世界初のMSC認証真珠貝漁業が誕生

オーストラリア真珠生産者協会(PPA)は、この度、真珠貝漁業としては世界初となるMSC認証を取得し、持続可能な漁業を推進する上で画期的な成果を上げることに成功しました。18ヶ月に及ぶ認証審査を行ったのは独立第三者認証機関のSCS グローバル・サービスです。

PPAの執行役員、アーロン・アーヴィング氏は次のように述べました。「オーストラリアでは、半世紀以上前から真珠貝の生産が行われています。その間私たちが常に中心に据えていたのが、海洋管理と持続可能性です。この度、MSC認証を取得したことで、私たちの持続可能性への取り組みを実証できるようになりました。科学的根拠に則った漁業管理の規準として世界で最も信頼され認知されているMSC規準の審査を受けて、認証を取得することができたのです。」

西オーストラリア州、エイティー・マイル・ビーチ沖を主な拠点とするオーストラリア白蝶貝真珠漁業は、150年の歴史を誇る、真珠生産を目的とした世界で唯一の天然真珠貝漁業です。西オーストラリア州政府は、州の全ての漁業が、独立第三者によるMSC規準の審査を受け、持続可能な漁業として認証されるための財政支援を行っており、今回のPPAもそのプロジェクトの一環でした。

MSCオセアニア地域担当プログラム・ディレクターのアン・ガブリエルは今回の快挙について次のようにコメントしています。「西オーストラリアは、世界初の快挙を成し遂げることに成功しました。MSCにとっても前例のない認証真珠貝漁業の誕生です。地域の主要市場に出荷される真珠貝のむき身だけにとどまらず、真珠層および真珠についてもMSCの青いエコラベルが表示されるようになることを期待しています。」

真珠貝漁業は、西オーストラリア州にとって2番目に商業価値の高い漁業というだけでなく、オーストラリア経済全体にとっても重要です。

WAFIC、西オーストラリア漁業協議会(Western Australia Fishing Industry Council)のMSCプロジェクト担当のガイ・レイランド氏は、加えて次のように述べました。「今回認証された真珠貝漁業は、西オーストラリア州経済にとって重要な漁業であり、オーストラリアだけでなく、日本や香港、アメリカ及びヨーロッパにも製品を出荷しています。アジア市場においてMSCの信頼性、厳格さ、トレーサビリティは大変高く評価されていますから、さっそく真珠貝のむき身にMSC『海のエコラベル』を表示することにしました。」

これを受け、MSCオセアニアのガブリエルは、「現在消費者の間では、衣類、食品、宝飾品に限らず、好きなブランドに対して、持続可能な製品であるという認証を求める動きが高まってきています。生産者は、第三者によるMSC認証を取得することによって、その持続可能性を実証することができます。オーストラリアの漁業は、その先見の明のおかげで、国際的に認められた、科学的根拠に則った市場ベースのメカニズムがもたらす価値を早期に見出し、高い信頼性と評価を伴ったソーシャル・ライセンスを得ることに成功したのです。そしてこれにより、説明責任とトレーサビリティが求められる世界各国の市場でのシェアを伸ばしてきています。」とコメントしました。

また、「西オーストラリアの真珠貝産業の基盤は、豊かな環境や文化としても名高い北西オーストラリアのキンバリーにあるため、MSC認証の意義が一層強く感じられるものと思います。」とも述べています。

今回の真珠貝漁業の認証取得で、MSC認証漁業の数は世界で313にまで増え、世界で水揚げされる天然漁獲水産物の12%を占めるまでになりました。西オーストラリアの真珠貝を含めると、20を超える魚種がオーストラリアで認証されています。

独立した第三者認証機関による審査では、MSC規準の三原則である、資源の健全性、海洋環境への影響、漁業の管理システムに則って漁業を検証します。審査は通常12から18ヶ月間かけて行われ、透明性の高い、ステークホルダー主導型のプロセスとなっています。

MSC認証漁業は認証取得後も継続的なモニタリングと年次監査を受けることになります。また、5年ごとに再認証のための審査を受けなければなりません。2000年以降、漁業および環境保全に関する1,200を超える改善計画が、MSC認証漁業によって実施されています。

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