【コドモン×セーブ・ザ・チルドレン共同調査】 子どもの権利に関する保育・教育現場向けアンケート 3割弱が「内容までよく知っている」 「労働環境の改善」などを求める声も9割近く

2023-11-22 10:00
コドモン×セーブ・ザ・チルドレン共同調査 子どもの権利に関する保育・教育現場向けアンケート

株式会社コドモンは、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(以下「セーブ・ザ・チルドレン」)との共同調査として、保育・教育施設向けICTサービス「CoDMON」をご利用の保育・教育施設を対象に、子どもの権利に関するアンケートを実施いたしましたので、結果をお知らせいたします。また今回の調査は2022年3月にセーブ・ザ・チルドレンが実施した「学校生活における子どもの権利に関するアンケート」調査項目を参考としており、同調査の結果も参考値として記載しています(※)。

【アンケート概要】

・調査対象:CoDMON(コドモン)を利用する全国の保育・教育施設
・調査方法:メール案内、WEB回答方式
・調査期間 : 2023年9月5日(火) - 2023年9月24日(日)
・回答数: 272件
・回答施設属性: 保育施設84.6%、学童6.3%、幼稚園1.5%、その他7.7%
・調査主体:株式会社コドモン、セーブ・ザ・チルドレン

※セーブ・ザ・チルドレン
「学校生活と子どもの権利に関する教員向けアンケート調査結果」2022年4月19日公表
https://www.savechildren.or.jp/scjcms/sc_activity.php?d=3897
2022年実施の教員向けアンケートの調査対象は、小中高等学校等の教員(有効回答数486人)。

【アンケート結果サマリー】

*子どもの権利について「内容までよく知っている」の回答者は27.9%、「内容について少し知っている」の回答者は58.5%。

*63.6%が「子どもと接するなかで子どもの権利を尊重している」と回答し、34.6%が「ある程度尊重している」と回答。

*子どもの権利を尊重するために心がけていることとして、90.1%の職員が「性別・障害・人種・生まれや文化(ルーツ)・経済状況などにより差別せず子どもと接している」と回答。続いて、80%以上の職員が「子どもが自分の力を最大限に伸ばせるよう働きかけている」「子どもが休んだり遊んだりする時間を確保・考慮している」「子どもの最善の利益は何かを考えて、様々な判断をしている」「心を傷つける言葉を使う、身体を叩くなどせず、子どもにとって分かりやすい表現で物事を伝えている」と回答。
一方で「職員・教員同士でワークショップを行うなど、子どもの権利の理解を高める取り組みをしている」は50.4%と最も低い結果に。

*43.4%が直近1年間で子どもの権利の尊重・推進のために特別な取り組みを実施したと回答。自由記述では、主に「職員間での取り組み」「子どもの意見をきく取り組み」「保護者に対しての取り組み」の3つに分かれる結果に。

*子どもの権利に関する取り組みを行うにあたっての難しさとして、40.1%が「職員が多忙で子どもの権利についての授業/保育を実施する準備ができない」と回答し、25.7%が「適切な教材がない」、23.9%が「子どもの権利を教える具体的な方法がわからない」と回答。

*子どもの権利の尊重・推進のため国や自治体に求めたいこととして、86.0%が「ゆとりのある保育・教育環境をつくるため、労働環境の改善や人手不足の解消を行うこと」、71.7%が「子どもの権利について保育士・教員の養成課程や研修に盛り込むなど、子どもに関わる有資格者・職員等を対象とした教育を充実させること」、71.3%が「子どもの権利について大人にも伝える機会を増やすなど、保護者等をはじめ大人・一般市民を対象とした教育・啓発機会を充実させること」と回答。

【アンケート結果】

Q1 子どもの権利を知っていますか?

Q子どもの権利を知っていますか?
Q子どもの権利を知っていますか?

子どもの権利について「内容までよく知っている」の回答者は27.9%、「内容について少し知っている」の回答者は58.5%という結果でした。「名前だけ知っている」「全く知らない」の回答は13.6%と、9割弱の回答者は子どもの権利について一定程度内容を知っているとの結果となりました。

子どもの権利を知っていますか? 勤務年数ごとの回答結果

「内容までよく知っている」と回答した人のうち、勤務経験が5年未満の職員は12.2%、25年以上勤務の職員は32.4%という結果となりました。保育・教育施設で働く中で、現場での経験などを通して子どもの権利についての理解が促進されている状況がうかがえます。

Q2 子どもの権利としてふさわしい内容であると思うものをすべて選んでください(複数選択可)

