的にいくつかのこっていますが、このようにきものの形でのこっているものは非常に珍しいです。残念ながらこの小袖には光琳の落款はありませんが、江戸に下った時期に光琳が好んで描いた秋草図ととてもよく似ていることから、この小袖も光琳の自筆と考えられています。
透明感のある藍(あい)の濃淡で、上半身には桔梗の花むらが広がり、腰から下には菊や萩が咲き乱れる芒野(すすきの)が描かれます。このように腰を境に模様を変える小袖模様の構成は、帯幅が20センチメートルに広がる当時の流行です。
絵師でありながら呉服商の息子だった光琳。ファッションの流行を意識して小袖に描絵(かきえ)を施したのでしょうか。
〈冬木小袖〉の公開予定
〇修理前 東京国立博物館 特別展「きもの KIMONO」(2020年4月14日~6月7日)
〇修理後 東京国立博物館 総合文化展 2023年春頃を予定
修理後公開時に、高額寄附者(15万円以上)を招待するお披露目会を予定
◆寄附に関わる税制優遇措置について
独立行政法人国立文化財機構は、税法上の優遇措置の対象となる「特定公益増進法人」であり、国立文化財機構及び各施設へ寄附を行なう個人または法人は、当該寄附金について一般の法人に対する寄附金とは異なる税制優遇措置を受けることができます。
詳細は、文化財活用センター(ぶんかつ)ウェブサイトをご覧ください。
URL: https://cpcp.nich.go.jp/modules/r_free_page/index.php?id=60
ぶんかつ公式サイト : https://cpcp.nich.go.jp/
@cpcp_nich ぶんかつ: https://www.instagram.com/cpcp_nich/
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