情熱の源泉に迫る!研究者インタビュー

―彼らが見つめる日本の未来とは―

特集記事『情熱の源泉に迫る!研究者インタビュー』
特集記事『情熱の源泉に迫る!研究者インタビュー』

平成28年科学技術研究調査の結果によると、平成28(2016)年の日本の研究者数は84万7100人で、同じく10年前の平成18(2006)年の研究者数81万9900人と比較すると、2万7200人(3.3%)増加している。これは、中国、アメリカに次いで第3位の人数だ。
<出典:総務省統計局 https://www.stat.go.jp/info/today/119.html

研究者になる方法はさまざまあるが、就職先として国の研究機関や民間企業の研究機関、大学等の教育機関が考えられる。一方、ライフワークとしての研究の場合、この限りではない。環境や立場にとらわれず、情熱を持って研究に励む人も多くいることを考えると、夢の叶え方は自分次第なのだ。

学校を卒業し、社会に出るタイミングで夢を抱いている人は一体どのくらいいるのだろう。日々を淡々と過ごす幸せのかたちもあるが、「やりたいこと」や「知りたいこと」があるとよりいっそう人生が充実する。

そこで、環境や分野の異なる5人の研究者たちから話を聞き、知的好奇心の源泉を探っていく。

●公開日時:2019年11月8日(金)14:00 ウェブマガジンSOCIO

SOCIO公式HPより
SOCIO公式HPより

▼ 記事概要・作家紹介

1 仕事をしながら大学で学ぶ

「トキ」を守るために一念発起。就職後に修士号を取得した研究者。

社会人として航空機整備の仕事をしながら、放送大学1期生として絶滅危惧種であるトキの研究に取り組んだ後藤袈裟登氏(修士、日本鳥類保護連盟会員)。40年以上に及ぶ研究の日々、その情熱の在り処を伺った。

▽ 後藤袈裟登(ごとう・けさと)

修士、日本鳥類保護連盟会員。
『ニッポニア・ニッポン: 朱鷺(トキ)の保護、生息の変遷、体色変化』の著者。
【略歴】
1937年
  長野県諏訪市生まれ。横浜市在住。
1952年
  航空専門学校修業以降は、旧(株)JASの航空機整備一筋。
1997年
  45年間の勤務の後、定年を迎える。その後、JASのサポート、JALグループ、JAL AIRTECHの嘱託として勤める。航空機用プロペラおよびエンジン工場検査員資格をはじめ、10以上の資格・免状を持つ。
【所属団体】
日本野鳥の会会員
日本鳥類保護連盟会員…中国トキ保護観察団、第1回から第13回まで毎年(8年間)参加した。
(財)日本剣道連盟会員……剣道5段

後藤袈裟登『ニッポニア・ニッポン: 朱鷺(トキ)の保護、生息の変遷、体色変化』
後藤袈裟登『ニッポニア・ニッポン: 朱鷺(トキ)の保護、生息の変遷、体色変化』

2 広い視野で地球の未来を見つめる

人類から欠如した倫理観を取り戻そうとする研究者。

研究者たちが見つめているものは私たちが思う以上に大きい。エネルギー問題を深刻にとらえ、経済中心から精神中心の文明への転換を訴え続けている村田光平氏(元在スイス大使)。「心を寄せ合う」という意が込められた令和の現代に、彼が訴えるのは、ひとり一人の倫理観のあり方であった。

▽ 村田光平(むらた・みつへい)

