バイオ医薬品の開発・製造受託事業をさらに拡大  米国拠点のバイオ医薬品の生産能力を増強

英国の生産プロセス開発拠点も増設、総投資額約140億円

富士フイルム株式会社(社長:助野 健児)は、バイオ医薬品(*1)の開発・製造受託事業をさらに拡大するために、米国・英国のバイオ医薬品のCDMO(*2)拠点に総額約140億円の設備投資を行います。

◆詳細はWebページをご覧下さい。
  ⇒ http://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_1182.html?link=atp

米国では、FUJIFILM Diosynth Biotechnologies Texas, LLC(米国テキサス州、以下FDBT)が、生産能力増強のために、米国政府(*3)の助成を得て約100億円をかけて建設を進めてきた、cGMP(*4)対応の生産棟がこのほど完成。今後、約30億円を投じてバイオ医薬品の生産に必要な設備を導入し、2018年初めに稼動させる予定です。なお、FDBTは、2014年にFUJIFILM Diosynth Biotechnologies U.S.A. Inc.(以下、FDBU)を通じて買収した、バイオ医薬品のCDMOです。本年3月にはFDBUが当初計画よりも前倒ししてFDBTを完全子会社化し、現在、積極的な設備投資により事業拡大を進めています。
また英国では、FUJIFILM Diosynth Biotechnologies UK Limited (英国ビリンガム市、以下FDBK)に、約10億円をかけてバイオ医薬品の生産プロセスの開発拠点を増設します。同拠点の開設は、2017年夏を予定しています。

米国拠点のバイオ医薬品の生産能力を増強
米国拠点のバイオ医薬品の生産能力を増強

今回、FDBTは、完成した新生産棟にシングルユース仕様(*5)の2,000リットル動物細胞培養タンクを3基導入いたします。これにより、生産能力の増強を図るとともに、バイオ医薬品や治験薬の多様化による多品種生産に対応します。さらに、新生産棟には動物細胞培養タンクを最大12基まで導入できる拡張スペースを有しているため、顧客からの増産要請や今後のさらなる需要拡大にも迅速に応えることができます。
またFDBKは、現拠点の近くに、バイオ医薬品の生産プロセスの開発拠点を増設します。新拠点には、医薬品の成分などを高速で自動分析できる最先端機器や培養・精製の小スケール実験が全自動で行える最新鋭設備などを導入し、独自の高生産性細胞作製技術「Apollo(TM)」(*6)と組み合せて、顧客ニーズに応じた高効率な生産プロセスをスピーディーに開発します。

富士フイルムは、2017年3月に新設したバイオCDMO事業部の下、FUJIFILM Diosynth Biotechnologies(以下、FDB)を中核に、開発・製造受託事業の拡大を進めています。現在、FDBは、生産プロセスの開発から、治験薬さらには医薬品の商業生産までの一連のワークフローを一体的・効率的に進めることができる、抗体医薬品向けの開発・生産プラットフォーム「Saturn mAb(サターンマブ)プラットフォーム(TM)」(*7)を活用した開発・製造受託サービスに注力しています。今回の設備投資は、本プラットフォームによるサービスを提供する上で重要な役割を担うものです。

今後、富士フイルムは、バイオ医薬品のさらなる生産能力の増強を行うとともに、グループの技術を結集して高効率・高生産性の技術開発を進め、2023年度にはバイオCDMO事業で1,000億円の売上を目指します。

バイオ医薬品は、副作用が非常に少なく高い効能が期待できることから、医薬品市場に占めるバイオ医薬品の割合は高まっており、なかでも抗体医薬品の市場は大きく伸長しています。バイオ医薬品の生産には、タンパク質などの培養・抽出・精製といった高度な生産技術と設備が必要であるため、優れた技術と設備を有するCDMOにプロセス開発や製造を委託するケースが世界的に急増しています。これに伴い、バイオ医薬品の開発・製造受託市場は年率8%(*8)の成長が見込まれています。
富士フイルムは、バイオ医薬品の開発・製造受託ビジネスの成長戦略をさらに推進し、事業拡大を加速させるとともに、高品質な医薬品の安定供給を通じて、医薬品産業のさらなる発展に貢献していきます。

*1 低分子医薬品では実現できない作用を持つ、たんぱく質などの生体分子を活用した医薬品。ワクチンのほかに、インスリン、成長ホルモン、抗体医薬品などを含む。抗体医薬品とは、生体内で病原菌やがん細胞などの異常な細胞を認識して生体を保護する免疫システムの主役である抗体を主成分とした医薬品で、抗体が特定の標的(抗原)と結合することで治療効果を発揮する。
*2 Contract Development & Manufacturing Organizationの略で、生産プロセスの開発受託および製造受託を行う会社・組織を指す。薬剤開発初期の細胞株開発からプロセス開発、安定性試験、治験薬の開発・製造、市販薬の製造までの幅広いサービスを製薬企業などに提供する。
*3 米国生物医学先端研究開発局(BARDA)。アメリカ合衆国保健福祉省傘下の組織で生物兵器や新型感染症等の緊急事態に備えて、必要な製品を開発および供給することを目的とする。
*4 current Good Manufacturing Practiceの略。米国FDA(食品医薬品局)が定めた医薬品および医薬部外品の最新の製造管理および品質管理規則のこと。
*5 培養タンクの内側にプラスチック製のバックを用いる仕様。バックを交換することで洗浄・滅菌の工程が省かれ、異物の混入などのリスクも低減できるなどのメリットがある。
*6 バイオ医薬品の量産に適した高い生産性の動物細胞株を高効率に作成する技術。(1)使用実績豊富で安全性の高い細胞の選択、(2)独自開発したベクター(目的の遺伝子を細胞に導入するための分子)を用いた遺伝子組み換え技術、(3)性能の良い細胞株を迅速にスクリーニングする技術、(4)動物由来成分を含まないため安全性が高く、かつ細胞培養特性に優れた培地の開発、の4つを組み合わせた独自の技術。
*7 抗体医薬品の高効率な生産ワークフローを実現するFDB独自の技術基盤のこと。具体的には、培養条件などの生産プロセスの開発から、本プロセスの治験薬・医薬品生産への適用、さらに商業生産までの工程を一体として設計し、高品質な抗体医薬品の高効率生産を可能とするもの。
*8 富士フイルム調べ。


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