【名城大学】サラリーマン退職後に学び直しで夢を追う、鉄人エンジニア
国境を越えて、世界のインフラ構築に貢献したい
技術者としてサラリーマン人生をまっとうし、退職後、名城大学でのリカレントを決意した石澤和廣さん。その決意の裏側には、壮大な夢と目標が隠されているようです。社会経験を踏まえて、再び学ぶことの意義と楽しさとは…?また、親子ほど年齢の離れた学友たちと過ごすキャンパスライフの様子も気になるところです。まずは入学前に従事していたお仕事の話から聞いてみましょう。
Q入学前はどのような仕事をしていたのですか?
電機メーカーの建設部門で、計画・提案・設計・マネジメントなどを担当し、シニアマネージャーとして経営を担いました。主に手がけていたのは、ダムやトンネル、農業用水管理施設の電気・通信施設など社会インフラ建設で、国土交通省、農林水産省、自治体など官公庁向けの仕事です。
Q退職後のリカレント(学び直し)を決意したきっかけは何でしょう?
電気・電子工学とマネジメントの分野でキャリアを積んできましたが、この業界には早くからDXやICTの波が押し寄せ、従来の知見や技術だけではいずれ限界を迎えるだろうと痛感していました。
例えば、農業用水施設の監視システムの場合、かつてはハードウェアと人の力が中心となり運用・管理されていましたが、20年ほど前から通信や画像処理などのソフトウェアの存在が不可欠になり、その比重と機能がどんどん高まっていきました。その時流の中で私もソフトウェアのことを学んでいったのですが、ハードウェアを重視する建設の専門家や顧客のニーズと、ソフトウェアの技術者の間にはどうしても感覚のズレのようなものが生じてしまうのです。
その状況に危機感を感じ、私自身が両者をつなぐ知識と技術を習得することで社会貢献できれば、と考えるようになりました。このように、フィジカルコンピューティング(コンピューターのハードとソフトの学び)を学修することへの欲求が入学の動機です。
Q名城大学の情報工学部を選択した理由は?
中部圏最大規模、かつ、文理一体の有名大学であることと、社会人にも広く門戸を開放している情報工学部のフラットな姿勢にも好感を持ちました。実際、さまざまなサポート体制が充実していて、授業外の学習相談の場にも恵まれています。条件はありますが、社会人向けの奨学金制度もあり、私も利用させていただくことにしました。
Q授業はどのような雰囲気ですか?
まだ1年生ですから、基礎科目が中心です。学友たちと違い、私は学校での学びから遠ざかっていましたので、授業に付いていくのに精一杯の毎日を送っています。帰宅後の予習・復習は欠かせませんし、全科目とも宿題が出されるので睡眠時間はかなり減っているかな(笑)?
そんな状況なので、学友たちにはいつも教えてもらう一方です。教授の先生方にも懇切丁寧に指導していただき、感謝しかありません。サラリーマン時代には採用や若手の育成などにも携わっていたので、学友たちの就活がはじまったら助言などで恩返しできれば、と思っています。先日は、院生から企業内でのコミュニケーションや心構えなどについて相談を受けました。社会人の経験者だからこそお役に立てることもあると思っているので、積極的に情報提供をしていきたいと思っています。
Q他にも在学中に”やっておきたいこと”はありますか?
私は、在職中に『技術士(総合技術管理部門、電気電子部門)』を取得しています。『技術士』の責務には、社会貢献と最新技術に接して自己の資質向上、そして後進の育成があります。名城大学の技術士会に入会しましたので、日本最高位の技術者である『技術士』を目指す後輩の育成などにも貢献していきたいと考えています。
また、名城大学への応援として2026年に竣工するアリーナの椅子銘板募金をさせていただきました。銘板には私の名前とともに「在校生」と刻まれるのでしょうか?今から楽しみです。
それから、全日本大学女子駅伝で連続優勝という目覚ましい活躍を見せる女子駅伝部の試合を現地まで見に行きたいと思っています。入学してすぐ、返礼品付き寄付サイトで「応援セット」に寄付をしてグッズも手に入れました(笑)。
Q卒業後の夢や目標について教えてください。
実は、サラリーマン時代に建設コンサルティング会社を起業しています。現在は、学業のために休業していますが、名城大学での学びをベースにして、日本と世界の社会インフラ構築に貢献していくことが目標です。
世界には「APEC(エイペック)エンジニア」という技術士の国際的な資格があります。これは、北米(アメリカ、カナダなど)、オーストラリアやアジアの国々などで技術者が国境を越えて自由に活動するための制度です。この「APECエンジニア」に登録し、世界のインフラ構築に貢献していくことが、私の自己実現の目標です。
Q現在学び直しを検討している方にアドバイスはありますか?
やはり、何か目標を持って学ぶことが大切だと思います。また、大学選びについては、名城大学のように様々な人に門戸を開いている学舎だと安心かもしれませんね。社会人が高校を卒業したばかりの学友と机を並べて勉学に付いていくには、それなりの覚悟と努力が必要ですが、社会人の頃とはひと味違う刺激と感動に出会えると思います。
情報工学部 情報工学科1年 石澤和廣(いしざわ かずひろ)さん
愛知県出身。技術者の道を歩み続け、在職中に建設コンサルティング会社の起業も果たした不屈の人。
好きな言葉は「初志貫徹」。最近は好きなゴルフも中断し、勉学に励んでいる。自宅では英語とドイツ語のリスニングも勉強中とのこと。