元在スイス大使。
『新しい文明の提唱: 未来を生きる君たちへ 』の著者。
【略歴】
1938年
  東京生まれ。
1961年
  東京大学法学部卒業後、2 年間外務省研修生としてフランスに留学。その後、 分析課長、中近東第一課長、宮内庁御用掛、在仏公使、国連審議官、在セネガル大使、衆講院渉外部長など歴任。
1996年〜
1999年11月
  在スイス大使を努める。
1996 年10月〜
  ヒテンシュタイン大使(初代)を兼任。
1999 年11月〜
  東海学園大学教授(比較文化論)。
2000 年 〜
  2年間京セラ株式会社顧問、 稲盛財団評議員。
2000年 10 月〜
  アルベール・シュバイツァ 一国際大学名誉教授。環境問題の中心的課題はエネルギー問穎であるとの認識に立ち、1989 年より3 年間セネガルに在勤中、太隔エネルギーの導入を実現。唯一の被爆国・日本を、核エネルギーの軍事利用犠牲国のみならず民事利用犠牲国にしないためにも、経済中心の文明から、環境と未来の世代の利益の尊重する精神中心の文明への転換を訴え続けている。
【主な著書】
『新しい文明の提唱一未来の世代へ捧げる一』(文芸社)
『新しい文明の提唱: 未来を生きる君たちへ 』(22世紀アート)
「原子力と日本病」(朝日新聞社)

E-mail:m-murata@pankcity.ne.jp
http://homepage.mac.com/kurionet/murata.html

村田光平『新しい文明の提唱: 未来を生きる君たちへ 』
村田光平『新しい文明の提唱: 未来を生きる君たちへ 』

3 ロマンを超え、情熱をもって調べつくす

謎多き邪馬台国の真実を解き明かす研究者。

邪馬台国の所在について、真実の国史の復元を試みる石川雄治氏(古代史研究家)。石川氏がこれほどまで熱心に研究にのめり込むことになったきっかけを、そのエピソードと共に伺った。

▽ 石川雄治(いしかわ・ゆうじ)

古代史研究家。
『日本書紀年代論: 邪馬台国は都城盆地である 』の著者。
【略歴】
1945年1月
  大阪市浪速区に生れる
1963年
  神奈川県立希望ヶ丘高校卒
  家業の和服仕立業に従事
1997年
  廃業

石川雄治『日本書紀年代論: 邪馬台国は都城盆地である 』
石川雄治『日本書紀年代論: 邪馬台国は都城盆地である 』

4 幼少期の「好き」を仕事に

人づきあいが苦手な少年だった、お魚研究者。

世間では「好きなことを仕事にしない方がいい」、「楽しいだけでは仕事にならない」と言われることがある。経済環境や家庭環境を考えると一理あるが、それでも好きなことを仕事にしている人たちがいる。その人たちは人生に満足しているのだろうか。幡谷雅之氏(東海大学海洋学部非常勤講師)に、「好き」を深めて職業につなげるプロセスを学ぶ。

▽ 幡谷雅之(はたや・まさゆき)

東海大学海洋学部非常勤講師。
『改訂増補 おさかなその世界1 - あ行〜か行』の著者。
【略歴】
1945年1月
  中国(旧満州国)大連市生まれ
1967年3月
  東京水産大学水産学部(現東京海洋大学海洋科学部)増殖学科卒業
1967年4月~
2005年3月
  静岡県職員として、主に水産試験場・栽培漁業センターに勤務し、水産増養殖などの試験研究に従事。
2005年4月~
2008年4月
  静岡県魚市場協会常務理事
2005年4月~
2009年1月
  東海大学海洋学部非常勤講師(海洋産業論)
2008年5月~
2012年3月
  静岡県漁業振興基金事務局長
2015年3月~現在
  瀬戸川朝比奈川非出資漁業協同組合専務理事。静岡県藤枝市在住。

【主な著書】
『Modern Methods of Aquaculture in Japan』(講談社・Elsevier、1983)(共著)
『さいばい叢書№2太平洋中区海域のマダイ資源の培養』(日本栽培漁業協会、一九八七)(共著)
『静岡新聞に見る静岡県昭和水産史』(まな出版企画、2008)
『静岡県水産試験研究機関百年のあゆみ』(静岡県水産試験場・静岡県栽培漁業センター、2003)(共著)
『おさかなその世界』(文芸社、2013)

幡谷雅之『改訂増補 おさかなその世界1 - あ行〜か行』
幡谷雅之『改訂増補 おさかなその世界1 - あ行〜か行』

5 学校での学びはいつ必要になるかわからない

一級建築士から転身、日本古代史の研究者。

だれもが1度くらい「学校の勉強は役に立たない」と思ったことがあるのではないだろうか。進路によっては、将来使わなそうな内容もあったはずだ。現在日本古代史の分野で活躍する矢治一俊氏(元地方公務員、一級建築士)は、建築家を目指していた少年時代、古文・漢文の必要性がわからなかったと語る。

