スパークス・アセット・マネジメント調べ “ポイント投資”の利用率が年々上昇 投資家の34%が利用、20代投資家の利用率は56%
~日本株式市場の振り返りと展望に関する意識調査2020~
スパークス・アセット・マネジメント株式会社(https://www.sparx.co.jp/)(東京都港区。代表取締役社長 阿部修平)は、今年1年の日本株式市場を総括し、また、来年以降の見通しについて探るため、2020年11月20日~11月24日の5日間、全国の20~79歳の投資経験者(日本株式、外国株式、公社債、投資信託、REIT、金・プラチナなどの金融資産への投資経験がある人)を対象に、「日本株式市場の振り返りと展望に関する意識調査2020」をインターネットリサーチにより実施し、1,000名の有効サンプルを集計しました。
なお本レポートは、サンプル調査という性質上、実態を全て反映したものではありません。また、特定の投資商品や個別銘柄の取引を勧誘する目的で作成したものではありません。(調査協力会社:ネットエイジア株式会社)
[調査結果]
▼2020年、投資経験者・投資家の実態
◆「今年、投資デビュー」投資家の15%、20代投資家では36%
全国の20~79歳の投資経験者1,000名(全回答者)に、現在の投資状況について聞いたところ、“現役投資家”(「現在、投資をしている」と回答した人)は80.5%、“投資離脱者”(「過去に投資をしていたが、現在はしていない」と回答した人)は19.5%でした。
次に、投資の経験年数を聞いたところ、現役投資家(805名)では、「今年、投資を始めた」は15.3%、「1~3年程度」は20.6%、「4~6年程度」は15.0%、「7~9年程度」は6.2%、「10年以上」は42.9%となりました。
年代別にみると、20代では「今年、投資を始めた」と回答した人の割合が35.6%でした。20代投資家の3人に1人は今年“投資デビュー”をした新人投資家のようです。
投資離脱者(195名)についてみると、投資の経験年数は、「1年未満」は29.7%、「1~3年程度」は22.6%で、合計した『3年以下で離脱』は52.3%でした。また、「4~6年程度」は8.2%、「7~9年程度」は6.2%、「10年以上」は33.3%でした。
◆投資家の51%が「投資信託」を活用
続いて、投資対象となる金融資産について質問しました。
現役投資家(805名)に、現在投資している金融資産を聞いたところ、「日本株式」(69.4%)が最も高く、次いで、「投資信託(「REIT」以外)」(50.8%)、「外国株式」(15.3%)、「外貨(FXを含む)」(14.7%)、「日本公社債(国債/地方債・社債など)」(13.9%)となりました。
年代別にみると、20代では「外国株式」(28.2%)や「仮想通貨」(13.5%)、40代では「外貨」(21.9%)や「金(ゴールド)・プラチナ」(13.0%)、60代・70代では「日本株式」(84.9%)が、それぞれ他の年代層と比べて高くなりました。
他方、投資離脱者(195名)に、過去に投資していた金融資産を聞いたところ、こちらも「日本株式」(56.4%)が最も高く、以降、「投資信託」(25.6%)、「日本公社債」(14.4%)、「外国株式」と「外貨」(いずれも9.7%)が続きました。
◆“ポイント投資”の利用率が年々上昇 投資家の34%が利用、20代投資家の利用率は56%
次に、新しい投資サービスについて質問しました。
現役投資家(805名)に、共通ポイントなどで投資できる「ポイント投資」、買い物のおつりを自動で積み立て投資してくれる「おつり投資」、ロボットが資産運用を代行してくれる「ロボアドバイザー投資」、好きなテーマを選ぶと最適な銘柄を自動で選択してくれる「テーマ型投資」、ネット上でお金を借りたい企業を仲介してもらい投資できる「ソーシャルレンディング投資」の5つのサービスを提示し利用状況を聞いたところ、それぞれのサービスの利用率は、「ポイント投資」では33.7%、「おつり投資」では5.8%、「ロボアドバイザー投資」では9.2%、「テーマ型投資」では6.7%、「ソーシャルレンディング投資」では4.5%となりました。
ポイント投資の利用率を過去の調査結果と比較すると、2018年18.8%→2019年27.3%→2020年33.7%と年々上昇していることがわかりました。
