牛からのメタン排出量推定に活用できる 『メタンと二酸化炭素の同時測定が可能な簡易システム』を開発
北里大学発ベンチャーのライブストックジャパン合同会社(青森県十和田市)が北里大学獣医学部 動物飼育管理学研究室(青森県十和田市)と共同で、畜産の生産現場でメタンと二酸化炭素の濃度を同時に測定できる簡易モニタリングシステムを開発。“サーモニメタンCO2プラス”として、研究機関などを対象とした試験販売を2022年12月20日より開始しました。
これにより、牛からのメタン排出量の推定が容易にできるようになり、メタン排出を削減するための研究や取り組みが、様々な場面で加速することが期待されます。
開発の背景
反すう家畜からのメタン排出と家畜排せつ物などからの排出を合わせた家畜生産に起因する温室効果ガス排出は、農業排出の約65%に達すると試算されており(FAO:国際連合食糧農業機関)、畜産業界としても排出削減を目指したSDGsの取り組みが始まっています。
牛のげっぷ由来のメタン排出を削減するために、消化管内の微生物叢を制御する研究や新たな飼料添加物の開発、育種改良に関する取り組みなどが一部の研究機関で進められていますが、牛が排出するメタンを正確に測定するためには、大掛かりな設備が必要となります。
呼気中のメタンと二酸化炭素の濃度比を用いて牛からのメタン排出量を推定するスニファー法は、チャンバーなどの大掛かりな設備を必要としない実践的な測定方法ですが、ガス分析計のコストがネックとなり生産現場で容易に取り組める状況にはありませんでした。
今回開発した『メタンと二酸化炭素の同時測定が可能な簡易システム』は、今年7月に発売した簡易メタンガスモニタリングシステム“サーモニ メタン”に、二酸化炭素ガスセンサーを付加したもので、センサー、ケーブルと専用のアプリから成り、Windowsパソコンでアプリを起動して両ガス濃度を同時にモニタリングできるようにしたものです。
期待される効果と今後の取り組み
近年、食料の安定供給・畜産の持続的発展と地球環境の両立が強く求められるようになってきました。畜産現場レベルでメタン排出削減対策を実践するための技術情報が著しく不足するなか、本システムの活用によって牛からのメタン排出量の推定が容易にできるようになり、メタン排出を削減するための研究や取り組みが畜産現場レベルで実現できるようになれば、様々なアプローチによるメタン排出削減対策を実践することが可能となります。
牛からのメタン排出削減は、一見、環境対策としてのみ捉えられがちですが、バイオマスエネルギーにもなるメタンの排出は、牛側からすると“エネルギーの損失”とも言えます。呼気からのメタン排出削減は、体内でのエネルギーバランスの改善≒生産効率の改善(乳量、増体)につながりますので、生産者側としても、飼料利用効率が改善することによる飼料価格高騰対策になります。
生産性の向上と持続性の両立こそが、今後の畜産の発展に不可欠であると認識しています。
お問い合わせ、お申込み
ライブストックジャパン合同会社
TEL : 090-3367-2525
mail: livestock@ozzio.jp
URL : https://livestockjapan.com/
サーモニメタンCO2プラスチラシ
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