<便秘の自覚がある働く男女300名の 『便秘による生産性低下』調査> 便秘が原因で仕事のパフォーマンスが低下

便秘と同時に平均約8個の身体の不調を感じている さらに、メンタルのコンディションも不調に

働く男性や女性には便秘に悩む人が多く、なかには便秘に伴って仕事や心身の状態にさまざまな不調を抱えている方も少なくありません。便秘と仕事の労働生産性低下との関連については、すでに昨年、「慢性便秘症の人は年間122万円の労働生産性の損失がある」という結果が報告※されています。

「大腸劣化」対策委員会では、全身の健康の要である大腸のケアの重要性を広く知ってもらうための活動の一環として、便秘への対策法の具体的な提案を行っています。今回は当委員会が便秘と関連した、仕事のパフォーマンスおよび身体や心理社会的な影響を明らかにする目的で行ったWEB調査の結果をお示しします。
なお、ここで言う「劣化」とは、「老化」と異なり、ケアや対策を講じることで予防や改善できることを指します。

WEB調査の対象は、首都圏在住で便秘を自覚し、かつ排便が週に3回未満の30~50歳代の男女約300名とし、便秘が生産性ならびに心身におよぼす影響に関して20項目にわたる質問を設けました。本リリースでは、得られた結果の中で、とくに注目に値すると考えられるものを紹介します。
結果の解釈につきましては、ストレスの精神生理学的研究を専門とする杏林大学名誉教授の古賀良彦先生にコメントをいただきました。
※ Toshihiko Tomita et al. The Study on Health-Related Quality of Life and Work Productivity for Chronic Constipation: An Observational Study Based on a Patient Database National Health and Wellness Survey, Gastroenterology, 2019, 156(6):S-599.

便秘による生産性低下と心身の状況に関するWEB調査結果トピックス

1.便秘による仕事のパフォーマンスの低下
(1) 便秘を自覚する人は、男女ともに仕事のパフォ―マンスの低下を自覚する人が多く、とくに男性では高い割合でみられ、30歳代男性では、75.0%がパフォーマンスが低下すると回答

(2) パフォーマンスレベル低下の程度は著しく、平均約60%にまで低下と回答

(3) 約40%が便秘のために仕事を休みたいと思ったことがある
そのほぼ半数は便秘を理由に仕事を休んだことがあり、とくに男性に多い

2.便秘に関連した身体の不調
(1) 便秘の影響で身体面のコンディションは顕著に低下すると自覚している

(2) 「おなら」や「お腹の張り」などのお腹の不調以外にも、「眠りが浅い」、「肩こり」、「食欲不振」、「頭痛」など、自律神経失調を示すものを含む幅広い訴えがみられ、その出現数は一人あたり約8個にも達していた

3.便秘に伴いメンタル面のコンディションも著明に低下すると感じる

[WEB調査概要]
■表題  :「便秘による生産性低下」に関するWEB調査
■調査主体:「大腸劣化」対策委員会
■調査期間:2020年03月12日(木)~2020年03月14日(土)
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:関東1都3県の30~50歳代の男女 合計312名(男性女性各156名)
      便秘の自覚があり、かつ排便が週に3回未満の方

「大腸劣化」対策委員会 ホームページアドレス
https://daicho-rekka.jp/

便秘による生産性低下と心身の状況に関するアンケート調査結果

1.便秘による仕事のパフォーマンスの低下

(1) 便秘による仕事のパフォーマンス低下の有無
便秘のある人は、男女ともに仕事のパフォーマンス低下を自覚している方が多いという結果がみられました。男性は、どの年代でも、パフォーマンスが低下すると回答した割合が女性より高く、とくに30歳代男性では、75.0%と高率でした(図1)。

図1.便秘による仕事のパフォーマンス低下の有無(N=312)

[図1グラフ]パフォーマンス低下実感全体
[図1グラフ]パフォーマンス低下実感全体
[図1]パフォーマンス低下実感男女
[図1]パフォーマンス低下実感男女

(2) 便秘によるパフォーマンス低下のレベル
男女ともに、便秘の際の仕事のパフォーマンスの低下については顕著な差がみられ、便秘していない時を100%とすると、便秘時は約60%でした。女性は男性よりも低下の程度がやや大きいという結果でした(図2)。

図2.便秘による仕事のパフォーマンス低下のレベル
(便秘がない時のパフォーマンスを100%とし、便秘の際のパフォーマンスの程度をパーセントで比較)

[図2グラフ]仕事のパフォーマンス低下レベル
[図2グラフ]仕事のパフォーマンス低下レベル

(3) 便秘による休暇取得の経験
便秘と休暇の関連については、40%以上が便秘で休みたいと思ったことがあると回答しました(図3)。さらに、実際に仕事を休んだことがある人の割合は18%を超えていました(図4)。性差をみると、休みたいと思った経験は女性の方がやや割合が高かったのですが(図5)、実際に便秘で仕事を休んだ人の割合は、女性は男性の半分にも達しませんでした(図6)。

図3.便秘が理由で仕事を休みたいと思った経験(N=312)

[図3グラフ]便秘が理由で仕事を休みたいと思った経験
[図3グラフ]便秘が理由で仕事を休みたいと思った経験

図4.便秘が理由で実際に仕事を休んだ経験(N=312)

[図4グラフ]便秘が理由で仕事を休んだ経験
[図4グラフ]便秘が理由で仕事を休んだ経験

図5.仕事を休みたいと思った経験の有無の性差(男性 N=156、女性 N=156)

