清里フォトアートミュージアム開館30周年記念展覧会を 3月20日(木・祝)~6月15日(日)に開催

「写真の冒険 前衛から未来へ」

清里フォトアートミュージアム(Kmopa/ケイモパ、所在地:山梨県北杜市)は、2025年3月20日(木・祝)~6月15日(日)に開館30周年記念展 前期「写真の冒険 前衛から未来へ」を開催いたします。

展覧会概要

展覧会名:
開館30周年記念展 前期「写真の冒険 前衛から未来へ」
30th Anniversary Commemorative Exhibition
Part One (March 20 [Thu., national holiday]- Jun. 15 [Sun.]): Adventures in Photography: From the Avant-Garde to the Future

会期  :2025年3月20日(木・祝)~6月15日(日)
会場  :清里フォトアートミュージアム
主催  :清里フォトアートミュージアム委員会
特別協賛:真如苑(社会貢献基金)
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日 :火曜日*4月29日(火・祝)、5月6日(火・祝)は開館
入館料 :一般800円(600円)、大学生以下無料
     *()内は20名様以上の団体料金*家族割引1,200円(2~6名様まで)

交通のご案内

車にて:中央自動車道須玉I.C.または長坂I.C.より車で20分
JR  :中央本線小淵沢駅にて小海線乗り換え 清里駅下車、車で10分

清里での30年

世界初の抽象写真からヤング・ポートフォリオ作品(YP)まで

清里フォトアートミュージアムでは、2025年3月20日(木・祝)から6月15日(日)まで、開館30周年記念展 前期「写真の冒険 前衛から未来へ」を開催いたします。

1995年の開館記念展では、若い写真家たちを刺激し、激励することを目的に日本の戦後を代表する写真家「25人の20代の写真」展からはじまりました。

30周年記念展ではそのオマージュの意味もこめて、1万点以上に及ぶKmopaコレクションのなかから「25人のU35(35歳以下)の写真」を新たな視点で厳選し、写真の原点、そしてKmopaの原点を見直す展覧会を2会期に分けて開催します。前期では写真という新しい技術や視覚を用いた「冒険」。後期(7-10月開催)では写真がそもそも発明されるきっかけともなった「肖像」をテーマにします。

写真は人間の視覚や思考を刷新する可能性を秘めています。本展では世界初の抽象写真(アルヴィン・ラングドン・コバーン「ヴォートグラフ」)から、シュルレアリスム(クラレンス・ジョン・ラフリンほか)、SF写真(内藤正敏)、コラージュ(ヴィクトル・コーエンほか)、多重露光(北野 謙ほか)、チェルノブイリ事故で放射線に被爆したフィルムで撮影された写真(小原一真)まで、写真の発明当初から行われてきたさまざまな実験的な作品を紹介します。若さあふれる写真家たちの果敢なチャレンジの軌跡をご覧ください。

ゲストキュレーター:楠本亜紀(Landschaft/インディペンデント・キュレーター、写真批評家)

展示構成

「冒険」のテーマで、Kmopaコレクションから厳選された約130点。
出品作家は開館記念展と同じく25人。1882年生まれから1994年生まれまで100年以上の隔たりがありますが、過去の巨匠も現代の新進写真家も、すべて35歳以下で制作した写真です。

  1. 抽象写真とシュルレアリスム

出品作家

アルヴィン・ラングドン・コバーン、マヌエル・アルバレス・ブラボ、クラレンス・ジョン・ラフリン

  1. 戦後の挑戦

出品作家

ジェリー・N. ユルズマン、キース・スミス、カール・トス、細江英公、今井壽惠、内藤正敏、今 道子

  1. ヤング・ポートフォリオ(YP)の作家たち

―実験的な試み、シュルレアリスム的な試み、重ねる・コラージュ的な試み―

出品作家

小林良造、クリストス・クケリス、イ・ジュンヨン、山内 悠、谷田梗歌、田口 昇、ミハエラ・スプルナー、ヴィクトル・コーエン、ピョートル・ズビエルスキ、芽尾キネ、北野 謙、井上麻由美、小原一真、チョン・ミンス、Ryu Ika

見どころ

普段は一堂に並ぶことのないような作品群

清里フォトアートミュージアム(Kmopa)の30周年記念展ということで、写真の原点、そして写真の未来につながるような展示にしたいと考えました。そうして出てきたテーマが「冒険」と「肖像」(後期)です。さらにそこにKmopaを象徴するU35(35歳以下)というくくりを設けることによって、いわゆる「写真の教科書」的な展示にはなっていません。たとえばシュルレアリスムといえば名の挙がるウジェーヌ・アジェの作品は彼の後年の作品なので取り上げられません。代わりに、写真家たちにとっても原点といえるような、写真にふれる歓びと驚きに満ちた、実験的で冒険的な作品の数々に出会うことになるでしょう。世界初の抽象写真からチェルノブイリ事故で放射線に被爆したフィルムで撮影された写真まで。「人間と機械の混成系」(多木浩二/美術評論家)である写真の可能性を、ぜひ体感ください。

