サイバー創研、5G標準必須特許に関する 主要技術・サービスの開発動向について評価・分析
5G必須特許調査報告(第3版)と、該当する特許リストの販売を開始
モバイル・ワイヤレスをはじめとしたICT技術の総合的調査を行う株式会社サイバー創研(本社:東京都品川区、代表取締役社長:佐藤 博彦)は、3GPPの5G標準必須特許(5G-SEP)に関する主要企業や主要技術・サービスの開発動向について評価・分析しました。
今回の調査報告では、昨年10月12日に公表した世界の主要プレーヤによる5G標準必須特許宣言の正確性を踏まえた「現実の5G-SEP保有状況」を、最新データをもとに更新しています。また、世界の主要プレーヤの5G標準化寄書提案数(=技術提案数)の最新動向を調べ、5G-SEP保有状況と寄書提案数の相関も分析しました。5G標準化の検討対象が、Rel-15からRel-16に移り変わることにより、寄書提案の動向がどう変化しているのかも調べています。加えて、自動車、IoT関連など5G関連の各技術区分の出願動向も明らかにしました。
5G-SEP保有状況の検討では、前回リリースと同様に、3GPPの5G規格へのSEP宣言特許の規格整合性をサンプリングチェックし、主要企業の現実の5G-SEP保有件数を推定しました。現実の5G-SEP保有数は、1位はSamsung(韓国)、2位はQualcomm(米国)、3位はNTT DOCOMO(日本)でそれぞれ10%を超えるシェアとなっています(図2)。上位10社の国籍別では、日本勢は2社(+Sharp)、米国勢は1社、欧州勢は2社(Nokia、Ericsson)、中国勢は3社(Huawei、ZTE、CATT)、韓国勢は2社(+LG)と拮抗しています。
また、5G-SEP保有状況と寄書提案数との相関では、世界の主要プレーヤは、寄書提案数と5G-SEP保有数のバランスが良いグループと、5G-SEP保有件数と比較して寄書提案数が非常に多いグループとに分かれることが判明しました(図4)。全体平均としては、寄書提案数30件につき5G-SEP1件が保有される状況となっています。
5G関連の各技術区分の出願動向では、V2X(自動車)、D2D(IoT)、Unlicensed動作の5G必須特許の出願件数が大きく伸びたことが特徴になっています。2020年6月末にRel-16が確定したこともあり、5G通信の新たな活用に関する特許出願が増えたことが影響していると考えられます。3GPPの会合でも、サービスとアーキテクチャ系の仕様検討を行うSA会合が増えていることからも、この傾向が覗えます。
第3版では、調査報告書の販売に加え、種々の動きを推定した特許グループのリスト販売も行います。企業や技術区分など、的を絞って、効率的で具体的な特許の内容の確認を支援いたします。
調査結果のポイント
(1) 5G-SEPの推定保有件数(※1)
SEP宣言は、各社が独自の判断で宣言できます。このため、宣言された5G-SEPが、必ずしも5G規格の実現に必須の5G-SEPとは限りません。また、5G-SEPの選定には、LTEの部分も含むETSIによる5G判定に基づいた選定と、3GPPが5Gならではの規格だと判定した規格に基づいた選定とがあります。さらに、5Gの無線系の仕様は、超低遅延や多数端末接続など、LTEと比較して、新たな機能実現のために大幅な仕様拡張が行われています。
上記の背景を考慮して、本調査では、3GPPが5G規格と定めた規格に宣言した各社のSEP宣言特許から、企業毎の公平性を保って、1,297件(前回比+320件)を抽出し、宣言規格の仕様と特許の請求項を比較評価し、一致している特許を規格整合特許としました。
その結果、各社の5G規格整合率は図1となっています。
(※1) 5G-SEPの推定保有件数:3GPPにおける5Gの定義に該当する5G-SEPのみを集計
HuaweiからBlackBerryまでの18社は、3GPPが5Gのための規格と定めた規格に宣言している特許のうち、調査時点で登録となっている特許を100件以上SEP宣言している企業です。
SEP宣言登録特許の約10%を無作為に抽出し、5G規格と特許の請求項を比較評価し、完全一致の特許を整合特許とし、企業毎の合計件数を企業毎の調査対象特許件数で割ったものを5G規格整合率としています。
全体の整合率は、前回(2020年10月)実施時と同じく32%と変わらないことを確認しました。
5G規格整合率を、企業ごとに3GPPが定めた規格への5G-SEP宣言特許件数に掛け、現実の5G-SEPの保有状況(以下、5G-SEP推定保有数)を図2に示します。その結果は、前書きに書いた通りです。
