台湾有事に対する地政学リスクの備えを調査、 台湾・中国に拠点がある企業でも準備を始めているのはわずか36%  ~ニュートン・コンサルティング、台湾有事の対応状況調査を実施~

リスクマネジメントコンサルティングを手掛けるニュートン・コンサルティング株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:副島 一也)は、企業のリスク対応またはBCP活動の担当者1,000人を対象に、台湾有事に対する準備状況を調査しました。

  1. 調査の背景
    ウクライナ戦争が1年以上続く一方で、東アジアでは台湾海峡の緊張感が高まり、中国政府の動向に世界が注目しています。日本にとって地理的にも経済的にもつながりの深い中国と台湾、その情勢がもたらす影響は計り知れません。特に中国は我が国の輸出シェア第1位であり、ビジネスを展開する本邦企業にとって、台湾有事が発生した際には企業戦略から対応を考え直す必要が出てくるでしょう。

そのような背景から、企業が台湾有事をどのように捉え、どのような準備をしているのかを中国・台湾に拠点を置く企業、中国・台湾との取引がある企業を中心に、そのリスク対応またはBCP活動に携わる1,000名を対象に、実態を調査しました。

※「台湾有事調査レポート」の詳細は https://go.newton-consulting.co.jp/bcm_20230705/ をご覧ください。

  1. 調査結果サマリー
    (1)中国による台湾への侵攻リスクを会社として想定:56%
    (中国・台湾に拠点がある、または両者の企業と取引がある回答者)

(2)生産停止を想定:45%
(中国・台湾に拠点がある企業)
その他に、社員の安全、販売停止、中国企業との取引停止、サイバーアタックなど、事業への影響が多岐にわたることを懸念

(3)サプライヤーからの供給に支障が出る:84%
(中国・台湾に拠点がある、または両者の企業と取引がある回答者)

(4)台湾有事への準備を実施:36%
(台湾有事リスクを会社として想定し、台湾・中国に拠点がある回答者)

(5)台湾有事に対して機能するBCPが整備されていない:28%
(全回答者)

(1)中国による台湾への侵攻リスクを会社として56%が想定している
中国や台湾に拠点がある、または両者の企業と取引がある企業に所属する回答者の50%以上が中国による台湾侵攻のリスクを会社として想定している結果となりました。近隣諸国に拠点がある場合にも、40%以上の回答者が同様にリスクを会社として想定しています。海外に拠点がない、または中国・台湾企業と取引がない企業においても、10%を超える企業が台湾有事を想定しており、国内の安全や事業への影響を懸念しています。

中国が台湾に侵攻するリスクを会社として想定していますか

(2)中国による台湾侵攻が発生した場合、生産停止を想定しているのは45%
中国の台湾侵攻による影響は多岐にわたることが予想されます。台湾・中国に拠点のある企業は、当然のことながら、社員の安全に関する懸念が最も高く、60%以上が想定。さらに、営業販売不可、中国企業との取引停止、調達不足、生産停止においても、40%以上の回答を占めています。

中国による台湾侵攻が発生した場合、貴社にはどのような影響が想定されますか

中国に拠点のある組織のうち、中国拠点の資産の没収については31%、知的財産の没収も22%となり、主要リソースが中国政府に没収されることを想定している企業も多いといえます。

海外に拠点がない企業においても28%が、社員の安全について影響すると回答。中国の台湾侵攻により、日本国内にも安全面での影響が出ることを懸念していることが推察されます。他にも調達不足、売上縮小、サイバー攻撃については、20%以上がリスクとして想定しており、結果としてシステム停止や情報漏洩などが発生することが懸念されます。台湾、中国にビジネス展開している企業だけでなく、国内で事業展開している企業においても台湾有事が発生した場合のリスク想定は多岐にわたる結果となっています。

