安藤ハザマと東京大学が連携し、 ローカル5Gと衛星通信連接の実証に成功
- 山岳エリアのダム建設現場のDXを推進 -
安藤ハザマ(本社:東京都港区、代表取締役社長:国谷 一彦)と、東京大学大学院工学系研究科(所在地:東京都文京区、研究科長 加藤 泰浩、同研究科中尾研究室教授 中尾 彰宏、以下、東京大学)は、両者の共同研究契約に基づき、2023年10月19日、山岳エリアのダム建設現場において、遠隔臨場、工事関係者間の円滑なコミュニケーションなどの現場の効率的な安全管理や施工管理に、DXを推進することを目的としたローカル5Gシステムと低軌道衛星回線の連接ネットワークの実証に成功しました。
安藤ハザマでは「DXビジョン2030」を掲げており、DXを通じて描く3つの展望、「各々の生活スタイルに応じた、単身赴任や残業のない新しい働き方」、「キャリア開発プログラムとデジタルテクノロジーでスキルを速く、多く身につけ仕事の選択肢を増やせる能力の拡張」、「建設業の経験、知見をDXでパワフルに活かした新ビジネスによる成長牽引」を目指しています。山岳エリアのダム建設現場においては、多くの現場で通信環境が脆弱であることから、DX推進の基盤となる通信環境の整備が困難であるという課題があります。本実証では、必要な場所に自ら高品質な無線通信を整備することができるローカル5Gと、低軌道衛星通信によるインターネット通信を連接することで、山岳エリアのダム建設現場においてDXの基盤となる情報通信インフラを整備し、それを活用した工事作業関係者のコミュニケーション、高精細カメラを活用した現場状況確認を可能とする技術実証に成功しました。
本実験の構成は以下の通りです。
(1)ローカル5Gシステムと低軌道衛星通信の連接環境の整備と電波伝搬/通信測定
山岳エリアのダム建設現場において、ローカル5Gシステムと低軌道衛星通信の連接環境を整備し、電波伝搬や通信の送受信が可能なことを下記の測定により確認。
・測定器・ローカル5G端末を用いた電波伝搬状況の確認と、山岳エリアのダム建設現場におけるローカル5Gの電波伝搬ヒートマップの作成。
・ローカル5Gシステム内のローカル通信、および低軌道衛星通信経由でのインターネット接続における通信帯域の測定。
(2)工事関係者の円滑なコミュニケーション
山岳エリアのダム建設現場において、ローカル5Gシステムと低軌道衛星通信を連接した情報通信インフラを利用し、山岳の麓に設置された現場事務所と映像・音声双方を利用したコミュニケーションが問題なくできることを確認。
(3)4Kカメラを使用した遠隔での現場状況確認
山岳エリアのダム建設現場において、ローカル5Gシステムと低軌道衛星通信を連接した情報通信インフラを利用し、建設現場に設置した4Kカメラの映像を、インターネットを介して現場事務所で視認できることを確認。
なお、ローカル5Gシステムは東京大学中尾研究室が研究開発したものを利用しました(注1)。
AC100Vとインターネットを直結することだけで、建設現場において簡単、短時間でローカル5Gの情報通信インフラを整備できることを特徴としています。その他特徴は下記の通りです。
・小型軽量((幅)515mm×(高さ)415mm×(奥行)200mm)で設置スペースを取らず、持ち運びが可能
・消費電力が小さく(約90W)、バッテリー駆動も可能
今後は、建設現場におけるDX推進をテーマにソリューションの活用等を模索し、さらなる課題解決に向けた検証、社会実装を進めていきます。
(注1)東京大学中尾研で研究開発したローカル5Gシステム
https://www.t.u-tokyo.ac.jp/press/pr2023-03-31-001