[図5グラフ]便秘が原因で仕事を休みたいと思った経験男女
[図5グラフ]便秘が原因で仕事を休みたいと思った経験男女

図6.実際に仕事を休んだ割合の性差(男性 N=156、女性 N=156)

[図6グラフ]便秘が原因で仕事を休んだ経験男女
[図6グラフ]便秘が原因で仕事を休んだ経験男女

2.便秘に関連した身体の不調

(1) 身体面のコンディション
身体の全般的コンディションの自覚は、便秘していない時を100%とすると、便秘時は47.3%と顕著に低下していました。女性は男性よりも、やや低い結果となりました(図7)。

図7.便秘のときの身体のコンディション
(便秘がない時の身体のコンディションを100%とし、便秘の際のコンディションの程度をパーセントで比較)

[図7グラフ]便秘のときの身体のコンディション
[図7グラフ]便秘のときの身体のコンディション

(2-1) 便秘に伴う身体的不調の訴え
身体の不調で最も多かったのは、「おならが臭くなる」で、次いで、「お腹の張り」、「おならの回数が増える」など、予測された通り、お腹についての訴えが目立ちました。しかし、お腹の不調以外も少なくなく、「疲れやすさ」、「肌の不調」や、「眠りが浅い」、「食欲不振」などの生活の基本的な条件、さらに、「肩こり」、「頭痛」など、ストレスに起因するような自律神経の失調と関係するものなど、幅広い身体的な不調がみられました(図8)。

図8.便秘に伴う身体的不調の訴え
※複数回答(N=312)

[図8グラフ]便秘に伴う身体的不調の訴え
[図8グラフ]便秘に伴う身体的不調の訴え

(2-2) 身体的不調の出現数
便秘に伴って出現する身体的不調の数は、一人あたり平均7.9個もみられました(図9)。

図9.便秘に伴う身体的不調の訴えの数
※複数回答(N=312)

[図9グラフ]便秘に伴う身体的不調の数
[図9グラフ]便秘に伴う身体的不調の数
[図9イメージ]1人平均の便秘以外の症状の数
[図9イメージ]1人平均の便秘以外の症状の数

3.便秘に伴うメンタル面の不調

(1) メンタル面のコンディション
メンタル面についても、身体面と同様に非便秘時と比較すると、便秘時は54.3%に低下していました。身体面のコンディションとは異なり、僅かな差ですが、男性の方が女性よりも、やや低い結果となりました

図10.便秘のときのメンタル面のコンディション
(便秘がない時のメンタル面のコンディションを100%とし、便秘時のコンディションの程度をパーセントで比較)

[図10グラフ]便秘のときのメンタル面のコンディション
[図10グラフ]便秘のときのメンタル面のコンディション

調査結果まとめ

以上のように、便秘と関連して仕事のパフォーマンスの低下を示す人が高割合にみられました。また、その程度は決して軽いものではありませんでした。便秘のために仕事を休みたいとする人の率も高く、男性では実際に便秘のために休む人が女性より高い率でみられました。便秘を有する人は多岐にわたる身体的不調を訴え、その数は1人あたり平均約8個にも達していました。それに加え、メンタル面での不調を訴える人も少なからずみられました。

生産性を上げるためには、まず便秘の改善を心がけてみましょう。消化器学の専門家で帝京平成大学教授 松井輝明先生によると、外出制限が続き、運動不足やストレスが溜まることで、知らず知らずのうちに便秘になってしまっている「巣ごもり便秘」の方も増えているとのことです。便秘の改善には、ビフィズス菌などの善玉菌とそのエサとなる水溶性食物繊維やオリゴ糖、ラクチュロースなどを摂るといった、普段からの大腸ケアが重要です。

杏林大学 名誉教授 精神科医 古賀良彦 先生

昭和46年慶応義塾大学医学部卒業後、昭和51年に杏林大学医学部精神神経科学教室に入室。その後、平成2年に助教授、平成11年に主任教授となり、平成28年より現職。日本催眠学会名誉理事長、日本ブレインヘルス協会理事長、日本薬物脳波学会副理事長、日本臨床神経生理学会名誉会員などを務める。

古賀先生
古賀先生

杏林大学 古賀良彦名誉教授コメント

今回の便秘を有する人およそ300名を対象としたWEB調査の結果から、便秘によって男女ともに仕事のパフォーマンスが大きく低下していることが分かりました。その背景には便秘に伴う身体面とメンタル面のコンディションの不調があり、場合によっては仕事を休まざるを得ない状況に至るということも少なくないことも明らかにされました。

便秘にはお腹の不調ばかりではなく、自律神経の失調と関連する様々な訴えがみられることも分かりました。便秘は排便が十分にないということだけではなく、身体の働きに幅広く影響することが明らかにされたことは、この調査の成果と言っても良いでしょう。

最近、腸脳相関すなわち腸と脳との機能的な関連の深さへの関心が高まっています。今回の調査で、便秘という腸の機能の不全が、脳の働きによって生み出されるメンタルの機能まで影響を与えることが示されたことは、腸脳相関の分かりやすい事例として興味ある結果と考えられます。

現在、食品への関心が高まり、健康に有用な成分を摂取することの重要性は広く認められています。一方、腸で食物から有用な成分や水分が吸収されたのちに、便としてきちんと排泄することについての意義や、便秘によって起きる不調については、それほど認識されていませんでした。今回の結果は、大腸の機能が損なわれ、便秘が続くことによって生じる影響を、労働生産性という面から、また腸脳相関という視点からも示したということから意味あるものと考えられます。

「大腸劣化」対策委員会 ホームページアドレス
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