(3)サプライチェーンへの影響は甚大、84%が供給に支障が出ると回答
台湾有事によるサプライチェーンへの影響は大きく、多くの企業にとって頭を悩ませることとなっています。台湾・中国に拠点がある、または両国の企業と取引をしている回答者のうち、84%がサプライヤーからの供給に支障が出るとの結果を得ています。中国、台湾に拠点がある企業も、中国、台湾企業と取引がある企業にとっても、現地サプライヤーからの調達が途切れることにより、自拠点での生産、販売に大きく支障が出ることが想定されます。

中国が台湾に侵攻した場合に、原料調達等、サプライヤーからの供給に支障が出ますか

(4)台湾有事への準備を始めているのは、台湾・中国に拠点がある企業でもわずか36%
半数の企業が台湾有事リスクを会社として捉えているが、その準備状況は順風満帆とはいえません。台湾・中国に拠点がある企業でも準備を進めているのはそれぞれ38%、35%に過ぎず、海外に拠点が無くとも中国や台湾企業と取引がある企業もそれぞれ34%、33%にとどまっています。

中国による台湾侵攻を想定し、準備を始めていますか

台湾・中国に拠点がある企業のうち、現時点では「準備を始めていない」との回答は60%近くに上ります。経営者の危機意識の高まりにより、今後、準備を急ピッチに進めることが推察されます。

(5)台湾有事に対して機能するBCPが整備されていない企業は28%
台湾有事への準備について、どんな課題があるでしょうか。台湾・中国拠点の有無、台湾・中国企業との取引有無に関わらず、全回答者の28%が「機能するBCPが整備されていない」と回答しています。代替調達先の確保、生産・開発拠点が一極集中しているため代替ができない、などの意見も多く集まり、事業継続に関する課題が浮き彫りとなっています。

加えて、巨大な中国市場にかわるマーケットの確保がなく、台湾有事による売上縮小をどうヘッジするかも課題といえます。事業継続の観点だけでなく、駐在員の退避計画の整備においても、20%が課題として捉えており、現地社員へのケアについても12%がどこまで対応すべきか悩んでいることがわかります。

台湾有事に対してどんな課題がありますか
  1. まとめ
    各国政府の動向や軍事情報、経済動向などの情報を日々収集し、その傾向を分析することは、企業にとって、なかなかハードルが高い作業です。しかし、情報収集のネットワークを広げながら、現状の事業は維持しつつ、台湾有事が起こることを想定し、それに対しての準備を進めることが重要といえます。従業員の安全確保、危機対応の体制整備、そしてBCPを事業戦略レベルで検討し、定期的に訓練を行うことで、有事に対応することができるようになります。

このような活動は台湾有事だけでなく、その他の環境変化に対しても、会社のレジリエンスを強化することに繋がります。来る有事に対し、「何をしたら良いか分からない」ではなく、「今すぐにできること」から、一歩ずつ取り組んでいくことが強く望まれます。

注) 数字の合計はパーセンテージの端数処理のために100%にならない場合があります。

調査概要:台湾有事の対応状況調査

調査対象者  : 自社のリスク・BCP関連業務に携わっている方
サンプル数  : 1,000名
調査方法   : ウェブアンケート
調査期間   : 2023年2月22日~2月26日
調査結果の詳細: https://go.newton-consulting.co.jp/bcm_20230705/

ニュートン・コンサルティング株式会社 概要

社名  : ニュートン・コンサルティング株式会社
所在地 : 東京都千代田区麹町1-7 相互半蔵門ビルディング5F
設立  : 2006年11月13日
資本金 : 30,000,000円(2022年12月末時点)
代表者 : 代表取締役社長 副島 一也
事業内容: リスクマネジメントに関わるコンサルティング

サポート実績

内閣府、内閣サイバーセキュリティセンター、経済産業省、一般社団法人全国銀行協会、東京ガス株式会社、三菱商事株式会社、積水化学工業株式会社、武田薬品工業株式会社、ヤフー株式会社、デル・テクノロジーズ株式会社、他、約1,900社の支援実績を有する

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