Q子どもの権利としてふさわしい内容であると思うものをすべて選んでください(複数選択可)
Q子どもの権利としてふさわしい内容であると思うものをすべて選んでください(複数選択可)

選択肢のうち次の2点は子どもの権利に含まれない内容ですが選択した回答者もいました。
「子どもは義務や責任を果たすことで権利を行使することができる」11.4%が選択。「子どもは成長途上のため、子どもに関する事はいかなる場合も大人が子どもの代わりに決めるよう推奨される」7.7%が選択。
また子どもの権利に含まれるが選択者が90%以下となった回答は「子どもは遊んだり、休んだりする権利を持っている」「子どもは自分と関わりあるすべての事について意見を表明でき、その意見は正当に重視される」の2点でした。子どもの権利について「知っている」と答えた回答者の間でも、具体的な理解については差異がある可能性もあることから、保育・教育現場だけでなく、社会全体で子どもの権利の理解を促進していく必要性があることがわかります。

Q3 あなたは、子どもと接するなかで、子どもの権利を尊重していますか?

Qあなたは、子どもと接するなかで子どもの権利を尊重していますか?
Qあなたは、子どもと接するなかで子どもの権利を尊重していますか?

63.6%が「子どもの権利を尊重している」と回答し、34.6%が「ある程度尊重している」と回答しました。計98.2%が「尊重している/ある程度尊重している」と回答する結果となりました。

Q4 普段、子どもと接するなかで、どのようなことを心がけているか教えてください(複数選択可)

Q普段、子どもと接するなかで、どのようなことを心がけているか教えてください(複数選択可)
Q普段、子どもと接するなかで、どのようなことを心がけているか教えてください(複数選択可)

心がけていることとして、90.1%の職員が「性別・障害・人種・生まれや文化(ルーツ)・経済状況などにより差別せず子どもと接している」と回答。続いて、80%以上の職員が「子どもが自分の力を最大限に伸ばせるよう働きかけている」「子どもが休んだり遊んだりする時間を確保・考慮している」「子どもの最善の利益は何かを考えて、様々な判断をしている」「心を傷つける言葉を使う、身体を叩くなどせず、子どもにとって分かりやすい表現で物事を伝えている」を選択しました。
一方で「職員・教員同士でワークショップを行うなど、子どもの権利の理解を高める取り組みをしている」は50.4%と最も低い結果となり、職員・教員同士で学ぶ機会をつくることについては、取り組み状況も様々であることが示唆されます。

Q5 直近1年間で、子どもの権利の尊重・推進のために、特別な取り組みを実施しましたか?

(例:自治体と協力して権利を尊重するための取り組みをした、子どもたちの意見を聞いて施設の設備やルールを見直した、国籍や性別による差別をなくすための学ぶ機会をつくった、職員・教員同士で子どもの権利について考えるワークショップ等を行った、など)

直近1年間で、子どもの権利の尊重・推進のために、特別な取り組みを実施しましたか?
Q直近1年間で、子どもの権利の尊重・推進のために、特別な取り組みを実施しましたか?

43.4%が直近1年間で子どもの権利の尊重・推進のために特別な取り組みを実施したと回答しました。具体的な取り組み内容については、自由記述として、大きく分けて以下の3つの回答が得られました。

①職員間での取り組み(一部抜粋)

・職員同士で子どもの権利について考えるワークショップを行った
・職員と子どもの権利条約について読み合わせをして話し合いをした
・合理的配慮などの法律と共に、人権、虐待について園内研修をしている
・園内研修のテーマとして取り扱い、キャリアアップ研修受講者にリーダーを務めてもらい研修を行った。一度でなく、今後も継続的に行っていきたい
・子どもの人権擁護に関わるチェックリストを使用し、気付きについてグループトークを実施した
・自己チェックシートで自身の保育を振り返り、職員とそのことについて意見し合う
・子どもの権利条約に関する絵本を買い、職員間で情報共有を行なった
・職員勉強会で子どもの敬称について、「ちゃん」「くん」より「さん」で呼ぶなど、性別を問わない呼び方などを検討した
・保育士同士も園内研修で、自分の意見を持ち、発言し、否定されることなくお互いの意見を受け止める機会を定期的に持っている

②子どもの意見をきく取り組み(一部抜粋)

