建築家の仕事術「トミトアーキテクチャ」冨永美保氏の モットーや地域との関わり方についてのインタビューを公開 ―設計はまちを歩いて知ることから―
「建築家の仕事術 トミトアーキテクチャ 冨永美保氏インタビュー」
東京・西新宿にある住まいづくりの情報センター「リビングデザインセンターOZONE」(読み:オゾン、運営:東京ガスコミュニケーションズ株式会社)では、設計関連の仕事に従事する方々に向けて、ウェブサイト「WEB OZONE(ウェブオゾン)」にて、建築家やクリエイターなどの「仕事術」に迫るインタビュー「クリエイターズボイス」を掲載しています。今回は建築家の冨永美保氏に、建築家としてのモットーや地域との関わり方についてインタビューを行いました。
冨永氏は芝浦工業大学と横浜国立大学大学院建築都市スクール(Y-GSA)で建築を学び、学生時代から縁を深めた横浜市内に設計事務所・トミトアーキテクチャ(tomito architecture)を構えています。8人のスタッフを抱える経営者であり、個人邸、住宅兼ヘアサロン、福祉支援施設、社員寮併設複合施設、公立図書館などさまざまなプロジェクトが進行中の冨永氏に、横浜・黄金町にある事務所にてインタビューを行いました。
2014年にトミトアーキテクチャを設立して最初のプロジェクト《CASACO》は、事務所の隣町に建っていた住宅の改修でした。プロジェクトの中で、施主を含め地域住民や同志たちと運営団体をつくって、地域の人々との関係構築や運営方針の検討をしたり、完成後の使われた方や切り盛りまで、と設計を超えて様々な取り組みを経験した冨永氏。これを機に、その土地で生きる人たちと話をして何かを発見することも、設計の要素ではないかと思うようになりました。
続く《真鶴出版2号店》(2019年)や、《嫁入りの庭》(2020年)においても、現地でクライアントと一緒にまち歩きをして、関係者と話したり、ワークショップをしながら設計を進めていきました。
まちや地域住民とのつながりを大切にしながら、現地でのフィールドワークを通じて「知りながら、つくっている」というトミトアーキテクチャの設計。地域とそこに暮らす人々の関わりから設計に繋げていく姿勢を通して、これからの建築家の仕事のあり方を考えます。
●「クリエイターズボイス」とは
「クリエイターズボイス」は、現在の社会構成の変革やコロナ禍において、設計のみに留まらずに活動の幅を拡げている設計者の取組みを、設計やデザインに携わる若手プロやプロを目指す人へ伝え、アイディアやインスピレーション喚起に繋げていくコンテンツです。建築を中心とするクリエイターたちがどのように働き、経営者として事務所を切り盛りしているのか、「仕事術」をテーマにインタビューを行うシリーズとして、2022年春よりスタートしました。
冨永美保 プロフィール
建築家、トミトアーキテクチャ代表取締役
東京生まれ。2011年芝浦工業大学工学部建築工学科卒業。2013年横浜国立大学大学院建築都市スクール(Y-GSA)修了。2014~2016年東京藝術大学美術学科建築科教育研究助手。2014年に建築家の伊藤孝仁と共同でトミトアーキテクチャを設立(その後、2020年に伊藤が退社し、AMP/PAMを設立したのに伴い、冨永単独で代表取締役を務める)。主な設計作品は、2016年《CASACO》※、2018年《八潮団地の家》※、2019年《真鶴出版2号店》※、2020年《WAEN (dining & hairsalon)-02》※、同年《外神田のはなれ》、同年《嫁入りの庭》などのほか、2021年9月にオープンした《泉大津図書館》※※(フジワラボ・トミト設計共同体)がある。
進行中のプロジェクトとして、2023年竣工予定の《Y+W邸》、《ナミワケ荘》、《松代のヘアサロン》、《六郷キャンパス》のほか、2024年竣工予定の「丸子の里 大規模改修計画」、2025年春竣工予定《新垂水図書館》※※(フジワラボ・タト・トミト設計共同体)など、多数。主な受賞に、吉祥寺コミュニティデザイン大賞 大賞(2014年)、Local Republic Award 2020 最優秀賞など多数。
事務所としての作品展に「知りながらつくる展」(2020年)、「出来事の地図」(2022年)がある(共にプリズミックギャラリーにて開催)。
※印 :伊藤との共同設計
※※印:JV(Joint Venture)として共同設計
トミトアーキテクチャ/tomito architecture Website
https://tomito.jp/