オラクル、上海に新しいR&Dセンターを開設

2007年7月30日「Oracle OpenWorld Asia Pacific」中国・上海発 ―― オラクルは本日、上海に新しいR&Dセンターとなる「Oracle Asia Research and Development Center (OARDC) Shanghai」を開設したと発表しました。これはオラクルにとって、アジア・パシフィックおよび日本地域で7番目のOARDCとなります。

中国東部の主要な研究開発拠点としての役割を担う「OARDC Shanghai」は、その開発活動をさまざまな業界の企業や組織を対象としたユビキタス・コンピューティング、およびWeb 2.0技術に関する革新に注力します。このセンターはこの地域内に戦略的に配置された北京(中国)、グルガオン(インド)、ソウル(韓国)、深圳(中国)、シンガポール、および東京(日本)という6つのOARDC、と緊密に連携します。これら合計7つとなったセンターは独自のR&Dネットワークによって相互にリンクされ、グローバルな製品開発への貢献に加え、それぞれの拠点所在地と地域全体の両方の市場に向けた革新的なソリューションを作り出すことを目指します。

「上海のR&D施設の開設は、オラクルによる中国への投資にとって大きなマイルストーンを意味します。中国国内に戦略的に配置された3つのセンターにより、中国はさまざまな意味でアジア・パシフィック地域におけるオラクルのR&Dネットワークの中心になるとともに、効率、競争力、および利益性の向上を求める中国の顧客に真の革新を提供します」とオラクル・アジア・パシフィック・アンド・ジャパン Oracle Asia Research and Development Centersのバイスプレジデントであるパスカル・セロは述べています。

これらのOARDCはオラクルの13か所のソリューション・センターと緊密に連携し、この地域のための「Centers of Expertise」、「Centers of Excellence」、「Competency Centers」、また「Partner Solution Centers」として活動します。オラクルのソリューション・センターは地域からの要求をOARDCに伝えることに努め、また逆に開発センターからの新しい革新を地域に示す役割も担います。それぞれのソリューション・センターの注力分野はさまざまな業界や市場にまたがり、センターの多くはそれぞれが属する国にとって重要な意味を持つ、各国ごとのプロジェクトに専念しています。

「中国に開設された他のOARDCと同様、OARDC Shanghaiはオラクルのグローバルな製品や業界ソリューションに関するソフトウェア・エンジニアリングだけでなく、中国とアジア・パシフィック地域の顧客ニーズに合わせて新しい技術やソリューションの開発も行います」とセロは述べています。

上海のセンターで進行中の開発のひとつに、さまざまなタイプのセンサー・エッジ・サーバー、センサー、MOTEやRFIDリーダーなどの接続されたデバイスを効率的に管理することのできる、ユビキタス・コンピューティングのフレームワークの構築を目指したプロジェクトがあります。「Oracle Fusion Middleware」製品群のひとつである「Oracle Sensor Edge Server」、および「Oracle Database 11g」をベースとして構築されるこのフレームワークは、デバイスからのデータを集約し、戦略的なビジネス・データを生成し、またHTTPやWebサービスなどのプロトコルを通じてさまざまなアプリケーションにデータを送信します。

ユビキタス・コンピューティングでは現在のネットワーク技術がワイヤレス・コンピューティング、音声認識、インターネット対応機能、および人工知能と組み合わされ、接続が切断されることなく、かつ常に利用可能であるよう、デバイスの接続機能が埋め込まれた環境を作り出します。

ユビキタス・コンピューティングのフレームワークをベースに成功した導入プロジェクトのひとつに、R-Ticketと呼ばれるチケット認証システムがあります。このR-Ticketシステムは「OARDC Shanghai」、日立製作所、およびHitachi (China), Ltd.によって共同開発され、チケット認証のためのセキュリティの高いプラットフォームを提供しています。このR-Ticketは、上海の廬湾区新天地地区に7,000名を超えるゲストを招いて行われた2006年の年末パーティにおいても使用されました。7,000枚を超える公式チケットがこのシステムを通じてチェックおよび承認され、また3,000枚の偽造チケットが検出され、没収されました。このシステムは「Oracle Sensor Edge Server」上に構築され、「μ(ミュー)チップ」と呼ばれる日立のRFIDマイクロチップを使用しています。

「このチケット認証システムは、今日と明日の『スマートペーパー』を作り出すためにOARDCが関わっている作業の最初のステップに過ぎません。製品認証、食品トレーサビリティ、品目レベルの追跡など、ミューチップのさらなる用途を求めています。具体的にはデジタル・コミュニティの一環として、このような用途のテスト環境を、上海のKnowledge and Innovation Communityに構築することを計画しています。またこの技術をさらに発展させるため、この分野での協力者も求めています」とセロは述べています。

