ルカ・サイエンスがシリーズAで10.3億円の資金調達を実施　世界初の技術でミトコンドリア製剤の開発を進める

2020-09-01 11:30

ミトコンドリア研究を基礎に医薬品の研究開発を行うルカ・サイエンス株式会社(所在地：東京都中央区、CEO：サイリック、以下「ルカ・サイエンス」)は、シリーズAラウンドにおいて、アクシル・キャピタル・パートナーズ、レミジェス・ベンチャーズ、日本ベンチャーキャピタル、ファストトラックイニシアティブ、カークの5社(運営するファンドを含む)を引受先とした第三者割当増資による10.3億円の資金調達を実施しました。

資金調達の背景と今後について

ルカ・サイエンスは、ミトコンドリア製剤を通じて、様々な病気や傷害によって引き起こされる症状を治療する、新規バイオ医薬品の創薬活動にフォーカスした、前臨床ステージ(※1)のバイオ製薬企業です。

「細胞内の発電所」と呼ばれるミトコンドリアは、主要な細胞内小器官であり、エネルギーを生成して私たちの体を駆動します。近年の研究により、傷害を受けた組織に機能性の高いミトコンドリアを供給することで、細胞の賦活化、並びに正常な機能の回復を促進できることがわかってきました。

代表的な例として、心筋梗塞や脳梗塞は日本のみならず世界の死因のトップを占める病気ですが(※2)、これらの疾患の原因となる虚血は、血流が一時的に止まり、脳や心筋組織への酸素供給が途絶え機能が著しく低下する状態です。組織機能の回復のためには血液再灌流が必要ですが、その際虚血がある一定時間継続した後、血流再開によって急激に酸素を供給すると、酸化ストレスが発生し、ミトコンドリアが損傷して細胞壊死を誘発してしまいます。結果として、脳や組織に非可逆的な機能・組織障害が起こると考えられています。
こうした虚血再灌流を原因とする疾患の他にも、環境・遺伝・老化等によるミトコンドリアの機能不全或いは機能低下によって、様々な種類の疾患が引き起こされている可能性があります。

ルカ・サイエンスは、ミトコンドリアの生体内機能に着眼し、独自の技術による革新的な高機能ミトコンドリア製剤のプラットフォームを開発しています。このミトコンドリア製剤による生体エネルギー増強、組織の保護と機能強化は、虚血再灌流の心筋・脳組織ダメージ、がんや感染症による免疫細胞疲弊の他、幅広い疾患領域において、これまで有効な治療法がなかったアンメットメディカルニーズに対する治療薬の開発を可能とします。

ルカ・サイエンスでは、今回の資金調達により、高度な製剤化技術等を駆使し、ミトコンドリア製剤の製造、保存、送達をバイオ医薬品として実現すべく、研究開発を一段と加速していきます。同時に、国内外の学術機関と積極的に協力し、複数の治療分野における臨床応用を推進して参ります。

※1…前臨床ステージとは、医薬品の開発フローの段階の1つ。創薬研究の後、安定性・安全性・有効性を確認し、臨床研究や、生産技術の検討・開拓などに入る前段階の開発・研究のステージのことを指す。

※2…出典：世界保健機関 Global Health Estimates 2016: Deaths by Cause, Age, Sex, by Country and by Region, 2000-2016. Geneva, World Health Organization; 2018.
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/the-top-10-causes-of-death