「新型コロナ」テキストマイニングが浮き彫りにする 生活者の関心事 100のトピックス

~コロナ後を意識した前向きな姿勢も明らかに~

株式会社プラスアルファ・コンサルティング(東京都港区)は、「新型コロナ」を巡る情勢を受けて、SaaS型テキストマイニングサービス「見える化エンジン」を用いてTwitterに投稿されているコロナに関連するさまざま話題とそこに表出する生活者の感情を分析しました。
新型コロナを巡っては、2020年4月21日に日本赤十字社が「ウイルスの次にやってくるもの」と題した動画( https://www.youtube.com/watch?v=rbNuikVDrN4 )を公開し、感染が進むことにより社会に不安感や悲観論が蔓延していく恐ろしさに警鐘を鳴らしています。この動画が多くの話題を集めたことにも表れているように、ネットにおいて新型コロナに対するネガティブな投稿が目立っているとの指摘が広がっています。
そこで今回、「新型コロナ」に関するTwitterへの投稿について、テキストマイニングを用いて詳細に分析することにより、話題になっている具体的なトピックスを浮き彫りにするとともに、そこに表れる生活者の感情を深掘りしました。

コロナ関連のツイート件数の激増。最大のきっかけは某有名タレントの訃報

分析対象としたのは、2020年2月29日から4月30日までの約4週間におけるTwitterへの投稿のうち、「コロナ」という言葉が用いられたツイートです。リツイートやボットおよび広告などを除外することで抽出された約2,500万件の投稿をランダムに10%まで絞り込み、約250万件を対象に調査を実施しました。
はじめに投稿件数の推移を示します。北海道知事が緊急事態宣言を行った2月29日、Twitterでもコロナに関する投稿数は約58万件にまで跳ね上がりました。その後、いったん緩やかな漸減傾向が見られたが、3月末に某有名タレントの訃報が伝わると投稿数は約87万件まで爆発的に増え、翌日以降、60万件台から50万件台で推移しています。

(図1)「新型コロナ」に関するTwitter投稿の件数推移

コロナに関するツイート推移

日常生活や仕事関連、趣味や時間の使い方、コロナ後にやりたいことなど多様な話題

では、どのような話題について投稿されているのか具体的に見ました。
テキストマイニングを用いると、文中に出現する言葉から、投稿内容を話題別に分類し、その多寡や増減を定量的に把握することができます。今回、下図に示すように、一定数の投稿があるものだけでも多様な話題があることが分かりました。

(図2)「新型コロナ」に関するTwitter投稿 多様なトピックス

多様な話題の集計

圧倒的に多かったのは「仕事」関連、次いで入手困難になったマスク、トイレットペーパーなどの「生活用品」に関する話題でした。大きなテーマとしては「生活用品・買い物」「仕事・会社」「教育・学校」「日常生活」「趣味・楽しみ」「健康」「自己研鑽」など多岐に亘りました。
これらの中には「読書・漫画」「ゲーム」「音楽」など時間の使い方に関すること、また「ジム」「美容室・理容室」「旅行」など今はできないながらもコロナが終息したらやりたいことなども見られました。

「感情」軸を掛け合わせることで、前向きに生活していこうとする姿勢とその対象が明らかに

さらに、投稿に出現する「感情」を示す多様な表現から、各話題・テーマについてどのような気持ち、心情で語られているのかを見てきました。(「感情」の分類は「プルチックの感情の輪」に基づく)

(図3)「新型コロナ」に関するTwitter投稿 主なトピックスと感情の関係

トピックスと感情の関係

たとえば「ライブ・イベント」については「喜び」「期待」の感情を示す発言が一定割合あるのと同時に「恐れ」「悲しみ」の感情も多く含まれることが分かります。卒業式や新年度の始まりを楽しみにしている感情と同じくらい、「コロナの影響によって中止になるのではないか」「ウイルスを友達に移してしまったり、移されたりするリスクがあるのではないか」といった不安の感情も広がった結果と捉えられます。
このほか「食事」「誕生日」「コスメ」「ファッション」「写真」などは「喜び」「期待」の感情が占める割合が相対的に高く、自粛生活の中でも在宅や個人でできる楽しみとなっていることが分かります。特に「誕生日」はWEBシステムを利用し、通常よりも多くの参加者にお祝いを受けたという発言が、「ファッション」では家でできるおしゃれやルームウェアを新しく購入したといった発言なども見られました。
なお「感情」別に投稿件数全体の推移をみると、3月最終週を境として顕著な変化が表れていたことが分かりました。