・その時の子どもの興味を活動に反映させたり、意見を取り入れながら保育を行っている
・学童保育の活動時刻を子どもたちと話し合いを重ねながら変更した
・子どものアイデアを取り入れて行事を企画を実施した
・子どもが親しんでいることを運動会の競技のテーマにしたり曲を選んでいる
・子どもの意見を聞いて、環境整備に反映させている
・給食について子どもに苦手なものの食べる量を決めてもらうようにした
・こども会議を実施し、子どもの意見を聞くように努めた
・遊びの際のルールや決め事は、子どもたちの話し合いにより決めている

③保護者に対しての取り組み(一部抜粋)

・園だより等で子どもの権利について、保護者にも分かりやすく伝えるようにしている
・家庭との面談を実施したり、専門機関と連携したりしている
・保護者アプリの中の資料として、こどもの権利の絵本を紹介している
・子どもの権利条約を保護者さんにも説明会で伝えている

Q6 子どもの権利に関する取り組みを行うにあたって、どのような難しさを感じていますか?(複数選択可)

Q子どもの権利に関する取り組みを行うにあたって、どのような難しさを感じていますか?(複数選択可)
Q子どもの権利に関する取り組みを行うにあたって、どのような難しさを感じていますか?(複数選択可)

子どもの権利に関する取り組みを行うにあたっての難しさとして、40.1%が「職員が多忙で子どもの権利についての授業/保育を実施する準備ができない」と回答し、保育・教育現場の職員の労働環境を改善する必要性があることがわかります。さらに、25.7%が「適切な教材がない」、23.9%が「子どもの権利を教える具体的な方法がわからない」と回答。どのように子どもに教えるかも取り組みの難しさの一つであることがわかります。
また「子どもに関心を持ってもらうのが難しい」との回答が12.5%となったことについては、子どもの権利について授業で取り扱う上で、子どもの関心の向上という側面が想起されやすいと考えられますが、保育では保育所保育士指針において「子ども主体の保育」が謳われており、子ども主体の保育を実践することの親和性から「子どもに関心を持ってもらうのが難しい」と感じる割合が少ない傾向にあることも考えられます。

その他の意見として、自由記述では以下のような回答も得られました。(一部抜粋)
・子どもの権利に関する考え方が人によりグラデーションがある。頭で理解しているつもりでも場面により実際に出る行動は人により違いがある
・子どもの権利は守ってあげたいが、集団生活で子どもに対する職員数が少ないなかで、子どもの権利を100%守ってあげることはできていない
・自園以外の園のスタッフの、疑問に感じる言動をどう注意すべきか方法がない
・人権を侵害しているのではないかと思う具体的な場面に出会った時に、直接その場面での振り返りがしにくい
・関心の低い家庭の興味を持ってもらうためにどうしたらいいか悩んでいる
・まず職員全員で子どもの権利について学ぶ必要があるが、全員揃って研修する時間と予算がとりにくい

Q7 子どもの権利の尊重・推進のために、国や自治体に求めたいことをすべて選んでください(複数選択可)

Q子どもの権利の尊重・推進のために、国や自治体に求めたいことをすべて選んでください(複数選択可)
Q子どもの権利の尊重・推進のために、国や自治体に求めたいことをすべて選んでください(複数選択可)

子どもの権利の尊重・推進のため国や自治体に求めたいこととして、86.0%が「ゆとりのある保育・教育環境をつくるため、労働環境の改善や人手不足の解消を行うこと」、71.7%が「子どもの権利について保育士・教員の養成課程や研修に盛り込むなど、子どもに関わる有資格者・職員等を対象とした教育を充実させること」、71.3%が「子どもの権利について大人にも伝える機会を増やすなど、保護者等をはじめ大人・一般市民を対象とした教育・啓発機会を充実させること」と回答しました。
Q6と同様、保育・教育現場における労働環境の改善は早急に対応が必要であることがわかります。また保育・教育現場だけでなく、すべての大人に対して子どもの権利について教育・啓発する機会を充実させる必要があります。

その他の意見として以下のような回答も挙げられました。(一部抜粋)
・子ども自身が国や自治体などへの声を伝える場とするとハードルが高いと思う。それよりもむしろ、各小学校や保育園など第三者機関の窓口が相談できる場があったほうがより子ども目線、動線にあっていると思う。子どもの声を聞くという専門機関の不足があると思う
・老若男女問わず、常日頃から人権について学ぶ機会を設ける
・様々な世代の人と子どもが接する機会を増やすことが、すべてを包括する施策となると思います
・草の根的な活動をしている団体の支援等、行政だけでは手が届いていない人への支援を充実させることで、すべての人の人権の底上げを行うこと
・まずは政治家が子どもの権利について理解する必要がある
・本当に子どもの人権を考えるなら、給食費やせめて高校までは授業料を無料にするなど、確実に子どもが主体として平等に享受できる施策をしてほしい
・保育現場で、子どもたちの人権尊重を重視し質の高い保育を行うためには、まずは配置基準を見直していただきたい。実際に現場で働く保育者の声をより多く集めて、現代の子どもやその保護者の姿を受け止めてほしい。いかに大変な職業で重要な役割を担っているかを理解できれば、配置基準の見直しは必然と思うはず
・学童で横の関係をつくって、政策提言が必要