▽ 矢治一俊(やじ・かずとし)

元地方公務員。
『日本書紀10の秘密: 隠された倭国と日下』の著者。
【略歴】
1949年 東京都生まれ
  建築設計事務所等を経て地方公務員。現在、日本古代史の研究・執筆・講演などの活動を行っている。一級建築士。現代建築を理解するため古い建築・文化をみていくうちに日本古代史と出会い、その非科学的論理の不可思議さに逆に魅了される。
  そんな一ファンとして日本古代史に接するうちに、邪馬台(●)国畿内大和説、邪馬台(●)国九州説、邪馬台(●)国東遷説などの従来説、これらの説に一石を投じたと思われた古田説など、どの説も基本史料となっているのは『魏志』倭人伝のみで、歴史を時間の流れとして捉えようとしていないことがその不可思議さの根源である、と確信するようになる。
  『魏志』倭人伝からでは、卑弥呼の国・邪馬臺国を見つけることはできない。それは『魏志』倭人伝自身とこれまでの邪馬台国研究史が証明している。このことに気がついたとき、ほかの史料にはどのようなものがあり、そこには本当はどのようなことが書かれているのか、自分の目で確かめるようになる。そして、邪馬臺国への行路は『隋書』俀国伝にもあることを知り、日本古代史を解く鍵は倭・倭人・倭国を時代を追って見続け、日本国の登場を記した中国史書全体の記録の整合性の中にある、ということを強く認識する。
  以来、一連の中国史書、複数の資料に整合する、学問・科学としての日本古代史を探し続ける。
【著書】
『「隋書俀国伝」の証明 【邪馬壹国へのもう一つの行路の発見】』(近代文芸社 1998.07)
『縄文から「やまと」へ 【〈DNAと中国史書〉からみた日本】』(文芸社 2005.05)日本図書館協会選定図書
『倭(わ)と山東(やまと)・倭(やまと)・日本(やまと) 【倭人と北東アジア系渡来人の歴史】』(22世紀アート 電子書籍 2018.08 『縄文から「やまと」へ』改訂版)

矢治一俊『日本書紀10の秘密: 隠された倭国と日下』
矢治一俊『日本書紀10の秘密: 隠された倭国と日下』

▼ SOCIOについて

SOCIO(ソシオ)は、「あたらしい自分と社会をつくる」をコンセプトにしたウェブマガジンです。毎記事で1つのテーマを取り上げ、各界で活躍する作家が質問にお答えします。社会問題から人生のお悩みまで、さまざまな気になることを作家とともに考えていきます。SOCIOを通して、みなさまが未来について考える機会をお届けしたい。そんな想いで、発信してまいります。
公式HP: https://www.socio22.com/
Twitter: https://twitter.com/SOCIO_sns

「あたらしい自分と社会をつくる」ための3つのメッセージ
①多様性:多様性が求められる社会で、他人の主張を無視しない。
②気づき:その中にある気づきを育み、自分だけの行動指針を生み出す。
③営む:ひとり一人の決断の連鎖で、社会をアップデートする。

「あたらしい自分と社会をつくる」ための3つのメッセージ
「あたらしい自分と社会をつくる」ための3つのメッセージ

▼ 運営会社について

株式会社22世紀アート

「みんなを幸せにする出版社」を企業理念に掲げ、「出版とは、今、社会が必要とする情報を発信すること」という思いのもと、誰もが「本」に触れ、「本」を生み出し、「本」を愛する人になる。そんな文化インフラを作るために、20名のスタッフにより運営されています。

代表者  : 向田翔一
所在地  : 〒105-0003 東京都港区西新橋1-5-12 佐野ビル6F
設立   : 2014年12月
事業内容 : 書籍・電子書籍制作及び出版
TEL   : 03-5941-9774
FAX   : 03-5941-9773
MAIL  : info@22art.net
公式HP : https://www.22art.net/
Twitter  : https://twitter.com/22artnet
Instagram: https://www.instagram.com/22art_tokyo/?hl=ja