利用率の上昇が顕著だった「ポイント投資」について、年代別に利用率をみると、20代では2018年35.6%→2019年45.9%→2020年55.8%と、前年比10ポイント前後の上昇で推移していることがわかりました。また、40代では2019年28.9%→2020年42.6%と昨年調査より13.7ポイント上昇しました。ポイントを貯めるだけではなく、運用して増やそうと考える人は今後も増えていくのではないでしょうか。
▼2020年の振り返り
◆コロナ禍の1年の“日本株式市場を表す漢字” 1位「乱」2位「禍」3位「病」「変」
株式投資家は、今年1年の株式市場についてどのようなイメージを持っているのでしょうか。
株式投資家(583名)に、2020年の日本株式市場を表す漢字1文字を聞いたところ、1位「乱」(72名)、2位「禍」(38名)、3位「病」「変」(いずれも24名)、5位「迷」「落」(いずれも16名)となりました。
それぞれの漢字を選んだ理由をみると、「乱」では『コロナ禍の影響で株価が乱高下したから』や『混乱したから』、「禍」では『コロナ禍で株の明暗が分かれたから』、「病」では『実体経済が病んでいるため』、「変」では『現在の株価が変な気がするから』といったコメントがみられました。
2019年の調査結果と合わせてみると、2年連続で1位は「乱」でしたが、2019年は外交面の影響を理由とする回答が目立ったのに対し、今年はコロナ禍の影響を理由とする回答が多く挙げられました。また、2019年は「迷」や「平」(いずれも3位)、「昇」、「上」、「低」(いずれも5位)、「安」、「静」(いずれも10位)など、株式市場の状態を表すような漢字が多くみられたのに対し、今年は「禍」(2位)や「病」(3位)、「菌」(9位)など、コロナ禍を象徴するような漢字が多くみられました。
◆「今年の投資損益はプラス着地」と投資家の43%が予想、20代投資家では53%
現役投資家(805名)に、今年1年の投資の損益着地予想を聞いたところ、「大幅にプラス着地」は6.3%、「ややプラス着地」は36.6%で、合計した『プラス着地』は43.0%、「大幅にマイナス着地」は13.3%、「ややマイナス着地」は17.8%で、合計した『マイナス着地』は31.1%となりました。
昨年の調査結果と比較すると、『プラス着地』と回答した人の割合は2019年43.9%→2020年43.0%と、昨年と同水準になった一方、『マイナス着地』と回答した人の割合は2019年20.9%→2020年31.1%と、大幅な上昇となりました。
年代別にみると、プラス着地を予想した人の割合は若い年代ほど高く、20代(52.8%)と30代(51.8%)では半数を超えたのに対し、50代(35.3%)と60代・70代(33.6%)では3人に1人の割合にとどまりました。年代で明暗が分かれた1年だったようです。
◆今年の投資損益がプラス着地となる勝因 3位「株価上昇・株高」2位「安くなったときに購入」、1位は?
◆今年の投資損益がマイナス着地となる敗因 「新型コロナウイルスの影響」がダントツ
今年1年の投資の損益着地予想が『プラス着地』の人には勝因を、『マイナス着地』の人には敗因を一言で表してもらいました。
プラス着地と予想した現役投資家(346名)に、勝因を一言で表してもらったところ、1位「新型コロナウイルスの影響」(47名)となりました。プラス着地を予想する人のなかには、投資の成績においてコロナ禍がプラスに作用したという人が多いようです。次いで、2位「安くなったときに購入」(35名)、3位「株価上昇・株高」(19名)となりました。投資の好機を逃さなかったことや、株価上昇・株高という相場の変化による運用成績の押し上げが勝因となっていることがわかりました。
他方、マイナス着地と予想した現役投資家(250名)に、敗因を一言で表してもらったところ、「新型コロナウイルスの影響」(120名)がダントツでした。以降、2位「不調な銘柄」(16名)、3位「株価下落・株安」(12名)が続きました。
◆投資家が選ぶ、今年の経済分野の流行語 1位「新型コロナウイルス」2位「テレワーク」
◆今年、投資家が積極投資を進めるきっかけとなったニュース2位は「アメリカ大統領選挙」、1位は?
