部屋の中でも知らないうちに紫外線を受けている!? 夏の紫外線トラブルのカギとなる 「肌免疫」の働きについて皮膚科医が解説

2018-07-30 11:15

 SHISEIDO PR事務局は、夏の紫外線が強まる時期だからこそ気を付けたい、室内で受ける紫外線の影響と「肌免疫」の関係について医療法人康梓会Y'sサイエンスクリニック統括院長の日比野先生に解説をいただきました。

部屋の中でも紫外線に注意

 暑い夏が到来し、海やキャンプなどアウトドアのイベントが増える季節。日常でも外に出る際は日焼け止めを塗ったり、日傘を差すなど紫外線対策を行っている人は多いかと思いますが、実は部屋の中にいても紫外線が入ってくるということを知っている人は少ないかもしれません。知らないうちに紫外線のダメージを受けた肌は、どんなトラブルが起きてしまうのでしょうか。

 シミやシワといったすべての肌トラブルには「肌免疫」が関係しています。「肌免疫」とは肌本来が持つ防衛機能のこと。紫外線や大気汚染、乾燥などの外側からの刺激や、栄養バランスの乱れ、ストレスといった内側からの影響から肌を守るためには、この防衛機能の働きが大きなカギとなるのです。
 美容と皮膚に詳しいY'sサイエンスクリニックの日比野佐和子先生に、室内で受ける紫外線の影響と、今日から始められる「肌免疫」向上のテクニックをご紹介いただきます。

監修者

日比野 佐和子(医療法人康梓会Y'sサイエンスクリニック 統括院長)
 大阪大学医学部大学院医学系研究科卒業・博士課程修了。医療法人康梓会Y'sサイエンスクリニック広尾統括院長、大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学 特任准教授。同志社大学アンチエイジングリサーチセンター講師、森ノ宮医療大学保健医療学部准教授、財団法人ルイ・パストゥール医学研究センター基礎研究部アンチエイジング医科学研究室室長などを歴任。TVや雑誌へも多数出演。

紫外線の量も強さも、ピークは7月から8月にかけて!

紫外線の量と強さの変化

 7月は、1年のうち紫外線の量・紫外線の強さともにピークを迎える時期です。また、8月以降も依然強い紫外線に曝されていることがわかります。そもそも紫外線とは、地球に降り注ぐ太陽光線の一種。波長の長さによって、UV-A(A紫外線)、UV-B(B紫外線)、UV-C(C紫外線)に分けることができます。UV-CとUV-Bの一部はオゾン層などの大気層が防いでいるため、UV-AとUV-Bの一部を普段浴びていることになります。UV-A(A紫外線)は生活紫外線と呼ばれ、雲や窓ガラスを透過して肌の奥、真皮まで到達します。UV-B(B紫外線)はレジャー紫外線と呼ばれ、屋外での日やけの主な原因となり、多く浴びると肌に赤い炎症を起こすことも。

部屋の中にいても油断は禁物!室内での紫外線対策は「肌免疫」がカギに!

 部屋の中にいてもUV-Aは窓ガラスやカーテンを通過して届いてしまい、肌に悪影響を与える可能性も。このような紫外線などの刺激から守ってくれる役割の一つに、肌本来が持つ防衛機能「肌免疫」を司るランゲルハンス細胞があります。

 刺激に肌が過剰に反応してしまうと肌トラブルにつながったり、肌の老化を加速させることに繋がってしまいますが、そのトラブルを防ぐために刺激に対する反応を鎮静化する役割をランゲルハンス細胞が担っています。ランゲルハンス細胞は機能を発揮している間に強い刺激を受けると消えて減ってしまいます。つまり、知らないうちに部屋の中で紫外線を受けてランゲルハンス細胞が減少してしまう可能性があるのです。紫外線による肌老化はシミ・シワの大きな原因となってしまいます。そんな肌トラブルを防ぐためには、紫外線の影響を極力受けないためのUVカット対策と、紫外線にしっかりと内側から対処してくれるランゲルハンス細胞を育て、「肌免疫」を高める努力がとても大切になるのです。

皮膚科医が教える!紫外線トラブルから守るテクニック4選

(1) 日焼け止めを塗る
 部屋の中にいる時も、日焼け止めクリームを使うように心掛けましょう。室内で使う際は、外出時に使うようなものではなく、肌に負担の軽いもので十分です。UV-Aを防ぐには、SPFではなく、UV-Aを防ぐ効果の数値を示すPA値で選ぶようにしましょう。

(2) UVカット機能のあるカーテン・窓ガラス
 室内への紫外線をカットするために、UV機能のあるカーテンや、窓にUVカットフィルムを貼るなどの対策が有効です。手軽に取り入れることができるUVカットスプレーなど、部屋での日焼けを防ぐことができる商品が多く販売されています。

(3) 毎日のスキンケア
 紫外線や大気汚染物質といった毎日肌が受ける刺激に対して、外側からしっかりとケアすることは肌免疫を低下させないためにはとても大切です。

◇美容液などを取り入れた丁寧な保湿
 日頃のスキンケアでは、乾燥して肌の生まれ変わりのターンオーバーを妨げないよう、充分な保湿を心掛けましょう。肌トラブルを未然に防ぐために、いつもの化粧水・乳液の手順に美容液などを取り入れて、しっかりと肌に浸透させることによって「肌免疫」を高め、ハリのある透明感が溢れる肌に導きます。

◇クレンジング・洗顔時の刺激に注意
 クレンジングや洗顔を行うときに強く擦りすぎることも、柔い肌には刺激になってしまうため要注意です。

(4) バランスの良い食生活
 食生活はとても大切で、胃腸の環境がよくなると肌免疫も安定して皮膚の状態も改善されます。バランスよく栄養を摂り、身体の内側から美しくなりましょう。肌免疫を高めるためには、以下の食材を摂るように心掛けましょう。

◇抗酸化作用のあるカラフルな野菜(にんじん、小松菜など)
 緑黄色野菜に含まれるβカロテンには皮膚や粘膜の免疫力をアップさせてくれると言われており、紫外線やストレスでダメージを受けてバリア機能が低下したお肌をサポートしてくれます。朝の野菜ジュースなどは手軽に摂れるためおすすめです。

◇保湿力を高めるタンパク質(肉、魚、大豆など)
 皮膚を形成する素であるタンパク質が不足すると、新陳代謝を妨げ肌を老化させて、たるみやくすみの原因に。同時に、肌のハリや弾力を保つコラーゲンの源でもあります。

◇ビタミンC(キウイ、いちご、みかんなど)
 皮膚や粘膜を健康に保つために必要不可欠なのがビタミンC。コラーゲンの生成に必要不可欠で、肌のターンオーバーを整える作用があります。

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