半導体の生産性向上に貢献する2製品を SEMICON Japan 2022で発表  ~チャンバー内の真空状態の精緻な管理・制御を追求~

株式会社堀場製作所(京都市南区吉祥院宮の東町2、代表取締役社長 足立 正之 以下、当社)と株式会社堀場エステック(京都市南区上鳥羽鉾立町11-5、代表取締役社長 小石 秀之 以下、堀場エステック)は、2022年12月14日~16日に東京ビッグサイトで開催される「SEMICON Japan 2022」に、半導体製造プロセスの歩留まり改善や生産性向上に貢献する2種の新製品を出品します。

出展の背景

半導体の微細化や三次元化などの技術革新が進むなか、製造プロセスも複雑化し、高品質の半導体を安定的に供給するために求められる管理・制御要件の水準も高まっています。なかでも成膜やエッチングなどの工程では、チャンバー(ウェハの各種加工を行う反応室)内へ流入させるガス制御の高精度化・高速化のみならず、プロセス前の真空状態を精緻に管理することが、歩留まり改善や生産性向上の重要な要素となっています。そうした背景をうけ、SEMICON Japan 2022では、チャンバー内のガス成分監視に最適な四重極形質量分析計「MICROPOLE system QLシリーズ」や、チャンバー内でウェハの温度制御に用いるガスの圧力制御を高精度に行う、ウェハ裏面圧力制御システム「GR-500」を出品します。
また、出展ブースのコンセプトに「HORIBA All Around」を掲げ、「7Applications ※1」をキーワードとして、半導体市場で求められる分析・計測ニーズに全方位で対応するアプリケーションを提示し、HORIBAグループの総合力を示します。
今回の新製品出品と多彩なアプリケーションを通じて、お客様の課題解決につながる最適解を提案し、さらなる事業成長を実現します。

※1 7Applications:
流体制御、薬液濃度モニタリング、フォトマスク異物検査、膜厚・異物評価、チャンバー状態監視、エンドポイント検出、ファシリティ管理 の7分野

新製品の詳細

  1. 四重極形質量分析計 「MICROPOLE system QLシリーズ」(2023年1月発売予定)
MICROPOLE system QLシリーズ

開発の背景

MICROPOLE systemシリーズはチャンバ―中の、全圧および残留ガスの分圧を高精度に計測し真空環境を監視します。
半導体の成膜プロセスにおいて、チャンバー中に残留する酸素や水分は金属ターゲットやチャンバー中を飛来する金属の酸化要因となるため、残留成分の監視が重要です。また、金属ターゲット表面の酸化状態の制御が重要な成膜方法では、プロセス中の酸素源となる成分を高精度に制御する必要があります。さらに近年の半導体製造プロセスの複雑化に伴い、成膜工程以外でも真空の質をはかる重要度が増しています。堀場エステックは制御項目の多様化とより精緻な計測要求に応えるため、新たに設計した計測・制御部を搭載した「MICROPOLE system QLシリーズ」を販売します。

製品の特長

「MICROPOLE system QLシリーズ」は、新たに設計した制御・計測部と校正方法を見直した四重極センサー部から構成されています。小型、中真空動作、予め校正された四重極センサーをユーザー側で交換可能、などの従来機「MICROPOLE system」の特長を継承しつつ、走査(スキャン)速度の向上とセンサー間のバラつき低減を実現しました。

世界最小クラスの質量分析計※3

コンパクトなボディに質量分析計に必要な機能の全てを搭載。10-1Pa以上の中真空領域でも差動排気なしで計測でき、量産装置への組み込みに適しています。

従来機「MICROPOLE system」からの改良点

・走査速度を従来機比約2倍に向上、計測環境に合わせた設定が可能
新たに設計した計測・制御部は一つのm/z※4あたり50~6,400ミリ秒の間で任意の走査スピードに設定ができます。
・センサーの校正方法を見直し、交換時におけるセンサー間の感度バラつきを従来機の約半分に低減
・RS485通信※5に加え、任意のアナログ入出力機能を付加
製造装置への直接組み込みを容易にしました。

サイズ   :四重極センサー部[全長35-50mm、重さ50-70g]
       制御・計測部[全長150mm、重さ575g]

※3 当社調べ(2022年12月時点)
※4 イオンの統一原子質量単位をイオンの電荷数で割った無次元数。質量分析のマススペクトルの横軸で使われる値
※5 電子機器間でデータ通信を行うためのシリアル通信規格の一つ

  1. ウェハ裏面圧力制御システム「GR-500」(2023年1月発売予定)
GR-500

開発の背景

半導体製造プロセスにおいて、高品質のウェハを安定的に生産するためには、プロセス中のウェハ温度制御が非常に重要です。真空プロセスでのウェハ温度制御には、ウェハ裏面に微量の伝熱性ガスを充填し熱伝導率を上げることでウェハの加熱・冷却が行われています。
堀場エステックが開発・販売するウェハ裏面圧力制御システムGRシリーズは、チャンバーにつながるラインに設置して伝熱性ガスの圧力制御を安定性良く高精度に行い、精密なウェハ温度制御に貢献してきました。
近年はエッチングプロセスのみならず、成膜やイオン注入などでもウェハ温度制御の重要性が高まっています。そうしたニーズに応えるため、従来品より高真空条件で微量ガスの圧力を制御できる自社開発の圧力センサーを搭載した新製品「GR-500」を開発しました。

プロセスライン上のGR-500

製品の特長

10Torr、20Torr、50Torrの制御レンジを追加

従来品の制御レンジが100Torr※6であったのに対し、100Torr以下のレンジを追加することで、お客様が使用される圧力に適した幅広いレンジで、ウェハ裏面の微小な圧力制御をより正確に行えます。

■高速・高分解能ピエゾバルブと自社開発の圧力センサー搭載により、フルスケール圧力に対し±0.1%の高精度な圧力制御を実現

流量センサーを搭載

正確に伝熱性ガスの流量を監視することができます。

サイズ :(W・D・H)169.2×34.0×139.0mm、重さ1.5kg

※6 1Torr(トル)=133.32Pa(パスカル)

【SEMICON Japan 2022 HORIBAブースコンセプト「HORIBA All Around」とは】
半導体市場向け製品として主力のマスフローコントローラー「D700」や薬液濃度モニター、レティクル/マスク異物検査装置「PD Xpadion」に加えて、非破壊で材料性能評価ができる微小部X線分析装置「XGT-9000 Expert」、エッチングの終点検知やチャンバー内状態の監視に貢献できるプラズマ分光計測技術など、科学分野で世界から高い評価をいただく分析技術を半導体製造プロセスラインに最適化して提供します。また、大気ガス分析技術を使ったクリーンルームの分子状汚染物質(AMC)モニタリングシステム、水質分析計による排水処理管理など、長く信頼を築きあげてきたHORIBAの環境計測技術を組み合わせて、安心・安全な環境づくりも支援します。
このように、HORIBAが分野を越えた多様な計測技術を組み合わせ、「流体制御」、「薬液濃度モニタリング」、「フォトマスク異物検査」、「膜厚・異物評価」、「チャンバー状態監視」、「エンドポイント検出」、「ファシリティ管理」の7つの分野で幅広くアプリケーションを提供し、半導体製造全体に貢献する姿を象徴するコンセプトです。

HORIBA All Around
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