フレックスタイムは導入するべき?企業/ワーカーのそれぞれのメリット・デメリットをまとめて理解

政府により働き方改革が推進されるなか、新型コロナウイルスが流行したことで「リモートワーク」を導入するとともに「フレックスタイム」の導入を検討する企業が急増しています。

今回は「フレックスタイム」導入の基礎知識として、メリット・デメリット、導入の流れとポイントをご紹介いたします。

フレックスタイムとは?

フレックスタイムとは、簡単にいえば一定の時間数さえ満たせば、ワーカー自身が働く時間を自由に決められる制度です。日本の多くの会社は固定時間制を導入しており、1日8時間・9時から18時までなどといった会社が定めた時間にしたがって働いていますが、フレックスタイムなら自分の業務や都合にあわせて、出勤する時刻も退勤する時刻も個人の裁量で決めることができます。

業務が多く忙しい日は10時間働き、業務があまりない日は6時間働くなど、業務の忙しさに応じてワーカーが労働時間を柔軟に決めることも可能です。

フレックスタイム導入のメリット

(1)ワーカーにとってのメリット

ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が可能になります。例えば、育児や介護と両立して働くことができますし、資格取得を目指している方は、そのためのスクールに通う時間が確保できます。

通勤ラッシュを避けることで、通勤のストレスを軽減できます。平日にしか対応できない用事も、有給を取らずに対応できます。

(2)企業にとってのメリット

ワーカーが効率的に業務を行うことにより生産効率が上がります。ワーカーが各々効率的に時間配分を行なうことで、無駄な残業が軽減し、賃金の支払いコストが削減できます。

多様な働き方を提供することで、優秀な人材の採用や定着率の向上につながります。

フレックスタイム導入のデメリット

(1)ワーカーにとってのデメリット

チームで仕事をする場合、コミュニケーションが取りづらくなり、打合せしたくてもチームメンバーが不在だったり、緊急事態が起こったときに対応が遅れたりする可能性があります。

時間や業務管理など自己管理が苦手なワーカーにとっては、フレックスタイム自体がストレスになってしまう可能性があります。

社内での手続きや相談事など、働いている時間が違うので早めに対応する必要があります。

(2)企業にとってのデメリット

取引先や他部門との連携を行なう際に時間の設定が難しくなるため、導入できる職種が限られます。また、出退勤や業務指示などのマネジメントが難しくなります。

社内でフレックスの仕組みや残業代の計算方法を正しく理解してもらうのが困難であったり、自己管理ができないワーカーがいると、時間に対してルーズになり、仕事に支障をきたすこともあります。

フレックスタイム導入の流れ

(1)対象者の決定

フレックスタイムを全社で導入するのか、特定の部署でのみ導入するのか、業務内容や取引先への影響などを考慮した上で、対象者を決めます。

(2)就業規則の作成

就業規則に始業・終業時刻を労働者の自主決定に委ねることを規定する必要があります。注意する点は、労働者が決定できるのは始業時間と終業時間の両方であるとしなければ、フレックスタイムにはならないことです。また就業規則を作成したら、所轄労働基準監督署長に届け出る義務があります。

(3)労使協定の締結

フレックスタイムを導入する際は、企業側と労働者側が話し合いを行い、以下の項目の労使協定を結ぶ必要があります。

・フレックスタイムの適用範囲(対象となる労働者を明記します)
・清算期間とその起算日
・清算期間における総労働時間
・標準となる1日の労働時間
・コアタイム(任意ですが、労働者が1日のうちで必ず働かなければならない時間帯)
・フレキシブルタイム(任意ですが、労働者が自らの選択によって労働時間を決定することができる時間帯)

(4)社内周知

導入する前に、労働時間のルールや勤怠管理方法について社内に周知する必要があります。スムーズな運用のため説明会など開いて、対象者から十分な理解を得られるように努めましょう。

(5)業務の進め方の見直し

勤務時間帯がバラバラになると取引先への影響や業務に支障が出ることもありますので、事前に「コアタイムに商談時間や会議時間を設定する」「1人での担当から複数人の担当に変更する」といった対応を検討しておく必要があります。

(6)運用開始

労働時間や残業時間の計算方法が従来とは異なるため、運用後も給与を支払う際は間違いのないように注意が必要です。

フレックスタイム導入のポイント

(1)社内に導入意義の説明と理解を徹底する

何のために導入するのか、その意義を導入前に伝達しておく必要があります。出退勤が単に楽になる・便利になるというだけでは労働時間に対する意識低下、取引先へのサービス低下などマイナスの影響が出かねませんので、その目的などを社内に周知徹底しておく必要があります。また業務フローを作成すること、管理者のマネジメント力向上を図ることも必要です。

(2)コアタイムとフレキシブルタイムの設定

社内及び取引先との時間が合わず業務に支障をきすことを避けるために、「コアタイム」「フレキシブルタイム」を設定した上で運用することをお勧めします。

(3)労働時間や勤怠管理・労務管理のツールの導入

各人が始業・終業時間を自由に決定できることから、労働時間や勤怠の把握が難しくなります。労働時間や勤怠を自己申告制にすることも可能ですが、割増賃金の未払いや長時間労働などの問題につながることもありますので、円滑に管理するには勤怠管理ツールの導入も検討すると良いでしょう。

まとめ

フレックスタイム導入にはさまざまなルールが設けられているため、制度を正しく理解しなければトラブルが発生することがありますし、就業規則の改定や労使協定の締結が必要になるため、ある程度の時間がかかります。

しかしフレックスタイムには、ワーカーのワークライフバランスを向上させ、離職を回避したり、業務の効率化が期待できたり、多くのメリットがあります。

また、これまでは会社の働き方に従うのが普通だと考えられていましたが、ワーカーのライフスタイルにあわせて働き方を提供しなければいけない時代になってきていることも考えると、会社の業績を伸ばしていくには、フレックスタイムという働き方が必要になってくるのではないでしょうか。

働き方改革の一つの手段として、わかりづらい部分は労働局や働き方改革支援センターなどの公的機関、社労士などの専門家に相談しながら、導入を考えてみるのも大事になってくると思います。



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