世界初の抽象写真と呼ばれる「ヴォートグラフ」

アルヴィン・ラングドン・コバーン(アメリカ/イギリス、1882-1966)は、アルフレッド・スティーグリッツ周辺の前衛的な芸術家たちの影響を受け、ファイン・アートとしての写真の確立を目指すフォト・セセッション(写真分離派)の創立メンバーとなります。その後、イギリスに起こった美術や詩に関する運動で、渦巻派とも呼ばれる「ヴォーティシズム」の影響を受け、極端なパースペクティブや抽象的なかたちに強く興味を抱き、鏡やガラスを用いた世界初の抽象写真とも評される革新性の高い作品を発表しました。

アメリカン・シュルレアリスムの父

クラレンス・ジョン・ラフリン(アメリカ、1905-1985)は「アメリカン・シュルレアリスムの父」と呼ばれます。日本ではまだそれほど知られてはいませんが、Kmopaでは日本でも有数のコレクションを有しています。廃墟や南部特有の木などを通じて、その場に漂う目には見えないものの気配までを作品世界にとらえようと様々な試行錯誤を繰り返しました。

再評価が進む1950、60年代の実験的な作品

近年、前衛的な初期作品の評価がとみに高まり、作品集『Hisae Imai』(赤々舎、2022年)も出版された今井壽惠(1931-2009)。1950年代にデビューし、抽象と具象が混じり合う造形を、モノクロで実験的に表現した「白昼夢」から、国際主観主義写真展に出品したといわれる「窓―物語」、詩的で文学的な世界を構築し、高い評価を得た「オフェリアその後」シリーズまでをご覧になれます。
早稲田大学で化学を専攻した内藤正敏(1938-)は化学反応によって生まれる現象を接写し、「SF写真」と呼ばれる幻想的な作品を多数生み出しました。高分子物質(ハイポリマー)などを化学変化させ造形化した《トキドロレン》は、「時間泥棒連合」という架空の生物群を表した内藤による造語です。東京都写真美術館での個展でも、蛍光色の枠に彩られたこの作品は異彩を放ち話題になりました。

細江英公の原点 《鎌鼬》ヴィンテージプリント

本館館長を開館時よりつとめていた細江英公(1933-2024)の不朽の名作《鎌鼬》ヴィンテージプリントを展示します。1968年に開催された「とてつもなく悲劇的な喜劇、日本の舞踏家 天才〈土方巽〉主演写真劇場」(ニコンサロン)は、各界に衝撃を与えました。この作品は若かりし日の細江と土方による稀有で即興的なコラボレーションによるもので、カメラが介在したからこそ生まれた、まさに「写真劇場」と呼ばれる世界です。また、当時日本では使用されていなかったアグファのロール状印画紙を輸入して制作されたプリントは、豊富な銀と定着不足による経年変化で銀が表面に浮き出しています。細江も愛でていたという写真の圧倒的な物質性と、細江の原点ともいえる作品世界をご覧ください。

ヤング・ポートフォリオ(YP)の作家たち

Kmopaの「ヤング・ポートフォリオ」事業は若手写真家(35歳以下)の登竜門ともいえるまでに成長し、国内外から毎年多数の応募者を迎えています。初期の応募者の中には、今では一線で活躍する写真家もたくさんいます。ヤング・ポートフォリオの特徴は、ドキュメンタリー系の写真、シュルレアリスム系の写真、実験写真など、他の写真賞ではあまり見られない写真との真摯で初々しい出会いによって生まれた作品が多く含まれていることです。ここでは実験的、シュルレアリスム的、重ねる・コラージュ的な試みの作品をとりあげます。
20世紀初頭に撮影されたアンテークの写真を用いながら、子供たちの純粋な好奇心や創造性を抑圧する極端なイメージを描き、古典技法のフォトグラヴュールでプリントしたヴィクトル・コーエン(ギリシャ、1967-)、2011年3月の東日本大震災をきっかけに、iPhoneを用いて、テレビのニュースが映る液晶画面のドット上に構成されるもう一つの現実を被写体とした田口 昇(1980-)、現代社会に張り巡らされる検閲や、見る見られるの関係性を無数のレイヤーで可視化させ、ノイズに満ちた世界の様相をあぶりだすRyu Ika(中国、1994-)、原発から1キロ地点の廃墟で発見されたウクライナ製のモノクロフィルムを用いて撮影された作品で、世界報道写真賞をはじめ、国際的な賞を多数受賞した小原一真(1985-)など、写真を通じて世界との関係を思索し、可視化しようとした作家による作品のほか、氷の様々な表情をとらえた谷田梗歌(1977-)、富士山七合目にある山小屋に600日間滞在し、雲上の来光を撮り続けた山内 悠(1977-)など、カメラならではの表現もお楽しみください。

