ピューリッツァー賞戯曲部門受賞作 KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『ラビット・ホール』待望の上演決定 カンフェティでチケット先行発売
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『ラビット・ホール』が2022年2月18日(金)~2022年3月6日(日)にKAAT神奈川芸術劇場<大スタジオ>(神奈川県横浜市)にて上演されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 ⼤剛)にて12月11日(土)より先行発売開始です。
カンフェティで12月11日(土)より先行発売開始
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今年度より導入されたKAAT神奈川芸術劇場のシーズン制、一年目のテーマは「冒」。 シーズンの最後を飾るのは、 幸せな日常と未来を突然奪われながらも、深い悲しみから一歩を踏み出そうとする 家族の物語。
2021 年 4 月 1 日より KAAT 神奈川芸術劇場の新芸術監督に就任した長塚圭史により導入されたシーズン制。2021 年 8 月~2022 年 3 月までのシーズン一年目は、「冒(ぼう)」というテーマにそった企画がプログラムされ、“飛び出す、はみ出す、突き進む”さまざまな作品が劇場を彩ります。
2021 年ラインアップ発表会において長塚芸術監督が「いかにして死の悲しみ、そして生の喜びと向き合いながら生きていくか」を描いた作品として期待を寄せた『ラビット・ホール』は、2007 年にアメリカのピューリッツァー賞戯曲部門を受賞したデヴィッド・リンゼイ=アベアーによる戯曲で、2010 年にはニコール・キッドマン自らのプロデュース・主演により映画化もされ、数々の賞に輝きました。
かけがえのない息子を事故で亡くし、深い苦しみと悲しみの中にある夫婦。同じ痛みを抱えながらも関係がぎくしゃくしてしまう 2 人と、彼らを取り巻く人々が微妙に変化していく日常をきめ細やかに描いた戯曲です。この演出を手掛けるのは、2017 年『チック』(翻訳・演出)で第 10 回小田島雄志・翻訳戯曲賞、第 25 回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞し注目を集め、数々の話題作を世に送り出してきた小山ゆうな。繊細な本作をどのように演出するのか注目です。今回の公演では、テレビドラマなどの脚本を手掛ける脚本家に上演台本を依頼し、翻訳劇を現代の日本人に響く活きた言葉に磨き上げることにより、リアルな会話で物語が語られることを目指し、ドラマ『クロサギ』『紙の月』や、連続テレビ小説『まれ』など映像作品の脚本家として活躍する篠﨑絵里子が上演台本を手掛けます。長塚芸術監督は「セリフのプロフェッショナルが台本の構築に加わることによって、より身近な言葉になるのでは」と、篠﨑の起用に強い期待を寄せています。
出演者には、魅力あふれる実力派キャストが集結しました。
事故で失った息子の面影に心乱され苦悩するベッカ役を、映画・ドラマ・舞台と幅広い活躍で存在感を示している小島聖、ベッカの夫・ハウイー役を、声楽家としてオペラデビュー後、俳優としてミュージカル・演劇と数々の舞台で活躍を見せる田代万里生が演じます。ベッカの妹イジー役には映画・舞台などでその個性が光る占部房子、二人の母ナット役には、確かな演技力で実力派女優として舞台・ドラマ・映画で活躍し続ける木野花、夫妻の息子を車で轢いたジェイソン役にはドラマ・CM でみずみずしい演技で注目を集める新原泰佑といった俳優陣でお届けします。
人は受け止めがたい現実とどう向き合って生きていくのか。この普遍的なテーマを描いた本作に、ぜひご期待ください。
ピューリッツァー賞とは
アメリカの新聞経営者でありジャーナリストでもあったジョセフ・ピュリッツァーの遺言をもとに、「ジャーナリストの質の向上」を目的として1917年に創設。受賞対象はアメリカ国内で発表された報道、文学、音楽。同賞を受賞した戯曲には、ソートン・ワイルダー『わが町』、テネシー・ウィリアムズ『欲望という名の電車』、アーサー・ミラー『セールスマンの死』、ユージン・オニール『夜への長い旅路』など。時代を問わず、人間の抱く普遍性や、「生きること」の本質を突く作品が多く、日本でも繰り返し上演され多くの人々に長く愛されている。
あらすじ
ニューヨーク郊外の閑静な住宅街に暮らすベッカとハウイー夫妻。
