【部下への対応に悩む人必見!】リーダーが憶えておきたいフィードバックの方法
この春の人事異動で、はじめて部下を抱えた方や、新しくマネジメントやリーダーの仕事にあたることになった方もいるのではないでしょうか。
部下本人やチーム、会社のためには、部下の悪い点や間違えている点などを相手に伝える必要があります。
しかし、伝え方を間違えると部下の行動や仕事ぶりが改善されるどころか、悪化してしまう恐れもあります。
そこで今回、コロンビア大学の博士号を取得している箱田賢亮氏の著書『プロフェッショナルリーダーの教科書』http://www.asa21.com/book/b577233.html、「フィードバック方法」をご紹介します。からリーダーが知っておくべき
※以下、本文より抜粋
部下のエンゲージメントを引き出すのがリーダーの役目
突然ですが、質問です。
あなたにとって“リーダー”とは、どういう存在でしょうか?
おそらく、次のように考える人が多いのではないでしょうか。
・先頭に立って部下を引っ張っていく存在
・部下をまとめる存在会社のために自分を犠牲にする存在
・部下を教育する存在
・部下の失敗の尻拭いをする存在 など
今までは、リーダーがこのような存在でもよかったかもしれません。
しかし、時代の変化とともに、世界的にリーダーとしてのあり方は変化してきています。
今のままのリーダーのあり方では、部下を成長させることも、部下から尊敬されることもなくなるでしょう。
私がコロンビア大学で学んだことを実践し、アメリカの高校や大学において生徒や部下の教育で活用した方法をもとに、プロフェッショナルリーダーの役割とは何かを考え続けました。
そこで行きついた答えは、「部下のエンゲージメントを引き出す」ことです。
エンゲージメントとは、アメリカの学校や企業などでもよく使われている表現です。
エンゲージメントを掘り下げていくと、「共感して、自主的に行動する」という意味になります。
エンゲージしている人材は「自主的に動ける部下」であり、多くのリーダーが必要としている人材ではないでしょうか?
会社や学校などの組織において、個々人は組織の一部となり、一緒に仕事や勉強をすることになります。
リーダーが部下のエンゲージメントを引き出すリーダーシップ、いわゆるエンゲージメントリーダーシップを発揮することで、ただ会社に勤めるのではなく、1人ひとりがエンゲージし、組織にとって重要かつ不可欠な存在になることが大切なのです。
では一体、部下のエンゲージメントを引き出すために、リーダーはどうすればいいのでしょうか?
2つのフィードバック方法
フィードバックとは、部下に業績(行動)に対する評価(情報)を与えることであり、その後の部下の行動に影響します。
部下に業績や結果などをフィードバックする際に重要なのは、「フィードバックとは、部下の間違った行動を注意することではなく、今後の行動を良くするために当てる評価」ということです。
部下のエンゲージメントを向上させるフィードバックは、基本的に次の2種類があります。
・Positive Feedback(ポジティブ・フィードバック)
・Constructive Feedback(コンストラクティブ・フィードバック)
ポジティブ・フィードバックとは、部下がしている正しい行動や仕事を褒め、強調することで、部下をエンゲージさせる方法です。
リーダーが、正しいことを「正しい」「よくやっている」としっかり強調することで、部下の自信ややる気へと繫がっていきます。
一方、コンストラクティブ・フィードバックとは、部下がしている間違った行動や仕事を肯定的に指摘し、正しい方向に導く方法です。
つまり、成長に繫がるフィードバックとも言えます。
部下の間違った行動や効率的でない仕事などを修正するには、リーダーがしっかりと正しい方法を示してあげることが重要です。
コンストラクティブ・フィードバックは、まず相手の行動を肯定的に指摘してあげることにあります。
なぜなら、失敗したいと思って仕事をしている人はいないからです。
みんな、自分なりに考えて、正しいと思って仕事をしています。
そのため、部下の行動を肯定的に指摘し、より良い方法を示してあげることが重要です。
2種類のフィードバックの使い方
例えば、部下が「1ヶ月で新商品を100件受注する」という目標を達成できなかった時、リーダーはどのようなフィードバックをすれば良いでしょうか?
