ラップにのせて問いかける 人間が地球史に残すものとは? 「未来の地層 Digging the Future」  常設展示「ジオ・コスモス」新コンテンツ、 9月28日(土)公開

2019-09-27 09:30

日本科学未来館(にっぽんかがくみらいかん)(略称:未来館、館長:毛利衛)は、2019年9月28日(土)から地球ディスプレイ「ジオ・コスモス」の新コンテンツ「未来の地層 Digging the Future」を公開します。人間が排出し続けるプラスチックやコンクリートなどの物質は、遠い将来、地球の地層の一部として残る可能性があると言われています。本コンテンツでは、大気化学学者のパウル・クルッツェン氏が提唱する、人間活動によってつくられる地層を“人新世(アントロポセン)”という新たな地質年代として位置づける仮説をもとにしました。地球の誕生から現在までを振り返り、私たち人間が地球の歴史に何を残そうとしているのかを考えます。地球の歴史を岩石から調査する研究者や進化論の研究者と、アーティストがコラボした、ラップミュージックにのせた映像作品です。

プラスチックやアルミなどが球体上に堆積していくシーン

作品の背景・内容

特に1950年代以降、人間は経済の発展に伴ってプラスチックやコンクリートなど自然界で簡単には分解できない物質を大量につくり出し、多くの化石燃料を消費し続けています。こうした生産活動を人間が行うようになったのは、長い地球の歴史からするとわずか一瞬と言えるほど短い期間ですが、着実にペットボトルやアルミ缶などのかたちで堆積し、数ミリの地層として後世に残るほどとも言われます。つまり私たち自身も地球の歴史を作っていく存在なのです。本作品は46億年前から始まります。地球の成り立ち、生命や人類誕生、人類が築いた文明、農耕社会、産業革命以降の人間の営みなどを横断的に見ながら、数億年後に振り返ったときに、どんなものが地層になるのかを見ていきます。作品を通じて人間活動を振り返り、私たちが未来に何を残そうとしているのかを問いかけます。

作品のクリエイティブ性

太古から現在に至る地球の歴史を、特撮やアニメーション、CGなど多彩な手法で表現しているのは映像作家の古屋蔵人です。アニメーションにはたかくらかずきらも参加しています。子供から大人まで惹きつける、エンターテインメント性を備えた球体映像となりました。音楽を担当するのは、領域横断的な活動を行うラッパーの環ROYと鎮座DOPENESS、タブラ(インドの打楽器)奏者のU-zhaanです。研究者による科学的な知見を咀嚼した言葉と、オリエンタルな響きを持つビートが絡み合う軽快な楽曲となりました。

※本コンテンツ「未来の地層 Digging the Future」は、サウジアラビア国営石油会社サウジアラムコの日本法人アラムコ・アジア・ジャパン株式会社の支援により制作しました。

概要

コンテンツ名:「未来の地層 Digging the Future」
公開日   :2019年9月28日(土)
上映時間  :10:30 / 13:15 / 14:15 / 15:15 / 16:30 (各回約3分)
上映場所  :日本科学未来館 1階~5階 シンボルゾーン

科学監修

本吉洋一(国立極地研究所 教授)

1954年千葉県生まれ。78年北海道大学 理学部地質学鉱物学科卒業。86年北海道大学 理学研究科 博士課程地質学鉱物学専攻修了、理学博士。オーストラリア・ニューサウスウエールズ大学研究員を経て、国立極地研究所地学部門助手、94年助教授、2001年教授。16年情報・システム研究機構国立極地研究所広報室長。第51次および第58次夏隊の隊長を務めるなど、南極歴多数。

佐倉統(東京大学大学院 教授、理化学研究所 チームリーダー)

1960年東京都生まれ。90年京都大学大学院 理学研究科 博士課程修了、理学博士。三菱化成生命科学研究所 特別研究員、93年横浜国立大学 経営学部 助教授、95-96年ドイツ・フライブルク大学 情報社会研究所 客員研究員、2000年東京大学大学院 情報学環 助教授、07年教授。現在、「人工知能と社会の関係」、「科学の文化的位置づけを探る」をテーマとした研究プロジェクトを行っている。

参加アーティスト

環ROY

ラッパー。これまでに5枚のアルバムを発表、国内外の様々な音楽祭に出演。その他パフォーマンスやインスタレーションなどを制作。MV「ことの次第」が第21回文化庁メディア芸術祭にて審査委員会推薦作品へ入選。