彼らは8カ月前、4歳だった一人息子のダニーを交通事故で失いました。ダニーとの思い出を大切にしながら前に進もうとする夫のハウイー。それに対し、妻のベッカは家の中にあるなき息子の面影に心乱されます。そのような時にベッカは、妹イジーから突然の妊娠報告を受け戸惑い、母のナットからは悲しみ方を窘められ、次第に周囲に強く当たっていきます。お互いに感じている痛みは同じはずなのに、夫婦・家族の関係は少しずつ綻び始めていました。
ある日、夫妻の家にダニーを車で轢いたジェイソンから手紙が届きます。会いたいというジェイソンの行動に動揺を隠せないハウイーですが、ベッカは彼に会うことを決意します。
アーティスト・プロフィールとコメント
上演台本:篠﨑絵里子
横浜生まれ。横浜国立大学教育学部音楽科卒業後、三井住友海上勤務を経て脚本家へ。
これまでの主な作品に、アニメ『ちびまる子ちゃん』、ドラマ『ドレミソラ』『クロサギ』『Tomorrow~陽はまたのぼる~』『ヤマトナデシコ七変化』『グッドワイフ』(以上TBS)、『胡桃の部屋』『眠れる森の熟女』『紙の月』『コピーフェイス』連続テレビ小説『まれ』(以上NHK)、『マグマ』『震える牛』『ヒポクラテスの誓い』『楽園』『犯罪症候』『坂の途中の家』『トップリーグ』『セイレーンの懺悔』『インフルエンス』『ソロモンの偽証』(以上WOWOW)、『東野圭吾ミステリーズ・再生魔術の女』『竜の道』(フジテレビ)、映画『クロサギ』『あしたのジョー』『ガール』『人魚の眠る家』、小説『転がるマルモ』などがある。2009年第17回橋田賞受賞。
<篠﨑絵里子コメント>
十代の頃、失うのが怖いから人を本気で好きになるのはやめておこうと真剣に思っていました。貧しい考え方だと憐れみの目で見られたとしても、断固として嫌でした。
けれど人生は否応なしに、大切な存在を連れてきます。
気づけばかけがえのない人たちに囲まれて暮らしていたわたしはもう、ふとした弾みに思い出す『失う恐怖』に蓋をしてやり過ごすしかなく――、そして、この戯曲に出会いました。
幼い息子を失った絶望のなかで、これからをどう生きていくのか、生きていけるのか、その答えを探してもがく夫婦の物語。心とは裏腹に傷つけ合い、責め合い、差し出された手に触れることもできず、暗闇にただ立ち尽くす。
その果てに彼らが得た再生へのかすかな光が、誰かを愛して生きずにはいられないわたしたちのささやかな救いにもなることを、祈らずにはいられません。
演出:小山ゆうな
ドイツ・ハンブルク生まれ。早稲田大学第一文学部演劇専修卒。2010年まで劇団NLT演出部に所属。2011年アーティストユニット「雷ストレンジャーズ」旗揚げ。以来「雷ストレンジャーズ」全作品の上演台本・演出を手掛ける。2018年ストリンドベリ『父』にてサンモールスタジオ最優秀団体賞受賞。2017年世田谷パブリックシアター主催公演『チック』にて2017年小田島雄志翻訳戯曲賞受賞、2018年読売演劇大賞優秀演出家賞受賞。最近の演出作に劇団四季『ロボット・イン・ザ・ガーデン』、新国立劇場『願いがかなうぐつぐつカクテル』、東宝『ローズのジレンマ』等。
<小山ゆうなコメント>
私が「ラビット・ホール」を知ったのは2010年、映画版でした。人間の悔い、その悔いにどう人は向き合っていくのかという問いが、美しい言葉と深い人物像で描かれていて、私自身自らの人生においても時折触れたくなる作品で何回も見返しており、長塚さんから本作での演出というお話を頂いた際、驚きと喜びと共に、身の引き締まる思いがいたしました。
この素晴らしい戯曲に、演劇的に自由で新しい事/垣根を超える事を恐れず果敢にチャレンジされるKAAT、そして長塚芸術監督の新シーズンの作品として、【冒】険を恐れず取り組めればと思っております。
今回は、映像界で大活躍される篠﨑さんが上演台本を作成してくださいます。いきた日本語を生み出される篠﨑さんの手により、どのような日本語版が生まれるのか楽しみです。また、キャスト・スタッフともに新鮮なチームとなっており、皆でこの作品を透明度高くお客様にお届けできるよう模索できればと思っております。
ベッカ役:小島聖
東京都出身。1989 年、NHK 大河ドラマ『春日局』でデビュー。1999 年、映画『あつもの』で第 54 回毎日映画コンクール女優助演賞を受賞。近年、コンスタントに映像作品に出演する一方、舞台女優としての評価
も高く、話題の演出家の舞台に多数出演し、新たな魅力を発揮している。主な出演作として、ドラマ『ファーストクラス』『FOLLOWERS』、映画『シーサイド・モーテル』『続・深夜食堂』、舞台『GS 近松商店』『海の風景』『DISGRACED -恥辱-』『この熱き私の激情』『誤解』『往転』『もしも命が描けたら』などがある。
<小島聖コメント>
最近思い立って開かずの段ボールを開けた。
体に沁みている記憶もなんとなく形(物)を残しておかないと消えてしまうのではないかといろんなカケラを残していた。もちろん開けたことで蘇った記憶もあるし見なくとも刻まれている記憶もある。けれど考えてみればこの段ボールを開けることはほとんどない。