【オラクルが中国において構築するR&Dノウハウ】
北京、シンセン、および上海の「Oracle Asia Research and Development Center」は、オラクルの中国における研究開発のエンジン役となります。これらのセンターは、オラクルや戦略パートナーからの技術に基づく革新的なソリューション開発において市場をリードしています。

中国のOARDCでは、数々のプロジェクトやイニシアティブが成功裡に完了しています。現在開発中のプロジェクトには次のものがあります。

・キャリア・グレード・フレームワーク:中国シンセンにある「Oracle Carrier Grade Framework (CGF) Competency Center」では、「Oracle Database 10g」、「Oracle Fusion Middleware」、および「Oracle TimesTen In-Memory Database」をAdvancedTCA (ATCA)対応のインテル製サーバ上に組み合わせた、規格ベースのデータ管理アーキテクチャを開発しました。ATCAはキャリア・グレード(99.999%の可用性)の通信を目的とし、拡張性と信頼性を備えたプラットフォームのアーキテクチャを定めた業界規格です。「Carrier Grade Framework」を開発したことにより、このOARDCは世界中の通信ネットワークへの規格ベースの技術採用を推進し、Communications Service Provider(CSP)やNetwork Equipment Manufacturer(NEM)がより効果的に顧客からの要求に応え、また革新的なサービスの開発期間を短縮することを可能にしました。

・「Digital City Lab」:このイニシアティブは「Oracle Unified Internet Platform Architecture」、「Oracle Spatial」、「Oracle e-Government Applications」、および「Oracle iAS Wireless」などの技術をベースとした、位置ベースのサービス、地理情報システム、およびe-Governmentソリューションに注力しています。エンジニアのチームが現在北京市のITオフィスと密接に協力し、同市庁内での技術規格とするための計画作成に取り組んでいます。サンプル・プロジェクトにはe-Governmentやe-Citizenシステムとアプリケーションが含まれています。

・「Unbreakable Linux」プログラム:このグローバルなサポート・プログラムは、アジアにおいてLinuxに対する最高品質のサポートを非常に安価に提供することを目的としています。現在のプロジェクトには、「Oracle Unbreakable Linux」プログラムの顧客が高品質の製品から最高のサポートを得られるよう、サポート、維持、品質保証(QA)、および開発に注力する、「Oracle Unbreakable Linux」プログラムのバックボーンとなる「Linux Engineering」、Dawning、Huawei、およびInspurなど地域のベンダーとともにそのハードウェアを検証するための「Oracle Validated Configuration」、およびLinux上でのオラクル製品の認定やソリューション開発に注力する「Oracle on Linux」が含まれます。

・組み込みテクノロジー:OARDCは現在のオラクルの技術や開発ソリューションの枠組みを強化することにより、(通信、家電製品、および自動車を含む)組み込み業界へのオラクルの技術普及を推進しています。現在、Nokia S60プラットフォームのユーザに、スマート・フォン上で膨大なデータを管理するための高速かつ信頼性の高いデータベース管理システムを提供するため、Open CプラグインによるS60への「Berkeley DB」の移植、および顧客による埋め込みLinuxプラットフォームへの「Oracle Database Lite」の移植プロジェクトが進行中です。

・エンタープライズ・ブログ:オラクルはブログ活動をエンタープライズ・レベルのR&D環境にも導入しようとしています。大手のブログ用ソフトウェア・プロバイダとの提携により、OARDCはシングル・サインオン、アクセス制御、セキュリティが確保された検索、およびアーカイブ作成などの機能拡張を実現しました。エンタープライズ・レベルのブログ活動はOARDCにおいて社内的に展開され、またその開発者やプロジェクト・チームによっても使用されています。OARDCはWeb 2.0によるソーシャル・ネットワーキングやコラボレーションというメタファをR&D環境において最大限に活用し、完全かつ透明なコラボレーションと知識の共有を実現し、またその体験をオラクルの顧客にも伝えようとしています。

● オラクルについて
オラクルは世界最大の企業向けソフトウェア会社です。オラクルに関するより詳しい情報は、http://www.oracle.com をご覧ください。

● 商標登録
Oracleは、米国オラクル・コーポレーション及びその子会社、関連会社の米国及びその他の国における登録商標です。その他のブランドまたは製品は、それぞれを保有する各社の商標または登録商標です。

■本件に関するお問い合わせ先
日本オラクル株式会社 広報部 石川・玉川
Tel: 03-6238-8179 / Fax: 03-5213-6990 / E-mail: Junko.Ishikawa@oracle.com
プレスルーム http://www.oracle.co.jp/press/

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