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人生をもっと楽にするためのヒント

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第一章 妬みは自信に換えられる 教員を退職後、精力的に執筆活動をつづけている清水直史郎さん(小説家、白亜美術協会会員)はいう。 そもそも、「今の自分を変えたい」と思っていること自体、とてもよいことです。なぜなら、妬む気持ちに少なからず後ろめたさを感じていて、前向きな気持ちに変えようとしているからです前向きな気持ちがある人が次のステージに進むためには、比較癖をやめましょう。 「他人がどうか」ではなく、「どんな自分になりたいか」明確にしてみましょう。妬みの先に目標を設定すると、具体的にどんな行動をすればよいか考えられるようになります。 小さなことでも自分基準で行動していくと、「なぜあの人はすごいのか」気がつくでしょう。妬みではなく他人を認める気持ちに変わっていきます。妬みには2種類あると言われています。 ●良性妬み 自分自身をよくしたいと思う向上心 ●悪性妬み 相手を傷つけたいと思う悪意・敵意 この良性妬みを維持することはむずかしく、設定した目標が大きすぎると、途中で心が折れてしまうことがあります。たとえば、「仕事ができる人になりたい」という大きな目標を立てたとしたら、そのための小さな目標が必要です。 ●毎日同じ時間に起きて同じ時間に眠る ●メールはその日のうちに返す ●デスクの上をきれいに保つ 業務内容以前に、基本的なことだけでもたくさんあります。簡単に見えることでも、強い意志がなければ継続できません。小さなことを継続する力がついたとき、自分で自分を認められ、良性妬みが自信に変わるのではないでしょうか。 第二章 環境を変える行動力で人生が好転する 中谷庄一さん(高齢者問題研究家、大和銀行元社員)は、母親からのプレッシャーで自信が持てない高校時代を過ごしていたものの、大学入学を機に大きく変わったといいます。 高校3年生のとき、母親からの言葉に苦しめられました。「あんたが落ちたら私がアホやと思われる」。結局、第一志望の大学に落ちてしまい、「人生最大の失敗だ」と絶望的な気持ちになったことを強く覚えています。 その後別の大学に入学したのですが、とことん落ち込んだおかげで開き直りました。気持ちを切り替えて大学生活を送ろうと決意してからというもの、せっかく新しい環境になったのだから、自分の弱さと向き合ってみようと思ったのです。 たとえば、必要以上の授業を受け、とにかく勉強に励みました。そして、虚弱な身体を強くするために柔道部、人前で行動できるように合唱クラブに入部しました。 環境が変わると気持ちも変わります。中谷さんの場合、まずは新しい環境に所属してみたことがターニングポイントとなっています。環境を変えようと思ったとき、最初の一歩がなかなか出ないという人が多いです。 だれでも絶対に1つや2つ苦手なことや弱さがあるので、まずはできないことがある自分を認めてみましょう。「自分の現状を把握すること」、これが自分を変える行動の第一歩です。 人生で大きな失敗があっても、なんとかなるものです。そのときは深刻に考えるかもしれませんが、失敗は「なりたい自分になる」ためのエネルギーに変えられます。 新しいことにチャレンジすると、前よりも自分が好きになれるでしょう。歳をとった今も人前で歌うことをつづけていますし、歌でつながった仲間がたくさんいます。楽しい人生を送れています。 高校時代に母親の言葉にとらわれていた中谷さんはもういません。「母親がどう思うか」ではなく、「自分がどうしたいか」を考えるようになって人生が変わりました。 そう思えるようになったのは、環境の変化による影響が大きく、「できないけど、とりあえずやってみる」の精神が人生を変えたのです。 まとめ ●妬みは悪い気持ちではない。良性妬み(向上心の種)を育めば自信が持てる。 ●環境を変えてみることは自分を変える一つの手段。とりあえず所属してみるのもあり。 企画・執筆:佐藤志乃 企画・制作:一条恒熙
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災害時に逃げ遅れてしまう人の心理