今年1年、投資家はどのようなニュースに注目していたのでしょうか。
現役投資家(805名)に、今年(2020年)の経済分野の流行語(トレンドワードや新興の分野、技術、産業など)を聞いたところ、1位「新型コロナウイルス」(197名)、2位「テレワーク」(42名)、3位「Go To キャンペーン」「ワクチン」(いずれも37名)となりました。世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症が経済にどのような影響を与えるか、その動向に注目していた人が多いようです。そのほか、「リモート/オンライン○○」(7位、19名)や「巣ごもり消費」(10位、11名)といった、コロナ禍で脚光を浴びたワードも上位に挙がりました。
また、今年、積極的に投資を進めようと思うきっかけとなったニュースを聞いたところ、「新型コロナウイルス感染拡大」(302名)がダントツでした。投資家には、コロナ禍を積極投資の好機ととらえた人が多いようです。以降、2位「アメリカ大統領選挙」(96名)、3位「株価下落・株安」(53名)、4位「ワクチン開発」(37名)、5位「株価上昇・株高」(24名)となりました。
◆「バイデン氏の当選は日本経済にとってプラスになる」と投資経験者の60%が予想
◆バイデン当選vsトランプ当選 日本経済にプラスなのは? 投資経験者の58%が「バイデン氏の当選」を支持
今年(2020年)の11月に投開票が行われたアメリカの大統領選挙は、まれにみる大接戦になりましたが、アメリカの主要メディアはバイデン氏の当選確実を報じました。
そこで、全回答者(1,000名)に、バイデン氏の当選は、日本経済にとってプラスになると思うか、マイナスになると思うか聞いたところ、「プラスになると思う」は7.1%、「どちらかといえばプラスになると思う」は52.8%で、合計した『プラスになると思う』は59.9%、「マイナスになると思う」は6.1%、「どちらかといえばマイナスになると思う」は34.0%で、合計した『マイナスになると思う』は40.1%でした。多くの人は、バイデン氏の当選が日本経済にとってプラスに働くと考えているようです。
また、バイデン氏の当選とトランプ氏の当選では、どちらのほうが日本経済にとってプラスだと思うか聞いたところ、「バイデン氏の当選」は9.5%、「どちらかといえばバイデン氏の当選」は48.9%で、合計した『バイデン氏の当選』は58.4%、「トランプ氏の当選」は9.6%、「どちらかといえばトランプ氏の当選」は32.0%で、合計した『トランプ氏の当選』は41.6%となりました。日本経済にとってプラスとなるのはトランプ氏の当選ではなくバイデン氏の当選だ、と考える人が多数派であることがわかりました。
▼2021年以降の展望
◆日本経済がコロナ・ショックから回復するのはいつ頃? 投資経験者の予想では「2023年以降」が最多
◆アメリカ経済がコロナ・ショックから回復するのはいつ頃? 投資経験者の39%が「2023年以降」と予想
全回答者(1,000名)に、日本や世界の経済がコロナ・ショック(新型コロナウイルス感染拡大による打撃)から回復するのはいつ頃だと思うか聞きました。
【日本経済】では、「既に回復している」は2.3%、「2020年中」は2.3%、「2021年中」は22.1%、「2022年中」は28.2%、「2023年以降」は45.1%と、「2023年以降」が最多回答となりました。来年いっぱいはまだ回復しておらず、回復は再来年以降になると予想する投資経験者の割合(『再来年以降』)をみると、73.3%となりました。
では、日本以外の国や地域についてはどのように予想している人が多いのでしょうか。
