マイナス99℃までの温度測定を実現! 放射温度計「IT-545」シリーズのオプション機能を開発 ~超低温域の測定を可能とし、Withコロナ時代の物流を支える~
株式会社堀場製作所(本社:京都市南区吉祥院宮の東町2、代表取締役社長:足立 正之、以下 当社)は、放射温度計「IT-545」シリーズにおいて、測定範囲をマイナス99℃まで拡張できるオプション機能を開発し、2022年4月に本機能の提供開始を予定しています。
当社の放射温度計は、センサーを用いて測定対象物が放出する赤外線を検出し、非接触で/離れた場所の/移動物の温度を測定できる高い汎用性を備えた製品です。コンパクトなハンディタイプで持ち運びのしやすい「IT-545」シリーズは、自動車や電子部品、家電などの生産現場から、飛行機の機内食、日本酒製造の温度管理に至るまで多種多様なシーンで活躍しています。
今回開発した新たなオプション機能は、昨今物流業界でニーズが高まっているマイナス50℃以下の温度測定ニーズに応え、測定範囲をマイナス99℃の超低温領域まで拡張するものです。ワクチンや細胞、検体、試薬類の保管や輸送時の温度測定の他、マグロやカツオなど超低温で冷凍した物資の長期保管時の温度測定を、迅速・高精度・衛生的に行います。
本製品の投入を通じて、Withコロナ社会に求められるコールドチェーン※1の確立に貢献するとともに、CO2などを原料とするドライアイスを使用しない保管・輸送方法の導入にも寄与することで環境負荷低減の促進へとつなげ、新時代の物流を支えます。
※1 低温管理が必要な物資を適切な温度で安全に保管・輸送するシステム
超低温域の温度測定により期待される効果
新型コロナウイルスワクチン、細胞、検体、試薬類
[Withコロナ社会におけるコールドチェーン確立への貢献]
・高品質、安定的な製品供給
・配送エリアの拡大
[環境負荷低減の促進]
・ドライアイスの代替品(超低温で冷却した保冷材など)を用いた保管・輸送方法の導入
鮮魚(マグロ、カツオなど)
[Withコロナ社会におけるコールドチェーン確立への貢献]
・輸送の遅延や在庫の長期保管に柔軟に対応
[環境負荷低減の促進]
・ドライアイスの代替品(超低温で冷却した保冷材など)を用いた保管・輸送方法の導入
製品の特長
・-99℃~505℃までの測定レンジ:超低温領域から高温域まで1台で幅広い温度測定が可能
・0.8秒の高速応答性:迅速な温度測定で作業者の負担を最小化
・異常検知機能 :設定した温度を超えた際にブザー音でお知らせし、品質管理を徹底
マイナス70℃でのサンプル実測例
ディープフリーザー(超低温冷凍庫)でマイナス70℃(超低温域での医薬品の保管・輸送に求められる温度領域)となるまで冷却したサンプルを用いて実測。常温に馴染むまでの間、サンプルに貼り付けた接触式の温度計と「IT-545」で測定した結果を比較しています。今回測定範囲を拡大した-70~50℃の領域においても、測定値の差は最大で3.6℃と非常に小さい結果が得られ、同領域で求められる精度の高さが証明されています。
低温測定オプションの仕様
測定範囲 :-99℃~505℃
測定誤差(目標):±7℃@-99℃
・-99℃~-50℃の範囲では、放射温度計校正用の標準熱源となる黒体炉※2が存在しないためトレーサビリティ証明書※3は発行できません。接触式温度計の校正機を用いたHORIBA独自の方式にて測定値を保証いたします。
※2 全ての波長を吸収する「黒体」を模した炉の中で放射温度計の校正を行う装置
※3 製品又は(及び)製品に使用した検査設備機器と国家標準とのつながりを証明する文書