特集記事『災害時逃げ遅れてしまう人の心理』
特集記事『災害時逃げ遅れてしまう人の心理』
先日の台風19号の影響で、スーパーでは飲料や食品を買い求める人の行列ができ、商品の品薄や品切れが相次いだ。 災害に備える行動が目立つ一方で、どこかで「自分は死なない」と思っていませんか? 2019年に発生した自然災害13件のうち、8件で死者が発生している。この8件で確認できる死者は88人にのぼる。 <参考:『内閣府 防災情報のページ』災害状況一覧 令和元年/平成31年(10月23日9:00現在)>http://www.bousai.go.jp/updates/ この他に、避難生活の疲労や環境の悪化による病気、持病の悪化による災害関連死も多数あることを考えると、災害による死は他人事ではない。 |人生で3回は被災する時代、正常性バイアスに危機感を持とう そこで、平塚千尋さん(災害情報リテラシー研究家、元NHK局員、元大学講師)から人々の災害に対する危機管理の姿勢について話を伺った。 災害は『同じところで繰り返す』、『忘れたころにやってくる』、『常に新しい顔をして現れる』、『地域に特徴的な顔をして現れる』とよく言われています。 今回の台風19号による災害も、まさにこの言葉があてはまるものでした。記録的な豪雨ではありましたが、ほとんどの被災地は過去にも災害にあっています。 さらに、各自治体のハザードマップで予想された被災地区と重なっていました。これまで、一生に1度被災するかどうかでしたが、すべての人が生きている間に2度3度と被災する可能性があるという認識が必要です。 防災について、物資を備える意識は広まってきているが、災害に直面したときの避難行動はまだまだ危機管理の意識が低い。 人は異常事態になると、「自分は大丈夫」と心の平穏を保とうとする正常性バイアスがかかる。これは決して悪ではなく、人間の心の健康を保つために無意識に行う自然なことだ。 しかし、この正常性バイアスが逃げ遅れにつながり、死の可能性を高めることもある。正常性バイアスにより被害が広がった例として、西日本豪雨で甚大な被害を受けた倉敷市真備町が挙げられる。 川の決壊により広範囲で家屋の1階が浸水したが、それでも避難しない人(できない人)が多数いた。そのほとんどが高齢者で、過去の水害を覚えていたため、「今回も大丈夫、死なない」という意識があったという。 ことの重大さに気づいたとき、体が不自由で体力のない高齢者ではもう避難できないほどの水の深さになっていた。その結果、真備町では51人が亡くなり、そのうちの42人は逃げ遅れたと見られる人たちだった。 今回の台風19号でも、死者77人のうち半数以上が水害で死亡したという。平塚さんは、過去の災害を知る人ほど逃げ遅れる傾向があるという。 台風19号上陸のかなり前から気象庁は危険性を指摘し、警戒情報を発信していました。河川の情報水位・警戒・決壊情報については、一部遅れや欠如があったものの、インターネットや放送で大量に流れていました。 それにも関わらず、死者が発生する大災害となった理由のひとつに、人々の正常性バイアスが挙げられるでしょう。地域社会・自治体・住民は、過去の災害を単なる記憶として認識してはいないでしょうか。避難について、経験則から判断することは危険です。 自治体が発信する災害情報の内容は充実してきているが、情報の届け方と情報を受け取る側の意識に課題がありそうだ。 「避難しなくても助かった」はとても危険だという意識を持ち、「避難したけど何もなかった」と思えるような行動を選択していきたい。 |まとめ 災害大国日本では防災に関する情報があふれており、人々の意識が高まっていることが伺える。とくに、避難時の荷物や家庭での備蓄品についての興味関心が高い。 しかし、避難所へ行くことはまだまだハードルが高いようで、危険な状況になる前に避難行動をとっている人は多くない。 「死」に対して、どこか他人事のようにとらえているとしたら、意識を変えることが一番の防災だ。 ●だれもが正常性バイアスを持っていることを知ろう。災害時の「自分は大丈夫」という考えは危険。「自分は死ぬかもしれない」という意識が大切。 ●自治体の情報を基準に判断し、早めに避難しよう。経験則で避難するかどうか決めることは危険。 企画・執筆:佐藤志乃 / 企画・制作:一条恒熙
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