ベストミュージックアニメーション賞は、ジョシュ・シャフナー氏「Air Lock」:第11回新千歳空港国際アニメーション映画祭
新千歳空港国際アニメーション映画祭実行委員会は、2024年11月1日(金)〜5日(火)までの5日間にわたり「第11回 新千歳空港国際アニメーション映画祭」を開催しています。
11月4日(月) シアター1では、ミュージックアニメーションコンペティションの審査及びベストミュージックアニメーション賞の授賞式を行いました。コンペティションに入選した11作品の上映と、インターナショナルコンペティション部門入選作家であるメディアアーティストのマックス・ハトラー氏による音と映像の単独ライブも実施しました。
本年のベスト・ミュージック・アニメーション賞は、ジョシュ・シャフナー氏の「Air Lock」
本映画祭の特徴の1つである、MV(ミュージックビデオ)をはじめとした、音と動きとのシンクロナイゼーション(同期)を楽しむ「ミュージックアニメーションコンペティション」では、11作品が入選。コンペティション審査員に、アニメーション監督の酒井 和男氏(代表作:『ガールズバンドクライ』シリーズディレクター、『ラブライブ!サンシャイン!!』監督など)、フォーリーアーティストでサウンドデザイナーである滝野 ますみ氏を迎え、ベストミュージックアニメーション賞を決定しました。
今年のベストミュージックアニメーション賞は、短編部門の国際審査員も務めるジョシュ・シャフナー氏「Air Lock」が受賞しました。本作はPhotayのアルバム「Windswept」の収録曲。風が主要なテーマのこの作品は、自然の力と、それが人間の精神に及ぼす影響を、青を使い即興で表現しています。
受賞したジョシュ・シャフナー氏には、賞金10万円と授賞メダルが贈られます。
目に見えない流れ、空気を可視化するような、楽しむような感覚
受賞理由として審査員の酒井氏は「目に見えない流れ、空気を可視化するような、楽しむような感覚」があるとし、その流れや空気が青という色彩を使用することにより「過ぎ去り変化していくような少しアンニュイな寂しさを感じた。」と評しました。
ジョシュ氏は、受賞について「大変光栄です。素晴らしい作品がたくさんあった中での受賞でとても嬉しい」とコメントしました。
抽象化されているものが多かった、自由に楽しんで作られていた
総評として、酒井氏は、ミュージックビデオも自身と同じ商業アニメーションの世界であるとして、その際に「作品と自分との距離が大事」と言い、「どこまで自分を近づけるか、失くせるのか」が問われるものだろうと、制作する上での全てのアーティストが直面する苦悩に触れながら、その中でも「さまざまなアニメーションを見てやっぱり面白い」と再認識したと入選作品とアーティストを労いました。
また、滝野氏は、「音楽という自由な存在に対して、映像も自由に楽しんで作られていた」と感じたこと、またストーリーから解放され、ビートやリズムを感じる喜び、心象風景など「長い抽象画を見ているような不思議な気分」「新しい発見もたくさんあった。ゴージャスな体験だった」と授賞式を締めくくりました。
Special Live – featuring: Max Hattler
ベストミュージックアニメーション賞審査の合間で行われた特別イベント、インターナショナルコンペティション部門入選作家であるメディアアーティストのマックス・ハトラー氏による音と映像の単独ライブを開催しました。「オプティカルサウンド(光学音響)を使用し、映像から音楽が即興で表現されていくもの」とのハトラー氏からの解説の後、スペシャルライブが行われました。連続して明滅するビジュアルにシンクロするノイジーな音を全身で感じる30分間となりました。
新千歳空港国際アニメーション映画祭
新千歳空港国際アニメーション映画祭は、北海道と世界を結ぶゲートウェイである新千歳空港ターミナルビル(北海道千歳市)を会場とした、アニメーション専門の国際映画祭です。
第11回目の開催となる今年は、2024年11月1日(金)~11月5日(火)の5日間で、国内外の話題作など招待作品の上映はもちろん、多様な未来につながるアニメーションの体験を提供する様々なプログラムを展開します。
今年もゲストと観客が密接に交流できる独自の場を活かし、アニメーションの意義を拡張するような新しい価値を生み出す「遊び場」として、エネルギーを持ち帰ることができる文化交流拠点の創造を目指します。