(2) 5G-SEPの推定保有件数と標準化寄書提案数との相関
5Gの標準化寄書提案数は、Rel-15、16で約24万件となっています(図3)。
Rel-16では、SAへの寄書件数の比率が、Rel-15と比較して約1.5倍大きくなっています。この結果は、無線区間の標準化の骨格が、Rel-15でほぼ出来上がり、無線区間と上位レイヤが連携して標準化を進めるフェーズに入ってきたことを反映している、と捉えることができます。
企業別の標準化寄書提案数と5G-SEPの推定保有件数との相関は、図4となっています。平均すると、寄書提案数30件に対し、5G-SEP推定保有数は1件となります。
5G-SEP推定保有数が1位~3位のSamsung、Qualcomm、NTT DOCOMOに加え、Nokia、ZTE、LGは提案とSEP出願を比較的バランス良く行っています。これに対し、Huawei、Ericssonは提案数が多く、SEP出願1件当たり、平均の倍の60件以上の提案を行っています。
なお、5G標準化寄書提案数の多い企業は、図5のとおりとなっています。
(3) 出願件数が増えた技術区分
5G必須特許(※2)の分析で、前回調査以降に調査対象となった特許出願件数が増加した技術区分を、図6に示します。
D2DはIoTなどでの利用が期待される技術区分で、V2Xは自動車での利用が期待される技術区分で、いずれも通信業界とは異なる業種で利用される可能性が高い技術です。また、Unlicensed動作は免許不要帯の周波数を用いた動作を実現する技術で、5Gの柔軟な運用に貢献できます。
なお、5G必須特許は、5G実現に重要な技術項目15個を選定し、検索式での抽出の後、無線技術の専門家により、5Gの実現目標と整合していることを確認した特許で、約2.6万件あります。
(※2) 5G必須特許:本調査報告書では、5Gを実現するために必要な特許をこう呼んでいます。5Gを実現する技術キーワードで抽出した特許を評価し、必要と判断した特許です。5G-SEPに加え、実装系など5G実現に必要な特許を含みます。
※調査報告書の目次構成は下記に掲載しています。
https://www.cybersoken.com/research/patentresearch/5G-sep/
調査対象概要
(1) 5G-SEP宣言特許
調査対象 :ETSIのSEP一覧リスト
https://www.etsi.org/deliver/etsi_sr/000300_000399/000314/
分析単位 :INPADOCファミリーベース
調査対象リスト収集時期:2020年11月公開分
(2) 5G必須特許
調査対象 :5Gならではの15の技術領域の特許から、
検索システム:Derwent Innovationを用いて抽出した、
5Gの実現に必須だと判定した特許
検索対象特許:全世界の特許公開公報
分析単位 :INPADOCファミリーベース
調査対象期間:公報発行日2013年1月1日から2020年6月30日(第2版からの1年分を追加)
(3) 5G標準化寄書提案
調査対象 :3GPPの会合に提案された寄書の提案数
調査対象寄書 :3GPPのHP
https://www.3gpp.org/specifications-groups/specifications-groups
分析単位 :提案単位
調査対象リスト収集時期:Rel-15:2016年3月~2019年9月、
Rel-16:2017年12月~2020年12月
提供サービス
今回の第3版の調査では、下位のサービスをご提供いたします
(1) 調査報告書:全体動向調査、技術区分別動向調査、注目企業の出願動向調査、など
(2) 5G必須特許の特許番号一覧:技術区分別・出願人別など指定いただいた条件での特許リスト(オプションで、特許の概要、ETSI宣言の有無、など)
(3) 5G-SEP宣言特許の評価リスト
(4) その他、個別要件はご相談
サイバー創研 会社概要
(1)商号 :株式会社サイバー創研( http://www.cybersoken.com )
(2)代表者 :代表取締役社長 佐藤 博彦
(3)本店所在地 :東京都品川区西五反田2-8-1 五反田ファーストビル5階
(4)設立年月日 :2001年4月
(5)主な事業の内容:情報通信関連の以下の事業
1. 調査研究事業
2. 特許サービス事業
3. エンジニアリング事業
4. 教育研修事業
(6)資本金 :3,000万円