「目標を達成できなかったね。80件の受注だったけれど、まあ頑張ったね」と言ってしまうと、部下のエンゲージメントを妨げてしまいます。
なぜなら、目標を達成できなかったことを部下自身が一番分かっているので、わざわざネガティブなことを伝えてしまうと、逆効果になってしまうからです。
相手の行動を否定するNegative Feedback(ネガティブ・フィードバック)は、リーダーには絶対的に不要なのです。
この場合、まずは部下のできたところや良かったところをフィードバックします。
部下が受注を取るために新商品をアピールする資料を作成したものの、目標の100件には到達できなかったのなら、「この資料はすごいね。まとめるの大変じゃなかった?」とできている点を褒めます。
そして、「資料はお客さんに渡せた?」などと会話を重ね、どこに問題があったのかを探っていきます。
部下が「いえ、お客さんにはなかなか渡せなくて……」など問題点を提示したら、コンストラクティブ・フィードバックを使って、「こんな素敵な資料なのにもったいない!どうやって渡そうとしていたの?」などと肯定的な反応をしながら、問題点を修正していきます。
他にも、部下が資料を作成する際、効率の悪い方法をしていました。
この時、「その方法だと効率が悪いよ」とネガティブ・フィードバックをしてしまうと、「これでいいんです」「放っておいて」などと部下の反感を買い、エンゲージメントを妨げる可能性が高くなります。
そのため、ポジティブ・フィードバックとコンストラクティブ・フィードバックを使って、「資料を作成してくれてありがとう。とても見やすいね。ここにこの式を入力すると、少し楽にデータをまとめられるよ」のように、肯定的なこととどうすればいいかを明確に示すのです。
そうすることで、部下のエンゲージメントを妨げることがなく、問題を解決するための方法を一緒に考えることができます。
部下が間違っている時こそ、リーダーは見て見ぬ振りをするのではなく、しっかりとどこがいけないのかを提示して、具体的な解決策や方法を示してあげましょう。そうすることが、部下のエンゲージメントに繫がっていきます。
ここまでフィードバックの方法をお話ししましたが、1点の禁忌があります。
それは、リーダーが「自分がこうだから」と言うことです。
人の性格や考え方がさまざまなように、仕事への取り組み方や方法も人それぞれ違います。
リーダーは、「自分がどうしてきた」ではなく、「部下ならどうすべきか」を考える必要があるのです。
そのためには、本書『プロフェッショナルリーダーの教科書』http://www.asa21.com/book/b577233.html「多重知能理論(MI)」や「VARKモデル」などを活用して、部下の知能と学習方法を分析し、それらに適した方法をアドバイスしてあげましょう。の中でも紹介している
著者プロフィール
箱田賢亮(はこだ・けんすけ)
コロンビア大学博士(教育学) 指揮者
1973年、神奈川県鎌倉市出身。2000年、エルズワース高校教師に就任後、人気教師となる。教師を続けながらコロンビア大学博士課程に進学し、教育学の博士号を取得。2003年、29歳でカンザスウェズリアン大学に最年少教授として就任。2004年、100人以上の応募者の中からサライナ交響楽団の音楽監督兼常任指揮者として選ばれる。経営、マネジメントにも関わり、15年間で楽団のコンサート数を2倍、集客を3倍、年間予算を5倍にした。2008年、同大学で学部長に任命されると、1年で生徒数を7倍に増やした。2019年、日本へ帰国後、インサイトラーニング株式会社社長就任。アメリカでの経験をもとにプレゼンテーション・ネゴシエーション・時間管理など、英語でのコミュニケーションに関する専門家として、企業人の教育研修に専念。また、コロンビア大学流"Students-Centered"の教育学、リーダーシップの専門家として、経営者から新入社員を対象としたセミナーや講演活動を行う。
書籍情報
タイトル:プロフェッショナルリーダーの教科書
著者:箱田賢亮
ページ数:232ページ
価格:1,650円(10%税込)
発行日:2021年5月20日
ISBN:978-4-86667-281-6
http://www.asa21.com/book/b577233.html
amazon:https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4866672811/asapublcoltd-22/
楽天:https://books.rakuten.co.jp/rb/16675308/?l-id=search-c-item-text-01
目次
Chapter1 リーダーの仕事は「教える」ことではない
Chapter2 ”Engagement”とは?
Chapter3 パーソンセンタード下におけるリーダーの仕事
Chapter4 部下のエンゲージメントを高めるクリティカル・シンキング
Chapter5 部下のエンゲージメントを引き出す評価方法
Chapter6 プロフェッショナルリーダーのあり方~部下のタイプ別対応法~