Q8 施設種別について教えてください

Q施設種別について教えてください
Q施設種別について教えてください

回答者の属性として全体の84.6%が保育施設の職員でした(「私立認可保育園」36.4%、「認定こども園」15.8%、「企業主導型保育」9.9%、「小規模認可園」9.6%、「公立保育園」8.5%、「認証・認定保育園」2.9%、「認可外保育園」1.5%)。

保育施設の種別について
・私立認可保育園: 社会福祉法人や民間企業などが運営する保育園
・認定こども園: 幼稚園と保育園の両方の機能を持つ施設
・企業主導型保育: 企業に勤める社員の子どもを預かる施設
・小規模認可園: 定員6~19名の少人数制の施設
・公立保育園: 市区町村の自治体が運営する保育園
・認可外保育園: 国が定めた設置基準を満たしていないため認可を受けていない保育園
・認証・認定保育園: 認可外保育園の一種で、一定の基準を満たした保育施設を市区町村や都道府県が認証・認定して支援している施設

Q9 回答者の役職を教えてください。

Q回答者の役職を教えてください。
Q回答者の役職を教えてください。

回答者の役職は49.6%が「施設責任者(施設長・園長)」であり、次いで職員が21%という結果に。

Q10 保育・教育施設において何年の勤務経験がありますか?

Q保育・教育施設において何年の勤務経験がありますか?
Q保育・教育施設において何年の勤務経験がありますか?

回答者の保育・教育施設での勤務経験は、25年以上が26.1%と最多に。次いで15~25年未満が19.9%、10~15年未満が18.4%、5~10年未満が17.6%、5年未満が18.0%。

【データの引用について】
本調査結果データを一部引用・二次利用等される場合は、「株式会社コドモン/公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン調べ」と表記の上、リンクのご協力をお願いいたします。
リンク先:https://www.codmon.co.jp/newsletter/9088/ 
その他ご不明点や調査に関する詳細は、下記よりお問い合わせください。

【セーブ・ザ・チルドレンについて】
セーブ・ザ・チルドレンは、すべての子どもにとって、生きる、育つ、守られる、参加する、「子どもの権利」が実現されている世界を目指して活動する子ども支援の国際 NGO です。1919 年に英国で創設され、現在、日本を含む 30 の国と地域の独立したメンバーが連携し、約 120 ヶ国で子ども支援活動を展開しています。 https://www.savechildren.or.jp/

【株式会社コドモン 会社概要】
◆所在地:東京都港区三田3丁目13−16 三田43MTビル 3F
◆資本金:68,250,000円
◆代表者:代表取締役 小池義則
◆WEB:https://www.codmon.co.jp/
◆事業内容:子どもを取り巻く環境をより良くするための事業を手掛け、働く人にとっても働きやすい組織づくりを体現。子育てに優しい社会に変わるよう多角的に環境整備を行い、社会に貢献する。
◎こども施設職員の労働環境を整え、保育・教育の質向上を支える子育てインフラとしての保育ICTシステム「コドモン」の開発・提供。2021年度のサービス継続率は99.8%。2023年10月末時点で、全国約16,000施設、職員約33万人が利用。全国約448の自治体で導入および実証実験の導入が決定。(※)
◎保育士採用を支援するウェブサービス「ホイシル(https://www.hoicil.com/)」の提供。こども施設が簡単に施設の魅力を発信でき、保育学生や再就職希望者が採用情報にアクセスしやすいような情報提供を行う。
その他、保育園向け写真ネット販売「コドモンプリント(https://www.codmon.com/print/)」こども施設を対象とした専門のECサイト「コドモンストア(https://store.codmon.com/)」、現場で働く保育者の資質や専門性向上を目的としたオンライン研修サービス「コドモンカレッジ(https://college.codmon.com/)」、こども施設職員への福利厚生サービス「せんせいプライム」などを展開。
※(2023年1月株式会社東京商工リサーチ調べ)

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