鎮座DOPENESS

ラッパー。2009年にCDアルバム『100%RAP』を発表。以降バンドアルバム『だいぶ気持ちいいね!』、ミニアルバム『T.U.B.E.』などを発表。国内外の様々な音楽祭に出演。客演でのコラボレーションも多数。

U-zhaan

タブラ奏者。オニンド・チャタルジー、ザキール・フセインの両氏にタブラを師事。坂本龍一、Cornelius、ハナレグミ等をゲストに迎えたアルバム『Tabla Rock Mountain』を2014年にリリース。

古屋蔵人

映像作家。編集者、映像ディレクターを経て、制作会社「ホーダウン」を設立。代表作に無印良品「MUJI TO RELAX」広告キャンペーン、SONY渋谷ビジョン監修など。

たかくらかずき

イラストレーター。ドット絵やデジタル表現をベースとした平面作品、アニメーション、VR作品、ゲームなどを制作。劇団「範宙遊泳」でのアートディレクションのほか、仏教シューティングゲーム「摩尼遊戯TOKOYO」をリリース。

音楽制作メイキングムービーを以下よりご覧いただけます。
https://youtu.be/7mtKAHLeE1Q

同時公開コンテンツ

未来館には、ジオ・コスモスとともに、タッチパネルによる簡単な操作で地球環境などを閲覧できる「ジオ・スコープ」や、AR(拡張現実感)技術を用いて、ジオ・コスモスにデータやシミュレーションを重ねて表示できる「ジオ・プリズム」という展示があります。研究機関から提供された観測データやシミュレーションデータは定期的に更新しています。

ジオ・スコープ 新コンテンツ「気象シミュレーション(風船の行方)」

本コンテンツでは、スーパーコンピューター「地球シミュレータ」が導き出す気象シミュレーションの結果を用い、風に乗って飛んでいく風船の軌跡を追い掛けながら、雲の動きや大気の流れを見ることができます。パネルをタッチした地点から 風船の軌跡を追い掛けられるインタラクティブ性のあるコンテンツです。

場所:日本科学未来館 3階、5階 常設展内
協力:松岡 大祐(国立研究開発法人海洋研究開発機構 付加価値情報創生部門
        情報エンジニアリングプログラム)

ジオ・スコープ データ更新コンテンツ

「北極の海氷」、「オゾン全量」、「二酸化炭素濃度の今昔」、「地球の気温」、「未来予測シミュレーション 海氷」の5つのコンテンツを最新データに更新しました。

ジオ・プリズム 新コンテンツ「リアルタイムで見る人工衛星」

本コンテンツでは、画面上に映し出されるジオ・コスモスに重ね合わせながら、準天頂衛星システム「みちびき」(QZSS)、温室効果ガス観測技術衛星2号「いぶき2号」(GOSAT-2)、国際宇宙ステーション(ISS)の軌道や位置をリアルタイムに見ることができます。

場所:日本科学未来館 1階 シンボルゾーン、3階~5階 オーバルブリッジ

ジオ・コスモスの紹介

1,000万画素を超える高解像度で、宇宙空間に輝く地球の姿をリアルに映し出すGeo-Cosmos(ジオ・コスモス)は、日本科学未来館のシンボル展示です。有機ELパネルを使った世界初の「地球ディスプレイ」で、「宇宙から見た輝く地球の姿を多くの人と共有したい」という館長 毛利衛の思いから生まれました。画面上を流れる雲の映像は、気象衛星が撮影したデータを毎日とりこんで反映させたもので、リアルな地球の姿を眺めることができます。

施設概要

日本科学未来館
所在地 : 〒135-0064 東京都江東区青海2-3-6
アクセス: 新交通ゆりかもめ「東京国際クルーズターミナル駅」徒歩約5分
              「テレコムセンター駅」徒歩約4分
      東京臨海高速鉄道りんかい線「東京テレポート駅」徒歩約15分
      無料巡回バス(東京ベイシャトル)
開館時間: 10:00~17:00(入館券の販売は閉館30分前まで)
休館日 : 火曜日(ただし7月23日~8月27日は火曜日も開館)
      年末年始(12月28日~1月1日)
入館料 : 大人620円、18歳以下210円 ※企画展、ドームシアターは別料金
URL   : https://www.miraikan.jst.go.jp/

一般からのお問い合わせ先

日本科学未来館
TEL:03-3570-9151
FAX:03-3570-9150

冥王代・マグマの海を特撮で表現
ドット絵で描かれたた中生代
ジオ・スコープ 新コンテンツ「気象シミュレーション(風船の行方)」
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