(図4)「新型コロナ」に関するTwitter投稿 感情別投稿数の推移

感情別 投稿数の推移

3月中旬「諸外国と異なり日本での感染爆発は起こらないだろう」といったムードが漂いだしていた時期、「恐れ」の感情は相対的に減少しました。しかしながら情勢の変化とともに、翌週からは「恐れ」は再び増加傾向を見せました。さらに某有名タレントの訃報が伝わった3月の最終週には「悲しみ」の感情が突出して増えました。
一方、特筆すべき点として、それまでは概ね他の感情と似たような変遷をたどっていた「喜び」の感情が3月最終週から4月の第1週にかけて突然膨れあがっていることが挙げられます。ここを詳しく見ると「#コロナが落ち着いたらやりたい事を一つあげる見た人もやる」というハッシュタグが約5千件弱と急騰しており、その影響もあって「何を楽しみにして、今を乗り切ろうとしているか」といった前向きな投稿が増えていったことが分かります。

「今を乗り越えた先」に対する前向きな投稿 年代による傾向の違い

「見える化エンジン」では、Twitterのアカウントごとに過去の投稿内容から、性別、年代、エリア、趣味嗜好などの情報を推定したプロファイル情報を付与しています。これらを使用して、投稿者が「何を楽しみにして、今を乗り切ろうとしているか」について年代ごとの違いを見ました。

(図5)「新型コロナ」に関するTwitter投稿 推定年代別 特徴語マップ

推定した年代別のつぶやき傾向

その結果、10代は「歌う」+「カラオケ」、20代は「遠征」「焼肉」「キャンプ」、30代は「食べる」「温泉」「旅行」、40代は「子どもと」「マスクなしで」、50代は「娘」「おばあちゃん」「母」などが各世代における特徴語として抽出されました。10代、20代は比較的お金をかけずに近場で仲間と楽しみたいといった希望が見られます。一方、30代になると自由に使えるお金の事情も絡み「飲食」「旅行」が浮かび上がってきます。さらに40代以上になると「何がしたいか」に加えて「誰と」という要素が目立ち、その中心が家族であることが大きな特徴と言えます。

「楽しかったあの日」を共有して「今の難局」を乗り切り「未来」を語り合う

最後に前向きな感情に注目して、その内容を詳細に見ていきました。

(図6)「新型コロナ」に関するTwitter投稿 主なトピックス×前向きな感情

トピックス×前向きな感情

例えば「動物・ペット」には「可愛い」「癒し」という発言があり、多くの写真が掲載されているサイトや動画を紹介する内容もありました。また「写真」「SNS・ブログ」には「可愛い」「癒し」に加えて「懐かしい」といった発言が多くみられ、自身のPCやスマホから過去の写真を投稿していました。
楽しい思い出をSNS上で共有しあうことで、苦しい今を乗り切り、未来への希望をポジティブに語り合っています。そうした様子が読み取れます。

新型コロナに対して、生活者はSNSを通じて、ネガティブな感情だけでなく「この難局を乗り越えた先」にあるはずの「喜び」などの前向きな感情を発信しています。さらにSNSの「繋がる」特性を介して、ハッシュタグなどを用いてそうした感情を共有していることが分かりました。
現代人の必須ツールとなったSNSは、新型コロナという難局においても「前向き」な気持ちや将来への希望を共有する場として用いられているようです。

分析結果の詳細について

本分析結果に関するデータを下記ウェブサイトよりダウンロードいただけます。
公開先URL: https://form.pa-consul.co.jp/cre/?enq=skpg7vRLVBM%3d

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