パトリ展

エントランスホール パトリ
初代館長・細江英公の写真集閲覧特設スペース
2025年3月20日(木・祝)~10月13日(月・祝)
*ただし、6月16日(月)~7月4日(金)は展示入れ替えのため休館

20世紀を代表する世界的写真家の1人であり、1995年7月の清里フォトアートミュージアム開館より初代館長を務めた細江英公。世界の若手写真家を支援する公募・選考・展示・収蔵を行う「ヤング・ポートフォリオ」(YP)を創設・牽引し、後進の育成に情熱を注ぎ続けました。本展では、細江英公館長へのオマージュとして、写真集、著作を自由に閲覧いただけるスペースをご用意いたします。

細江英公(HOSOE Eikoh)略歴

1933年山形県米沢市に生まれ、東京で育つ。1951年富士フォトコンテスト・学生の部最高賞受賞をきっかけに、写真家を目指す。1959年、東松照明、奈良原一高、川田喜久治らとともに写真家によるセルフ・エージェンシー「VIVO」を結成、戦後写真の転換期における中心的な存在となる。三島由紀夫を被写体とした「薔薇刑」(1963)や、舞踏家・土方巽を被写体とした「鎌鼬」(1969)など、特異な被写体との関係性から紡ぎ出された物語性の高い作品を次々と発表した。一方で国内外での写真教育、パブリック・コレクションの形成等、社会的な活動にも力を注いだ。東京工芸大学名誉教授。1995年より当館館長。2003年、「生涯にわたり写真芸術に多大な貢献をした写真家」として英国王立写真協会より創立150周年記念特別勲章を受賞したほか、2010年、文化功労者。2017年、写真家として初めて生前に旭日重光章を受章した。

屋外展示

Kmopa ガーデン写真の森
2025年3月20日(木・祝)~10月13日(月・祝)
*ただし、6月16日(月)~7月4日(金)は展示入れ替えのため休館

Kmopaは、八ヶ岳南麓の深い緑と澄んだ大気につつまれた、標高1,000メートル地点にあります。開館30周年を記念し、初めて写真による屋外展示「写真の森」を行います。瀬戸正人副館長が、当館の収蔵作品をはじめとする写真作品を選び、緑あふれるKmopaガーデン内の森に展示します。光と影、そして森を抜ける風のなか、写真はどのように見えてくるのでしょうか。

会期中のイベントについて

当館公式HP http://www.kmopa.com/ のニュースコーナー、または下記SNSをご覧ください。

後期の予告

開館30周年記念展 後期「写真と肖像 顔から風景へ」
会期:2025年7月5日(土)~10月13日(月・祝)

Kmopaとは

清里フォトアートミュージアム/Kiyosato Museum of Photographic Arts=Kmopa(ケイ・モパ)は1995年、写真専門の美術館として山梨県北杜市に開館。館長は写真家の細江英公、副館長は写真家の瀬戸正人。
下記3つの基本理念に沿い、本年は活動30周年を迎えます。

  1. 生命(いのち)あるものへの共感
  2. 永遠のプラチナ・プリント
  3. 若い力の写真:ヤング・ポートフォリオ
    *「ヤング・ポートフォリオ」(YP)とは、35歳以下の若手写真家を支援する世界で唯一の文化貢献活動です。
ヴィクトル・コーエン(ギリシャ、1967-) 《若さを奪われた者たちの肖像(「務めと遊び」シリーズより)》1999 (C) Viktor Koen
アルヴィン・ラングドン・コバーン(アメリカ、1882-1966)《マリウス・デ・ザヤスのヴォートグラフ》1912年頃
Ryu Ika(モンゴル、1994-) 《The Second Seeing_Back Stage2》2020 (C) Ryu Ika
内藤正敏(日本、1938-) 《トキドロレン》1962-63 (C) Masatoshi Naito
小原一真(日本、1985-) 《Exposure》2015 (C) Kazuma Obara
ミハエラ・スプルナー(チェコ、1981-) 《Carnival》2010 (C) Michaela Spurna
クラレンス・ジョン・ラフリン(アメリカ、1905-1985) 《愛の行方を誰が知る》1940 (C) The Clarence John Laughlin Archive at the Historic New Orleans Collection
細江英公(鎌鼬 作品17)1965年 (C) Eikoh Hosoe
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