ならば物としてはいらないと思い切って処分した。
そうしたら風が吹いた。
大切だと思っていた物は小さくなったけれど、私にとっての大切さは変わらない、それでいい。
ベッカもそうなのではないか、とふと思う。
ベッカとハウイーはお互いに大切な宝を失った悲しみの受け止め方が夫婦とはいえ違い、傷つけ傷つく。8ヶ月では到底整理なんてできないけれど、答えのない日々に小さなあったかい風が吹いたらいいなと今は思っています。
ハウイー役:田代万里生
東京藝術大学音楽学部声楽科テノール専攻卒業。3 歳からピアノを学び、7 歳でヴァイオリン、13 歳でトランペット、15 歳からテノール歌手の父より声楽を学ぶ。2003 年『欲望という名の電車』で本格的にオペラデビュー。その後 09 年『マルグリット』でミュージカルデビューを果たす。第 39 回菊田一夫演劇賞受賞。近年の主な出演作に『ジャック・ザ・リッパー』、『マタ・ハリ』『スリル・ミー』『マリー・アントワネット』『Op.110 ベートーヴェン「不滅の恋人」への手紙』『エリザベート』『ラブ・ネバー・ダイ』等。2021年12 月『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』出演予定。
<田代万里生コメント>
これまでミュージカルで非日常を演じることが多かったのですが、今回初めて、家族のごくごく日常的な生活を描いた作品に出演させて頂くことになりました。描かれるのはどこにでもいるような普通の家族の日常ではあるものの、真実は小説より奇なり。不思議の国のアリスでお馴染みのラビット・ホールというタイトル通り、日常のすぐそばには、簡単には抜け出せない非日常なパラレルワールドが潜んでいます。初共演となる小島聖さんと共に演じるのは、8ヶ月前にわずか4歳の息子を交通事故で失ったばかりの夫婦。癒えることのない哀しみと人はどう共存して生きていくのか、僕自身の「明日」も、この作品で少し変わっていくような気がしています。
公演概要 KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『ラビット・ホール』
公演期間:2022年2月18日(金)~2022年3月6日(日)
会場 :KAAT神奈川芸術劇場<大スタジオ>(神奈川県横浜市中区山下町281)
■出演者
小島聖
田代万里生
占部房子
新原泰佑
木野花
■スタッフ
作 :デヴィッド・リンゼイ=アベアー
上演台本 :篠﨑絵里子
演出 :小山ゆうな
翻訳 :小田島創志
美術 :乘峯雅寛
照明 :原田保
音響 :徳久礼子
衣裳 :前田文子
ヘアメイク:小林雄美
演出助手 :城野健
舞台監督 :瀬戸元哲
企画製作・主催:KAAT神奈川芸術劇場
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)/独立行政法人日本芸術文化振興会
■公演スケジュール
2.18(金) 18:30夜割
2.19(土) 14:00
2.20(日) 14:00◎
2.21(月) 休演
2.22(火) 休演
2.23(水祝) 14:00◎
2.24(木) 18:30夜割
2.25(金) 14:00◎
2.26(土) 13:00◎
2.26(土) 18:00
2.27(日) 14:00
2.28(月) 休演
3.1(火) 14:00◎
3.2(水) 18:30夜割
3.3(木) 14:00◎★
3.4(金) 14:00★
3.5(土) 13:00
3.5(土) 18:00
3.6(日) 14:00
※開場は開演の30分前
◎=託児サービスあり 公演1週間前までに要予約・有料(マザーズ:0120-788-222)
★・・・「ポータブル字幕機提供サービス」対象回
*座席位置、提供数に限りあり
*チケット購入前に要事前予約(予約期間:12月18日(土)~2022年2月20日(日))
【予約・お問合せ先】一般社団法人 日本障害者舞台芸術協働機構(JDPA)KAATサポート窓口 kaatsupport@jdp-arts.org(10:00~17:00)
■チケット料金
全席指定(税込)
一般:6,800円/一般・平日夜割:6,000円
U24チケット(24歳以下):3,400円/U24・平日夜割:3,000円
高校生以下割引:1,000円
シルバー割引(満65歳以上):6,300円/シルバー・平日夜割:5,500円
※U24、高校生以下、シルバー割引はチケットかながわの電話・窓口・WEBにて12月18日より取扱い(前売のみ、枚数限定、要証明書)。
※車椅子でご来場の方は事前にチケットかながわにお問い合わせください。
※未就学児の入場はご遠慮ください。
※営利目的の転売禁止。