「2023年以降」と回答した人の割合は、【アメリカ経済】では39.3%、【中国経済】では27.2%、【韓国経済】では53.5%、【EU経済】では55.1%と、いずれについても日本経済と同様に最多回答になりましたが、【中国経済】では「既に回復している」との回答が22.5%と他の国・地域の経済と比べて高く、来年中には回復していると予想する人が55.1%(「既に」22.5%、「2020年中」6.5%、「2021年中」26.1%の合計)と半数を上回りました。
◆来年以降の日本経済成長のために必要だと思うこと 1位「コロナ終焉」2位「新しい働き方の定着」
投資経験者は、来年(2021年)以降の日本経済の成長についてどのようにとらえているのでしょうか。
まず、全回答者(1,000名)に、来年以降の日本経済の成長のために必要だと思うことを聞いたところ、1位「新型コロナウイルスの終焉」(63.3%)、2位「新しい働き方の定着(副業・兼業やテレワークなど)」(43.7%)、3位「持続的な賃金上昇」(33.3%)、4位「デジタル人材・デジタル産業の育成」(30.1%)、5位「AI・ロボットの普及」(28.0%)となりました。
男女別にみると、「新しい働き方の定着」は男性38.0%、女性49.4%と女性のほうが11.4ポイント高くなりました。今年は、新型コロナウイルスの感染拡大でテレワークを導入する企業が増加し“テレワーク元年”ともいわれています。女性には、副業・兼業やテレワークのような新しい働き方が定着することで日本経済が成長すると考える人が多いようです。
◆長期的成長が期待できる分野 1位「AI・自動運転車などの知能化技術」2位「先進医療」3位「ロボット工学」
次に、全回答者(1,000名)に、“今後、長期的に成長の期待が持てそうだ”と感じる市場(産業)を聞いたところ、1位「知能化技術(AI・自動運転車など)」(40.2%)、2位「先進医療(再生医療・遺伝子治療など)」(38.0%)、3位「ロボット工学(家庭用・産業用ロボットやドローンなど)」(36.2%)、4位「情報・通信技術(IT/ICT)」(30.8%)、5位「バイオ・創薬」(30.1%)となりました。
年代別にみると、20代では「知能化技術」や「ロボット工学」と並んで「ゲーム(VR・位置情報ゲームなど)」(30.5%)が1位になりました。また、「コンテンツ配信(音楽/動画配信・電子書籍など)」(29.5%)が他の年代と比べて高くなりました。コロナ禍以降、ゲームや動画配信サービスの需要が増加しています。20代には、ゲーム市場やコンテンツ市場に期待している人が少なくないようです。
◆日本企業が本来の実力を発揮し、株式市場で正当に評価された場合、10年後の株価はどうなる?
2030年12月末の日経平均株価 株式投資家の予想は平均27,162円
最後に、今後の日経平均株価の予想を聞きました。
株式投資家(583名)に、約1年後の2021年12月末の日経平均株価の予想を聞いたところ、「25,000円~30,000円未満」(27.1%)に最も多くの回答が集まり、平均(「わからない」と回答した人を除いて算出)は24,073円でした。
続いて、“日本企業が本来の実力を発揮し、株式市場で正当に評価された場合”という条件を加えて聞いたところ、「25,000円~30,000円未満」(26.1%)に最も多くの回答が集まったほか、「30,000円~35,000円未満」(12.5%)にも回答が集まり、平均は26,737円でした。条件を加えていない場合(24,073円)よりも2,664円高い結果となりました。
また、約10年後の2030年12月末の日経平均株価の予想を聞いたところ、「わからない」(28.8%)を除くと、「25,000円~30,000円未満」(17.7%)や「30,000円~35,000円未満」(11.0%)に回答が集まり、平均は25,784円でした。
“日本企業が本来の実力を発揮し、株式市場で正当に評価された場合”という条件を加えて聞いたところ、同様に「25,000円~30,000円未満」(16.6%)や「30,000円~35,000円未満」(11.0%)に回答が集まり、平均は27,162円でした。