一般医薬品の選定と販売状況に関する実態調査を実施 コロナ禍においても購入促進には一定の説明が不可欠だが 販売側が対応に苦慮する状況も
小売業・ヘルスケア関連企業の販促業務のデジタル化・DX化推進を支援するウィルベース株式会社(本社:東京都中央区、代表者:田中 裕樹)は、一般医薬品の消費者による選定方法、販売者の販売方法に関する調査を実施しました。
調査の背景
当社は、ドラッグストアをはじめとする小売各社に対し、販促管理や教育のためのシステム、接客販売のためのカウンセリングツールを提供しています。また、小売業各社の顧客満足度(CS)調査を実施しており、小売業のサービスの実態や顧客ニーズの変化の把握に努めています。
近年、さまざまな政策において、自身の健康に責任を持ち薬剤師などのアドバイスを受けたうえで疾病の予防や治療を主体的に行う「セルフメディケーション」が推進されています。今回当社は、このセルフメディケーション推進の鍵となる一般医薬品(OTC)の購入と販売の実態について、ドラッグストアを対象に調査を実施しました。
調査の結果
ドラッグストアをよく利用する一般消費者に、一般医薬品の購入や販売状況についての実態調査を実施しました。
・調査員 :20~50代の全国各所に在住の女性226名
・調査対象店舗:ドラッグストア226店舗(40企業・チェーン)
・調査時期 :2021年8~9月
- 消費者が「風邪薬」を選定する際のポイント
ドラッグストアにある数多くの「風邪薬」の中から消費者がどのように商品を選んでいるのかについて調査を実施しました。
(1)ドラッグストアで「風邪薬」を購入する際、どのように商品を決めていますか?(択一)
(2)ドラッグストアで「風邪薬」を購入する際、どのような理由で商品を決めていますか?(択一)
(3)ドラッグストアで「風邪薬」を購入する際、最も重視していることは何ですか?(択一)
上記の結果から、消費者がドラッグストアで「風邪薬」を購入する際のポイントとして、以下のことがわかりました。
● 大半の消費者は店舗に行ってから商品を選定しており、その半数は従業員に相談している
● 消費者は広告やCM、家族や知人からの薦めよりも、従業員の薦めをもとに商品を選定している
● 消費者は価格、メーカー、服用回数よりも、含まれている成分を重視して商品を選定している
- ドラッグストアにおける「風邪薬」の販売状況
「風邪薬」を探している消費者(来店客)に対するドラッグストアの従業員の対応状況について調査を実施しました。
(1)「風邪薬」売場で商品を探していた時、従業員からの声掛けはありましたか?(択一)
(2)「風邪薬を探している」と従業員に聞いた時、有資格者(薬剤師または登録販売者)が対応し、使用者、症状、既往症、アレルギーのヒアリングや、具体的な商品の提案はありましたか?(択一)
(3)「風邪薬」の接客時に従業員は何を元に説明しましたか?(複数選択)
上記の結果から、ドラッグストアの「風邪薬」に関する接客状況として、以下のことがわかりました。
● 消費者(来店客)が2分程度売場で悩んでいても、大半の店舗では従業員からの声掛けは無い
● 消費者(来店客)が従業員に相談した際、大半の店舗では有資格者が対応し、適切なヒアリングや具体的な商品の提案が行われている
● 消費者(来店客)が従業員に相談した際、大半の従業員は商品パッケージを元に説明している
- 「風邪薬」問い合わせ時の従業員の接客レベルと説明方法の関係性
以下の2つの設問〔前述2. (2)、2. (3)〕の回答をクロス集計しました。
●「風邪薬を探している」と従業員に聞いた時、有資格者(薬剤師または登録販売者)が対応し、使用者、症状、既往症、アレルギーのヒアリングや、具体的な商品の提案はありましたか?
●「風邪薬」の接客時に従業員は何を元に説明しましたか?
上記の結果から、「風邪薬」問い合わせ時の従業員の接客レベルと説明方法の関係性として、以下のことがわかりました。
●「有資格者であり、ヒアリングや提案に不備が無く、親身で丁寧な接客」を実施している従業員は、商品パッケージやボード、POP、リーフレット等を使って説明している
● 「淡々とした接客」を実施している従業員、「ヒアリングや提案に不備有り」や「無資格者」の場合と接客レベルが下がるにつれて、口頭のみでの接客の割合が増えていく
● 接客レベルが高い従業員でも、大半の接客場面では商品パッケージで説明している
調査のまとめ
「風邪薬」の購入において、「従業員(薬剤師、登録販売者)と相談して商品を選んでいる」「従業員に薦められた商品を購入している」「商品を選ぶ際には、含まれている成分を重視している」という消費者が多く商品の選定に専門的なアドバイスを期待しているものの、従業員による能動的な接客や説明は少なく、来店時には消費者が主体的に従業員に問い合わせしなければならない状態にあることがわかりました。
また、販売者側は、来店者への説明時に症状のヒアリングや商品提案は実施しているものの、パッケージを用いた説明や口頭のみの簡易な説明にとどまっており、症状や既往歴等のヒアリングを通じて数多くの「風邪薬」の中でなぜこの商品がお薦めなのかの具体的な説明や提案をするには苦慮している様子がうかがえます。
コロナ禍を経てなるべく短時間で買い物を終えたいとのニーズはあるものの、消費者は「風邪薬」を含めた一般医薬品の購入に際して専門的なアドバイスを求めている一方で、薬剤師、登録販売者等の専門スタッフの不足もあり、販売者側がその期待に必ずしも応えられていない状況だといえるでしょう。
本調査の結果から、「セルフメディケーション」推進の鍵となる消費者による一般医薬品の購入促進のためには、ドラッグストア等の販売者において専門的なアドバイスをタイムリーかつ効率的に行う機会を増やすことが必要な状況だといえます。それは、消費者が自身の症状や既往歴等に合った適切かつ安全な薬を選択するうえでも重要だといえるでしょう。
ウィルベースについて
ウィルベースは、最新の情報技術やAI、ビッグデータ分析等の最新技術を駆使し、小売業・ヘルスケア関連企業がマーケティングや販促活動の効果・効率を最大限高めることを支援しています。プラットフォームの提供に加えて情報システムの活用、DX推進に関するコンサルティングをおこない、小売業・ヘルスケア関連企業の各社がこれからの時代にフィットした売り方、働き方への転換を行なうことを支援しています。
代表者 : 代表取締役社長 田中 裕樹
設立 : 2016年12月
所在地 : 東京都中央区日本橋小舟町8-6 H1O日本橋小舟町5F
資本金 : 3,400万円
企業URL : https://www.willbase.co.jp/
事業内容: 販促支援ソフトウェア「RetailForce(リテールフォース)」、
接客支援ソフトウェア「Dカウンセラー」等の開発・提供、
経営コンサルティング
※Dカウンセラーについて
Dカウンセラーは薬剤師や登録販売者等のOTC医薬品販売の専門スタッフが、来店したお客様に症状や既往歴等をヒアリングしながら適切な商品を特定し紹介するためのタブレット端末専用のアプリです。総合感冒薬、胃腸薬、皮膚薬等の医薬品カテゴリーの代表的な商品の効果効能、特徴、添付文書や関連商品の情報等をスピーディかつ分かりやすくお客様に提示できるほか、タブレット上で類似商品を比較表示し、お客様が自身の症状や生活習慣、嗜好等をもとに数分以内の短時間で適切な商品を選定し購入することを支援します。
https://www.willbase.co.jp/service/dcounselor.html