『建築家・永田昌民の軌跡 居心地のよさを追い求めて』

心地よさを追求した設計職人が手掛けた住宅の魅力に迫る

2020-09-03 08:30

時代を超えて静かに感動を与え続ける力をもつ、故・永田昌民(ながた・まさひと)さんの住宅の魅力を、様々な角度から読み解く一冊です。生涯164もの住宅を手掛け、今なおその住宅の魅力と人となりが語り継がれる建築家・永田昌民さん。あまり多くを語らなかった永田さんが設計した住宅の魅力はどこにあるのか、「居心地のよい家」を追求し続けた永田さんが設計をするうえで何を考え、どう表し、どう伝えていったのか――。

永田さんが設計した住宅の実例紹介を、「プロ(建築家/専門家)の視点」「施工者(工務店)の視点」「施主(すまい手)」のそれぞれの視点で解説しています。また、手記やセミナー記録などに残された永田語録、自筆のイラスト、建築家対談などから、建築家・永田昌民の軌跡を追います。

「一見そっけなく、でもその場所への確かな着地感を持つその佇まいは、旅の各地で接した家の素形や家並みの風景から感得し、自身の創作へ転化させていったものとも言えよう。その家々は風景に突出せず、静かに建っている」益子義弘(建築家)

「気持ちいい時に自然と生まれる鼻歌。それを唱うように建築を設計しているような気がする」堀部安嗣(建築家)

「家をつくることがそのまま町をつくることに直結する。それも特殊な住宅の姿ではなくて、ごく当たり前の住宅の姿として」趙海光(建築家)

「人間と外界を取り結び、世界を秩序する、神秘的な住宅」倉方俊輔(建築史家)

「確かに言えるのは、『住む人の心に、大切なものを残している』ということである」三澤文子(建築家)

「建築はあくまで気候風土に立脚し、土着的で環境共生的に。日々の生活や感性は常に今日的に」横内敏人(建築家)

「家づくりは『庭づくりのはじまり』であり、その愉しみは永く住まい手のものである」田瀬理夫(造園家)

「住む人を選ばない家。凡庸とは違う、『普通』とは普遍に通じるという意味」―堀部安嗣×横内敏人 対談より―

「『大きな暮らしができる小さな家』――必要なものが揃っていれば家は小さくてよい、という思いは確として永田の中にあったに違いない」永田佑子

[Contents]

はじめに/益子義弘

1章 居心地のよい住まい
「北鎌倉の家」南北、2つの庭をもつ住まい/堀部安嗣
施主、施工者に聞く―安池建設工業
「山王の家」町につながる小住宅/趙海光
施主、施工者に聞く―幹建設
「所沢の家」屋上菜園をもつ都市住宅/倉方俊輔
施主、施工者に聞く―幹建設
「奈良の家」勾配天井のある住まい/三澤文子
施主、施工者に聞く―出口工務店
「安曇野の家」田園を望む、スキップフロアの住まい/横内敏人
施主、施工者に聞く―小澤建築工房
「知多の家」庭と一体化する郊外の住まい/田瀬理夫
施主、施工者に聞く―阿部建設

2章 永田語録から読み解く
永田マインド/庭/建具/階段/キッチン/浴室・トイレ/照明/OMソーラー/寸法・図面

3章 自邸「下里の家」から読み解く
対談 堀部安嗣×横内敏人 住宅設計は永遠の微調整
2つの家に住んで/永田佑子
施工者に聞く―相羽建設

4章 永田昌民の手と目

おわりに/小池一三

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